From:ななころ
スターバックスカフェより
◆私たち大家にとって人口減少ってやっぱり怖い
私たち不動産投資家に、大きなインパクトを与える「人口減少問題」。
不動産投資を始める時に、人口減少は気になりながらも、目をつぶってきた人も多いことでしょう。
不動産業者の「家賃保証」のような甘言に乗ってしまった人もいるかもしれません。
しかし、日本の人口が減少しているのは間違いありません。
しかもそのインパクトは想像以上です。
先日報告された総務省の統計によると、
・令和元年6月1日現在の総人口1億2623万人、前年同月と比べて「28万人」減少
という事態になっているのです。
以前からこのブログでは人口減少については何度か伝えているので、勉強熱心な方は意識している方は多いと思います。
それでも、あらためて「28万人減少」という数字を見ると驚愕を覚えます。
たった1年間で、都市の人口がまるまる消失するほどの規模だからです。
東京でいうと豊島区(約30万人)、大阪でいうと茨木市(約28万人)の都市の人口が、一年で消失しているというと、その衝撃が伝わりますでしょうか!?
さらに、この人口減少数は今後加速します。
かつて無いほどの人口減少が、私たち大家にも降りかかってきているのです。
(令和元年6月20日総務省統計局「人口推計」より)
◆大家にとって何が一番怖いか?
それだけではありません。
私たち大家にとってこの人口減少の一番怖いところは、「賃貸に住む年代の人口の減少」です。
人生の中で、一般的に賃貸物件に住む機会の多い年代は「18歳~64歳」です。
この「18歳~64歳」の年代が急激に減少していくのです。。。汗
「18歳~64歳人口」はズバリの人口推計が無いのですが、「15歳~64歳人口」は 約「7500万人」で,前年同月に比べ「49万人」も減少していると発表されています。
(令和元年6月20日総務省統計局「人口推計」より)
また、たった10年後の2030年には「6900万人」にまで減少。
さらに、20年後には「6000万人」、30年後には「5300万人」と予想されているのです。
(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」より)
減少率「30%以上」です。
空室率が30%上昇するというと、このインパクトが伝わりますでしょうか。
(もちろん全国一律で減少するわけではありませんし、全物件一律で空室率が上昇するわけではありませんが。)
30年後というと遠い未来のような気もしますが、融資期間を「30年」で引いている人も少なくないでしょう。
空室率を30%にしても回る計算にしていますでしょうか?
10年後には回収し終わるような計算になっていますでしょうか?
<シュミレーション例>
利回り10%・1億円の物件を、融資期間30年・金利2%で融資を受けて購入した場合、
「入居率90%」であればかろうじて収益が出ていたものが・・・
その他の条件を一切変更せずに、「入居率70%」に設定すると、とんでもない赤字物件になってしまいます。。。
◆深刻なのは、地方よりも東京
一方で、不動産業者の常套句として、
・「都心なら大丈夫」
・「東京なら大丈夫」
といったものがあります。
実は地方よりも都心&東京の方が事態は深刻です。
たしかに、唯一「人口が増える」と予測されるのが東京です。
25年後の2045年には現在の約1351万人から1360万人に人口が微増すると予想されています。
しかし、その詳細を見てみると、恐ろしい事実が見えてきます。
人口が増加するのは、東京都内に住む65歳以上の高齢者の数が激増するからです。
今から25年後というと、40歳代の団塊世代ジュニアの世代が次々と65歳以上となる時代です。
都内の高齢者人口は2015年の約300万人から、2040年には約400万人となると予想されています。
つまり、都民の約3人に1人が65歳以上の高齢者になる計算です。
これまでの賃貸アパートのイメージは様変わりして、介護施設のようなアパートになっていくということなのです。
地方はすでに人口減少が始まっており、地方高利回りの不動産投資法は、あらかじめ人口減少や高齢化などを見据えてシュミレーションをします。
ですから、利回りを高めに設定し、空室率を最初から厳しめに設定します。
10年後、すくなくとも15年後には回収が終わっているような計算をします。
一方で、東京や都心で購入しているサラリーマン投資家が、その辺を織り込んで投資していればいいのですが・・・。
ここ5年、融資が付くからという理由で都心の新築アパート投資が流行っています。
利回り7%や8%といった数字で買っているサラリーマン投資家を見ますが、恐ろしくなります。
たとえば地方で利回り16%で購入すれば、入居が半分でも利回り8%です。
もし大家の努力で満室を10年でも維持できたなら、10年後には回収が終わっています。
一方で、都心で8%というと、30年ほぼ満室を維持する前提で計算していたりします。
昨日の記事でも書きましたが、ただでさえ「賃貸経営は右肩下がりのビジネスモデル」です。
もし大家の努力が足りず、満室を維持できなかったら。。。(冷や汗)
◆大家業は完全に斜陽産業
以上のように考えると、日本での不動産賃貸業は完全に斜陽産業です。
上りのエスカレーターを駆け上がるのではなく、下りのエスカレーターを息を切らしながら上がるようなものです。
相当な努力と体力と知力が必要なのです。
勉強熱心な投資家はしっかりと認識して、不動産投資に取り組んでいます。
一方で、残念ながらあまり深く考えずに不動産投資を始めた方も多いのです。。。
それでは、不動産投資に活路は無いのでしょうか?
(つづく)
◆編集後記
サッカーのコパ・アメリカ2019を朝楽しみに見ていたのですが、3試合が終わり放心状態です。。。
もともと前評判の低かった今回の日本代表ですが、若くて才能溢れる選手たちで構成されたチームは、違った意味で楽しみでした。
本気の南米のチームを相手に、若い日本のチームがどれだけ躍進できるのか。
毎試合楽しく見させてもらいました。
できれば、あと1試合。
ブラジル戦を見たかった・・・