「京都殺人案内6」 (1982) 前編 | All the best for them

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好きな人と好きな人に関連するあれこれ、好きな物、家族とのことを細々と、時間があるときに綴っています。





















 

8月7日にチャンネル銀河で放送された「京都殺人案内6」を

根上さん中心に、多少ツッコミながら記録しています。



私、土ワイの中でも、このシリーズが一番好きだった。

30年前のこれは、さすがに見ていないけど、

萬田久子さんが洋子役のは、たいがい見てました。

柔らかい京都弁のやりとりがとても好きで、

落ち着いて見られるサスペンスだったと思う。



さて…この日は、京都セントラル物産の松尾孝次社長が幹事をする

予科練13期会の宴会ということで、音やんもやって来た。

別れ際、洋子があまり飲みすぎんときよと声をかける。

会場は宴もたけなわ、同期の桜の大合唱中だった。

その中でもとりわけ張り切っている人といえば…

そう、根上さん演じる松尾社長でございました。

遅れて入ってきた音やんを見つけて 「お~、遅いじゃねえか、お前」

「待ってたんだぞ、お前」と声を張り上げた。

音やんが、小島という仲間を見つけて、挨拶を交わしていると、

そこに松尾がやって来て、2人の両肩を抱き「飲め飲め~」と

酒をついで又向こうへ行った。かなり酔っている様子ですな。

音やんが、定年だという小島としゃべっていると、

向こうにいる松尾が「よ~し、も1回行こう、起立、七つボタン始め~!」と

音頭をとる。それを聞き皆が立ち上がり、又大合唱が始まった。

「わ~か~い血潮の予科練は~♪」 松尾はご機嫌な様子。



音やんと別れた洋子はというと、岡崎動物園前で1人ぼっちの男の子を発見。

思い余って家に連れて帰った。



お開きになって、出口で

(たぶんお土産が入った)「京都セントラル物産」の紙袋が配られている。

小島に声をかけた松尾。「遠慮するな、大したもんじゃない。

俺の気持ちだけだから。それ小島、お前元気ないぞ。どうしたんだい?

そうかお前、今年定年だって言ってたな。心配するな。俺んところで雇ってやる」

ありがとう、でも何とか自分でやってみるさかい、と小島。

「あてがあんのか?そんな甘いもんじゃねえぞ」 なんとかなるよ…

松尾がしつこく続けた。「何とか何とかってそれがいかんのだよ。

俺んとこはな、国内ばかりじゃなくて世界120カ国に京都の物産輸出してるんだよ

なっ老後は俺にまかせとけって。心配するな」

おおきに、でもいいんだ と小島がやんわり断ると、

「何だ貴様!おい!予科練時代は劣等生だったかもしれんが今は違うんだぞ!」

と松尾は声を荒げた。

おいおいやめとけ、見かねた音やんが間に入る。

「音川なんだよ?余計なこと!」 

音やんは小島を先に帰らせて、松尾に言う。

好意の押し売りはみっともないぞ、え~? 「何だって?」 お~い、やめんか!



怒りが鎮まらない松尾を、音やんはなじみの菊子の店に連れて行く。

座れ! 「何だその言い方!」 

いいから座れ。なんぼ酔おててもな、あの態度わしは絶対ゆるさんぞ。

「酔ってるもんか、正気だ」 半分スネてる松尾。

そうか、ならお前はやな、正気であんな社長風吹かしたんか?

小島の身にもなってみい。

だいたいこの会はや、

地位も立場も忘れて皆裸になって話し合えるちゅうとこがええとこなんや。

それを貴様はなあ、ぶち壊したんじゃ。あほらしいて物も言えんわ。

「悔しかったら社長になってみろ」 松尾が負け惜しみ。

何~?おい貴様まだそんなこと言うとんのか

音やんもだんだんエキサイトしてきて、見かねた菊子が止めに入る。

この男がなあ、しょうもないことで…

「お前こそええかっこするな!」松尾が言い放った。

なんやこら!と音やンも負けてない。

菊子が仲直りしてとウイスキーを差し出す。

音やんがグラスについで、松尾に渡した。

黙って受け取り、ゆっくりグラスに口をつける松尾…

(右人差し指に絆創膏巻いてるの、どうしたんやろ根上さん?)



