にのの今晩の晩飯のリクエストが
坂井シェフのなんとかって言う
レストランに出てくる
ビーフストロガノフとデザートに
ミルフィーユケーキで
その買い出しから戻りリビングの
ドアを開けようとした瞬間
まるでナイショ話しみたいに
トーンを落としたにのの声に
思わずドアの前で立ち止まり
気になって‥
ほんの少しドアを開いて
壁|∀・`)コソッ聞き耳をたてると
どぅやら誰かと
電話しているみたいで‥
『…バーカそんなんじゃねぇよ
全然………だもん……ぇっ?
…………ぅん、………‥ぅん……ぅん。
わかった………明日…』
───明日…
って、なに?
ドキンと心臓が大きく跳ね動揺し、
両手いっぱいの重い買い物袋が
ゴツンとドアに当たって
『大野さん?』
「…ぁ、うん…ただいま」
ドアを開き中に入ると
パソコンゲームしてたにのが
胡座をかいてる足の下にスマホを
スッ…と隠し
なに食わぬ顔で
『ありゃ、ずいぶんな荷物ですね』
「……晩飯のリクエストが、
ビーフストロガノフとミルフィーユ
だったよね?
にのが思うよりずっと材料も多いし
手間もかかる」
無意識にキツくなる口調が
抑えられない
だって、
なんでスマホを隠すのさ?
オイラに聞かれたくない内容だから?
それに、
明日…ってなに?
不安な気持ちが
イライラにすり代わり
「誰と電話してた?」
隠そうとしている
事実を見逃せず
まっすぐ
見つめ問うと
驚いた瞳が
ほんの一瞬揺らぎ
『……ぁあ…親!親!
ここに来てから電話してなかったから
元気にしてんのかって煩くて…
便りがないのが元気な証拠だって
言うじゃんねぇ(笑)』
*
にのが
嘘をついた
いったい何年一緒にいると
思ってんの?
にのが末っ子独特の雰囲気を
醸し出す口調のやりとりには
死ぬほど
聞き覚えがあって
しかも、
オイラはいつもそれを
微笑ましくずっと見てたから
誤魔化しなんて絶対効かない。
電話の向うの相手は100%
相葉ちゃんだ
でも何故それを
隠す必要がある?
そして、
──最大のギモン‥
オマエ、
食ったことあんのかよ?
ビーフストロガノフ。
オイラはねーよ。
どんな味なのか想像もできないよ
カレーやビーフシチューとかと
同類なの?
料理レシピアプリを見た感じ
見た目はハヤシライスぽいんだけど?
具材もたいして変わらないんだけど?
だったら、もぅ、
ハヤシライスでよくなくない?
ビーフストロガノフって…
私も知らん




