あれから何度か
熱があっても食べやすそぅな
ゼリーやアイスクリームを
すすめても
いらないって頭を振るにのに
オイラはこまめに冷えピタを
取りかえてあげるしか出来ぬまま
次の日の朝を迎え
「にの‥水分とらなきゃダメだよ」
口元にストローを
向けると
コクッ‥ほんのひと口だけ
スポーツドリンクを飲み
またすぐに眠ってしまう
ってか、
本当に眠ってるの?
オイラが呼びかけるとすぐに
反応するってことは熟睡している
訳じゃなくて
ほんとは目を開けるのも
辛いのかも知れない‥
そんな風に不安になりつつも
あと一時間したらもしかしたら
熱が下がるかも‥って
あと一時間、あと一時間って
様子を見ているうちにすっかり
夕方になっていて
寝室の外ベランダに干したタオルを
取り入れながら薄紫に染まってく
夕空になんだか急に心細くなる‥
ベランダのドアを閉め
ベットの傍らに膝をいて
「にのもぅ一度、熱測ってみよ?」
布団をめくり
くったりしているにのの脇に
体温計を挟みしばらくすると
ピピッ♪♪
─── 38.8℃
*
バンバンバン
「やよいちゃん━━っ
。・゚・(ノД`)!!!」
インターフォンなんて付いてない
昔ながらの店の引き戸を
バンバン叩いて大声で叫ぶと
店の奧からやよいちゃんの影が
磨硝子の向こうにぼんやり見え
ネジ式の内鍵を回して錠を外し
ガラガラ戸を引くと夕食中だった
らしぃやよいちゃんが
手に箸を持ったまま口を
むぐむぐさせながら現れ
「どーした、おーちゃん
こんな時間に珍しい‥」
「大変なんだにのの熱がぜんぜん
下がんないっ」
「熱が下がらん? …おかしいの…
薬は飲んだのじゃろ?」
「そ、それが…」
歯切れの悪いオイラに
やよいちゃんが胡乱気に目を細め
「まさかとは思うが金次郎のヤツ
薬を飲んでおらんとは言わん
だろぅな?」
「えぇっと、………そのまさかで
ま、マズくて吐き出しちゃった‥」
「バカ者!」