とここまでがプロローグ。

「男女の水死体はどこから来たか」

そして、キャストが紹介された。メインゲストはもちろん根上淳さんドキドキ



音やん帰宅して、男の子がいるのを知る。

物が言えないこの子を一晩預かることに。



翌朝、淀川河川敷で45,6歳の左靴を履いてない男の変死体が発見。

音川班は他殺の線で洗いなおすことに。

桂川・宇治川・木津川、3つの川で実験した結果、

遺体は宇治川から流れてきたことが判明、宇治川が捜査の対象になった。

鑑識からの報告で死因は水死、死亡推定日時は1月15日午後4時から5時。

遺留品の中にポケットから出てきた紙片があった。



京都セントラル物産に松尾の車が到着した。

お帰りなさいませ、先ほどから小島さまがお待ちになっておられます、と

受付嬢が松尾を出迎えた。

「そうか。(小島が表に出て来て)や~小島、よく来てくれたな。なんか用か?」

あ~実は…「まあ入れ」 松尾は笑顔で小島を中に招き入れた。



さて夜、洋子と買い物帰りだった男の子が、洋子が目を話した隙に

何者かに連れ去られそうになった。

洋子が追いかけて事なきを得たが、怯える洋子は音やんに連絡。

音やん達が家に駆けつける間、さらに庭にも何者かが侵入した模様。

捜査員が探すが特に手がかりつかめず…

そのまま家に上がって一休みしていた捜査員の1人が、

遺留品の紙片は「昼サロ」のかも?と言い出す。



ある昼サロを当たると、ビンゴ。

その男の名前は「小山紀夫」、一月前までそこのボーイだった。

辞めて2,3日後給料を受け取りに来たとき、みどりという女を紹介していき、

そのみどりも2,3日出勤していない、とのこと。

みどりのなじみ客というのが、

詐欺窃盗結婚詐欺の前があり音やんもよく知る横山であった。

横山は、音やんをみどりの住まいである簡易宿泊所に連れて行き、

みどりが、5日前に夫婦喧嘩したまま家を飛び出して、

子ども共々帰ってこないことを音やんに教える。

捜査本部は、横山・みどり・小山 の三角関係のもつれか?と

考えて、横山の監視を続けることにした。

一方、音やんは、みどりが姿を消したことが気になっている…



京都洛西信用組合桂支店から出てきた松尾は、通りで音やんにばったり会う。

「お~、音川」 「帰りか?」 「どうだ1つ」 よし と松尾の誘いに乗る音やん。



「いやあ、最近不景気でなあ、どうしようもないよ。

今日も売り上げが伸びんし、不渡りはつかまされるし、

ついでに未収金が多くてな~、資金繰りがつかんのだ」 と愚痴をこぼす松尾。

お前んとこだけ調子良かったん違うんか?

「いや、ここ2,3ヶ月下降線だ。まあそれで今日銀行の融資を頼みに行ったんだが

資金枠がないってんで断られたよ。もうおしまいだ…」

そんな話聞かされたら調子よ~飲むわけには行かんな。

「ハハハ、馬鹿言え、飲むぐらいの金あるよ。 おっ、しゅうちゃん、お銚子一本ね」

松尾がしんみり飲んでいると、カウンターの連中が

よ~し歌うぞ。さ~ら~ばラバウルよ~♪と手を叩いて合唱を始めた。

聞くに堪えられなくなったのか松尾は煙草をもみ消すと、

「やめろ~!やめんか~! 何だ貴様ら、その歌い方は?

