前回の記事では、
現在急落しているスルガ銀行の株価ですが、
一時的には上がるのではないかということを書きました。
しかし、一時的に上がったとしても、
長期的には下落していくことが予想されます。
そのことが有価証券報告書からも、
読み取れることができます。
前回記事「残された謎・なぜスルガ銀行はそれでも融資をしたのか?(1)」
前回記事「残された謎・なぜスルガ銀行はそれでも融資をしたのか?(2)」

◆スルガ銀行の有価証券報告書から分かること
「有価証券報告書」とは、簡単に言ってしまえば、
上場企業などに報告を義務付けている企業の成績表です。
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有価証券報告書
融商品取引法で規定されている、事業年度ごとに作成する企業内容の外部への開示資料である。略して有報(ゆうほう)と呼ばれることもある。
(Wikipediaより)
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この有価証券報告書を読めば、決算書とともに、
企業が今どのような状況なのかが見えてきます。
スルガ銀行が報告している、
「平成30年3月期第3四半期 有価証券報告書」によると、
以下のようなことが分かってきます。
◆増加する「貸倒引当金繰入額」
貸し出している融資(債権)が回収できなくなることを、
「貸倒(かしだおれ)」と言います。
「貸倒引当金繰入額」とは、
回収困難になるであろうとスルガ銀行が考えている債権が、
ここの数字に現れてきます。
この貸倒引当金繰入額の同時期の数字を、
過去に遡って見ていくと、
ものすごい勢いで増えていくのが分かります。
平成26年4月1日~12月31日 0円
平成27年4月1日~12月31日 764百万円
平成28年4月1日~12月31日 1,685百万円
平成29年4月1日~12月31日 2,282百万円
平成30年3月期第3四半期では、
「22億円以上の貸し倒れリスクがある」と、
スルガ銀行は考えているのです。
そして、実際に、
「破綻先債権額」や「3ヵ月以上延滞債権額」は、
増えていることが分かります。
破綻先債権額は22億円を超え、
3ヵ月以上延滞債権額は13億円を超えています。

今後は、かぼちゃの馬車を始めたとした
シェアハウス投資への融資が焦げ付き、
これらの額が増えていくことが予想されます。
そのため、直近では、
ブラックロックのようなヘッジファンドが、
大量に買い漁ることにより、
株価は一時的に上がるかもしれません。
しかし、長期的に見ると、
サラリーマン不動産投資の終焉ともに、
起死回生の逆転プランがない限り、
株価は下降線を辿るのではないでしょうか。
◆シェアハウスが続々と競売に・・・
実際に融資の焦げ付き現すように、
すでに続々とシェアハウス物件が競売に出てきます。
今、競売に出ているのは、
かぼちゃの馬車の類似シェアハウス投資物件である、
サクトインベストメントパートナーズの手がけた物件です。
1つはすでに結果が出ており、
4944万円からスタートし、4件の
6255万円で個人の方が落札しています。

もう1つの物件は、
どのような落札結果になるのでしょうか・・・。
サクトインベストメントパートナーズのシェアハウスは、
かぼちゃの馬車に先駆けて破綻しており、
こちらも100名を超すオーナーがいるとされています。
これからさらにシェアハウス物件を、
見ることになりそうです。
そして、6月末の株主総会の後に、
どのような結果が待っているのか・・・。
今年6月下旬に報告される、
「有価証券報告書」に注目されるところです。
長くなったので次回に続きます。