From:ななころ
ルノアールコーヒーより
◆ついに西武信金に業務改善命令
不動産投資向け融資に積極的だった西武信金に不正が発覚。
金融庁から業務改善命令が出されました。
今回、主に問題とされたのは3点。
1.投資用不動産への融資で資料改ざんを見逃すor 一部指示
2.反社会的勢力への融資
3.落合理事長の独裁組織
特に投資用不動産の問題に関しては、あえて行員が融資資料改ざんを見逃していたのが100件超。
28支店45人の行員が関与していたとされています。
また、行員が外部専門業者に働きかけて、返済期間を延ばすために物件の耐用年数を長くしていた例が258件。
32支店90人の行員が関わったとされています。
=== 記事一部抜粋 ===
西武信金に業務改善命令、資料改ざん100件超
金融庁は24日、信用金庫大手の西武信用金庫(東京都中野区)に業務改善命令を出し、改善計画を6月末までに出すよう求めた。急拡大させた不動産投資向け融資で100件超の資料改ざんがあり、反社会的勢力の関係者の疑いがあると知りつつ貸した例も判明した。
金融庁によると、不動産業者が顧客の預金通帳や物件の家賃収入表(レントロール)などを改ざんし、職員が看過した可能性が高いのは127件。うち73件(139億円分)で改ざんを確認した。28店舗で45人が関与。返済期間を延ばすため、中古物件の耐用年数を長くするよう職員が外部専門家に働きかける例も258件あった。32店舗で90人がかかわったという。
(2019年5月25日 朝日新聞記事より)
=== ここまで ===
◆業者のはめ込みに利用された銀行の1つ
不動産投資に積極的に融資をしてくれる銀行は多くはありません。
ましてや中古物件への融資に対しては、ほとんどの銀行に「返済期間 ≦ 法定耐用年数」という意味の分からない制限があります。
積算評価もあり高利回りで入居需要もあり収益力のある物件にも関わらず融資が出ず、入居者が付かないのに築年の浅いだけの物件に融資が出る。
こんな不合理なことが不動産投資の世界ではよくあります。
そのようなまったくもって意味の無い制限を外してくれたのが、西武信金でありスルガ銀行でした。
良い意味では革新的な銀行だったと私は感じています。
しかし、残念なことに、この革新的な部分が悪い方向にいってしまいます。
悪いことを考える不動産業者が、サラリーマン投資家を食い物にするための道具の1つとして、西武信金を利用していたのです。
今回の報道では、「資料改ざん73件(139億円分)」とありますが、実際はこんな数ではないと思います。
西武信金の融資している物件は、上記の数字を見ても分かる通り、1棟あたり2億円超え当たり前ですから、もっと多くの物件で不正が行われていたと思われます。
スルガ銀行ほど脇が甘くなかったというだけでしょう。
この当たりのことについては、以前の記事に詳しく書いているので、合わせて読んでみてください。
ここ5年以内に、西武信金で融資を受けて物件を買っている人が、いかに危ういか。。。
2019年04月10日「西武信金、反社に融資の実態、決定的か!?どうなる今後の不動産投資(その1)」
◆収支改善の余力の無い西武信金融資物件
ここ5年以内に西武信金で融資を受けて、業者の言いなりで物件を購入した人は、スルガ銀行よりもまずいんじゃないかと密かに思っています。
なぜかというと、西武信金の収益物件への融資の特徴を見ると分かります。
<西武信金の融資の特徴>
1.返済期間35年~40年
2.金利はおおよそ2%前後
3.融資額は平均2億円/1物件
4.資料改ざんのふかし金額が大きい
※正確な数字ではなく、予想も含まれています。
これらの特徴から言えることは、西武信金から融資を受けている場合、「収支改善の余地があまり残されていない」ということです。
もし購入した物件の収支が悪かったら即アウトなのです。
一方で、同じように業者はめ込みで利用されたスルガ融資の物件は、実は収支改善の余地が残されているケースも多々あります。
たとえば、金利です。
スルガ銀行の場合は「金利3.5%~4.5%」と高いので、交渉や借り換えによって、金利を下げることで大幅に収支を改善できたりもします。
また、スルガ銀行が譲歩していることもあり、ADRによる元本カットの芽も出てきています。
しかし、西武信金の場合はすでに金利2%台。
返済期間もMAX40年と目一杯とっていますので、これ以上返済期間を伸ばすことは難しい。。。
1物件あたりの融資額も大きければ、ふかし金額の額もかなりのものです。
物件のある立地も競合がひしめく首都圏です。
収支が出ている物件であればいいのですが、これから30年も40年も安定経営していくのは至難の技だと考えられるのです。
不動産投資で経済基盤確立どころか、これから先何十年とずっと経済基盤はグラグラな状態となってしまいます・・・
◆積極的な銀行が閉じられて最も問題となるのは?
収益不動産へ積極的だった銀行が次々と閉じられて行く中で、一番の問題は私たち投資家が「物件を買えなくなる」ということではありません。
実はもっと大きな問題が潜んでいるのです。。。
積極的な銀行が閉じられて最も問題となるのは何でしょうか?
(つづく)
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◆編集後記
タイムリーな話し。
我が家のそばの西武信金に車で通りかかった際、助手席に乗っていた外国人の友人がこんなことを言っていました。
(彼は日本人の奥さんを持つ外国人で、結婚して東京に住んでいる。)
友人「あ”ぁ~、ここの西武信金なくなっちゃった・・・」
私「そうみたいだね。」
友人「友達(日本に住む外国人)が西武信金で住宅ローンを受けて自宅を買ったって。」
友人「お金借りるのすっごく簡単。ほとんどチェックなかったって。」
友人「もし自宅を買う時に申し込んみたいと思っていたのに・・・」
※片言の日本語なので、分かりやすく会話をアレンジしています。
住宅ローンの方が一般的に審査がゆるいのは確かですが、かなりのザルだったようで。。。
ただ、審査が厳しくなるのは仕方ないですが、「外国人はバツ」とか「返済期間 ≦ 法定耐用年数」とか、変な風に厳しくなるのだけは避けてほしいですよね。。。