いいか、この歌はなあ、

特攻で沖縄へ突っ込んでいった戦友の飛行機を見送るとき俺たち歌ったんだ。

やりきれない気持ちでな。何だそれを貴様ら。

バカッ面して歌いやがって」 と怒鳴った。

松尾やめとけ、みんなすまんな 音やんが松尾をなだめる。

だが松尾は続けた。

「よく聞け~! 歌ってやる。

さ~ら~ばラバウルよ~又来るまでは~しばし別れの涙がにじむ~♪」

朗々と情感たっぷりに腰に手を当て目をつぶって歌う松尾…

カウンターの連中はあっけにとられているけど、

音やんは、そんな松尾の姿に何とも言えない気持ちになる。

 

私もびっくりでした。まさかここで根上さんの美声を聞けるとは…音譜

それに歌っている松尾が、陸軍の飛行兵だったリアル根上さんと重なって、

音やん同様、ちょっと複雑な心境に。

松尾の心の底には、

青春時代を過ごした戦争のことが常に根幹にあるんだなと。

一見えらいさん風吹かしているこの人だけど、

ハングリー精神を持って、いつも必死に生き抜いて来た人なのかもと

松尾のことを思った。



さて…洋子が連れて帰った男の子、

小山にも同じ年恰好の子がいたことが、音やんは気になっている。

そこで、その子を連れて横山のところへ。

果たして、坊やは小山夫妻の子どもだった。みどりが働いている間、

いつも動物園の前で待っていた男の子は、以前はしゃべっていたと。



松尾家の娘・静江はもうすぐ婚礼を迎える。

あ~お父さん、お帰りなさい。

「あ~ただいま」 見て見て早く~ 「何だよ~」

静江の着物を見た松尾 「ほお~、綺麗なもんだね~」と感心する。

妻・冴子がそこへ。お帰りなさい、お風呂なさいますか?

「うん(腕時計を見た松尾)ちょっとこれから出かけるからな、帰ってからにしよう」

松尾が1人出かけた先は、沖縄料理店。

辺りを気にする様子を見せてビルに消えた松尾を待っていたのは、

おかみの歌声。

おかみに目配せしながら入ってきた松尾は、座ってまず一服。

歌い終わったおかみが嬉しそうに松尾の側に。

いらっしゃいませ。 「あ~」松尾もにこやかに答えた。

「いやあいいねえ、いつ聞いても」 

うふっ恥ずかしっ。(カウンターに)いつものお願いね。

「あんた、沖縄戦のとき、いくつだった?」

七つ、大砲の音や飛行機の音が怖かったわ~ とおかみ。

松尾は昔に想いをはせた。

(このおかみさん、まさか松尾の愛人?

そこまでの描写はなかったけど、

彼女との時間は松尾にとって安らぎのひとときであったのは間違いない)



捜査一課では…鑑識から依頼された大学からの調査報告が届いていた。

それによると、

小山の体内から、琵琶湖にしか生息していない植物が検出されたらしい。

死体は淀川、胃の中は琵琶湖の水…おかしいなあ~と課長。



静江のピアノの音が流れる松尾家へ、音やんがお祝いを持参した。

松尾はあいにく留守中。銀行の支店長と会うから遅くなるらしいのだが…



その頃横山は、車内である人物から札束を受け取った。

「少ないんだが、詳しく話してくれ…(その声は明らかに松尾)」

横山はしゃべった。

18日の午後、音川刑事に淀川の変死体の参考人として呼ばれて、

小山みどりとの関係を聞かれた…

警察とのやりとりを横山から聞いたその男は、車から横山を降ろし、

夜道を走って行った。

 


宿泊所に戻った横山を待っていたのは音やん。

横山が大金を懐に持っているのを不審に思った音やんは、

横山を問い詰める。

知らん男にもらった。呼び止められて車に連れ込まれ、

警察で聞かれたことを教えろと。

横山は、車のナンバーの一部を覚えていた。

京56 む 69-○○

去り際、音やんは棚の上の封筒に気づいた。

(これが松尾の社の物かは画面では判読不可)

