◆前回までのあらすじ
前回の記事では、スルガ銀行の決算が、
1000億円もの大幅赤字に転落し、
・業務停止によって融資実行額が激減し、
先行きの不安さが露呈
・顧客離れが加速して、
預金額も加速度的に減っている
といったことをお伝えしました。
今朝の朝刊で、各紙大きく報じています。
各紙報道内容はほぼ同じですが、
報じ方や論点が違うのは、
読んでいて面白いですね。
<朝日新聞>
<読売新聞>
<日経新聞>
そして、預金流出によって、
自己資本比率は急激に低下。
預貸率も急上昇しているのです。
◆預金の流出によって自己資本比率も急激に低下
これまでスルガ銀行は、地銀の中でも、
かなり健全な自己資本比率を誇ってきました。
国内の銀行に求められている自己資本比率の基準は、
最低「4%」です。
※算出方法は違いますが、国際統一基準は「8%」
それに対してスルガ銀行は「10%」を越え、
直近では「12%」を越えていました。
しかし、顧客離れによる預金の流出によって、
自己資本比率が急激に低下しています。
「12.70%」あった自己資本比率が、
「-4.05%」低下して、
「8.65%」まで低下しているのです。。。
預金流出が加速していますので、
今後さらに低下する可能性もあるのです。
◆(余談)不動産投資家に求められる自己資本比率は?
余談ではありますが、
われわれ不動産投資家に求められる
自己資本比率はどのくらいでしょうか?
当然、銀行は事業者に融資をする際に、
この自己資本比率をチェックします。
一般の企業で、
「最低このくらいの自己資本比率は維持すべき」
と言われている基準は「20%」です。
・自己資本比率が70%以上なら理想企業
・40%以上なら倒産しにくい企業
・平均は赤字企業で-4%、黒字企業で27%
というように言われています。
売値1億円の物件を購入するのに、
1億円の融資を受けるとしたら、
黒字企業の平均自己資本27%を基準とするならば、
2700万円の自己資本が必要ということになります。
(不動産投資事業は、他の業種と違って、
土地と建物という担保がありますので、
一概に当てはめることはできませんが)
ですから、サラリーマンに対して、
フルローン、オーバーローンで融資を出すことが、
いかに異常だったということが、
分かるのではないでしょうか。
かぼちゃの馬車や大型RC物件など、
預金100万円以下のサラリーマンに対して、
担保価値を無視して1億円以上の融資を出すこと事態、
はちゃめちゃだったわけです。
とはいえ、それでも不動産投資やりたいですよね。
僕たちのような一般のサラリーマンが、
数千万円の預金を作るなどということは、
なかなかできることではありませんよね。
だからこそ、
・「担保価値 > 購入価格」で物件を買うこと
・利回りが高く、キャッシュフローの出る物件を買うこと
といったことが必要になってくるのではないかなと思います。
「えっ?そんな物件無いって??」
たしかにそうかも知れませんね笑
業者から「儲かる」と言って紹介される物件には、
そのような物件はなかなかないでしょう。。。
そいういった物件を見つけ出す力こそ、
僕たち不動産投資家ががんばる所ですね。
◆貸出残高も減っている
余談が長くなりました。
話しを元にも戻します。
預金が流出し自己資本比率が下がる一方で、
貸出残高も減っています。
スルガ銀行は金利も高いですから、
他銀行へ借り換えが進んでいるとみていいでしょう。
・貸出金期末残高は、前年同期末比2,001億円(6.0%)減少。
・個人ローン期末残高は、前年同期末比1,725億円(5.8%)減少。
◆預貸率は急上昇!?
一方で、貸出残高の減少以上に、
預金が流出していっているため、
預貸率は跳ね上がっています。
その差、4000億円以上あります。
・預金期末残高:前年同期末比6,601億円(16.1%)減少
・貸出金期末残高:前年同期末比2,001億円(6.0%)減少
その結果、
預貸率は「80%」から「90%」へと、
10ポイントも急上昇しているのです。
(2018年3月期第2四半期決算説明資料より)
↓
(2019年3月期第2四半期決算説明資料より)
◆預貸率とは?
それでは「預貸率(よたいりつ)」とは何でしょうか?
預貸率と聞いてもピンとこないですよね。
預貸率とは、
「銀行が集めた預金を、どれだけ貸し出し(融資)に回しているか」
という指標なわけですが、
この預貸率と引当金の中身をみていくと、
スルガ銀行の危うさが分かってくるのです。
ちょっと長くなってしまったので、
次回に続きます。
(つづく)
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