小山みどりからもらったというその封筒には、

はずれ馬券のほかに、

京都セントラル物産が男子配達要員を募集する求人広告を掲載する新聞が…



一方、(恐らく横山と別れた後)松尾は、

沖縄料理店のおかみと2人、レストランにいた。

おいしかったわ~

「あ~君、アイスクリームね」とボーイを呼び止めた松尾。

(なんかこの「アイスクリーム」にちょっと笑えた私。可愛いじゃありませんか)

おかげさまで、随分助けていただいて…ありがとうございました。とおかみ。

そこへボーイが、松尾さまお電話です。 「ああ」

ナフキンを椅子の上に置き、席を立つ松尾。

煙草を一服吸ってから受話器を持った。

「あ~もしもし…あ~ああ…」 怯えた形相でガチャンと受話器を置いた松尾…

(電話の主は横山?

音やんに問い詰められた旨を報告したのか。

横山は、暗闇の中で会った松尾の存在をどうやって知ったのか…

そもそも松尾は、何で横山のことを知っていたのか…

ちょっと色々疑問が沸いてくる)



横山の記憶を元に車の所有者を絞る捜査本部。

その一覧の中には、当然松尾孝次の名前も挙がっているが、

犯行時間の15日午後4時から5時のアリバイは完璧。

当日午後4時から7時まで、

伏見の沖縄料理店で食事していたとのおかみの証言がある。

そして…セントラル物産の配送所での聞き込みで、

小山が北海道出身らしい、さらに用心深かったことも明らかになる。

追われているのと違うか。

京都へ引っ越して来てからまだ日が浅いのに、殺されるというのが解せん。

事件の根は北海道にあるんやないかと、音やんは推察する。

小山紀夫の風呂敷の中から、苫小牧のところに印をつけた時刻表が出てきた。



音やんは、坊やを連れて北海道へ向かった。

(夜行列車に連絡線というかなりマニアックな手段でした)

苫小牧駅に着いて、苫小牧署の井口と合流する音やんたちを

ビルの屋上から見ている人影が…

(これも恐らく松尾やん。だんだんストーカーになってきてます)

ホテルにて、トイレに入った坊やの後を着いてきたのは

見慣れた茶色の革靴にクリーム色のストールとグレーのコート、

そう、顔は映っていないが松尾だろう、革の手袋をはめて、

坊やを後ろから羽交い絞めにしてトイレ内で殺害でも企んだか…?

だが、人が入ってきて計画を断念、坊やをトイレに置いたまま、

そそくさと外へ出た。



雪祭りのために北海道へ来た菊子が、課長から預かった

坊やが口をきけないのはショックによる記憶喪失症との診断書を持って、

音やんの前に現われた。

そして…音やんは、坊やの記憶をたどって、

ついに支笏湖畔の小山の生家へたどり着いたのだ。

そこでは小山の母が、坊やを迎え入れた。

小山の母の話によると、小山紀夫一家3人は、昨年11月にいなくなっていた。

さらに材木工場を営んでいた小山紀夫の父が、

終戦間もない紀夫が11,2歳のころ、殺されて放火されたという事件があった。

行方知れずのその犯人は、伐採現場で働いた海軍の飛行機乗りで、

どぶろく飲んであちこちで悪いことをしたという。

そして、キムラコウジと名乗り、腕に大きな傷跡があったと…

音やんは、その傷跡の人物に心当たりがあった…

支笏湖に向かって音やんがつぶやく…

そうか、放火犯は松尾やったんか…

(松尾に傷跡があるかどうかは、番組では提示されなかったけど、

軍隊時代にでも知っていたんだろうか、音やんは。

それにしても松尾が北海道にいたとは。

京都まで、彼もまた随分遠くに流れてきたわけですね。

戦後の混乱期、松尾は荒れていたのか…

松尾が過去に犯した罪を考えると、

いくら時効になったとはいえ、何ともやりきれなかった)