井上尚弥の入場曲はあれでいいのか?(後編) | 名盤アーカイヴ ~JAZZ・FUNK・FUSIONを中心に~

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管楽器が活躍するジャズ・ファンク・フュージョン・ブラスロックなどを紹介します。更新はゆっくりですが、いずれは大きなアーカイヴに育てていきたいなと思います。好きな音楽を探すのにお役立ていただければ幸いです。なお、過去記事はちょいちょい編集・加筆します。

ども。らっぱ小僧です。

 

本日は「井上尚弥の入場曲はあれでいいのか」の後編になります(以下に前編のリンクを貼っておきます)。

 

 前編の要点をまとめると入場曲に20年前のキムタク主演のドラマのテーマ曲ってダサすぎない?世界の格闘技ファンに向けてアピールする気無いだろ!」ということでした。...いやぁ、後で読み返すとなかなかキツイこと書いてますねぇ(笑)。(今回の入場曲はドラマ「GOOD LUCK」のテーマ曲「DEPARTURE 」)

 

 さて今回は前回の提言を踏まえまして、俺がかわりに選曲してやるぜ!の回です。無難に置きに行くパターンと思い切って冒険するパターンの2つを考えてみました。前回ボロカス書いているのでご批判は甘んじて受けます(笑)

 

  もし私がプロデューサーなら

もし私がプロデューサーとして入場曲の選考に関わるなら、以下の3点が選曲の基準になるでしょう

  1. 戦いを前にして井上尚弥本人のテンションが上がる曲
  2. 国内における井上尚弥のイメージと合致して日本人ファンの共感を得やすい曲
  3. 世界中の誰が見てもボクシングの入場として違和感が無い曲
 まず1.についてですが、試合の入場曲である以上、絶対に外してはいけないポイントだと思います。興行全体の中で一番こだわるべきは試合の質ですから、その大事な試合の前に井上尚弥の邪魔をするようなことは言語道断です。これについては井上尚弥の意向をを聴いてパターンを用意し、その中から選んでもらう形式がいいんじゃないですかね。
 
 次いで2.について。(前編)の記事で海外の格闘技ファンにマーケティングする姿勢が無いことを批判したとは言え、やはり一番観てくれるのは日本人なわけですから、ここへのサービスは欠かせません。絶対に外せないポイントは1.ですが、候補曲を挙げていく段階では2.が大きな指針になるでしょう。
 
 実際に選曲するにあたっては井上尚弥に対する世間が持っているイメージを念頭に候補曲を挙げていくことになります。井上尚弥に対する世間のイメージとしては「日本の代表」「クリーン(清廉)」「ストイック」「ベビーフェイス(善玉ヒーロー)」「漫画の主人公みたい」「規格外」等々があげられるでしょう。候補曲を絞っていくときに大事になってくるのは候補曲と世間のイメージとの距離感を意識することだと思います。がっちりハメにいくのか?それとも適切な距離をとるのか?ということですね。特にがっちりハメに行くのは危険が伴います。あまりにハマり過ぎていると陳腐にみえてしまうからです。今回の入場曲がまさにそれでした。もしがっちりハメに行くのならば曲単体でパワーがある曲を選んだり、演出を工夫する必要があるでしょう。
 
 最後に3.についてですが、これは2.の基準で候補曲を絞ったあとになるべく考慮するという感じでしょうか。海外へのマーケティングを意識するなら本当はこのポイントにも凝りたいところですが、あくまで邦楽を使わなきゃいけないとか、井上尚弥の好みで、というのであれば最低限考慮していれば問題ないと思います。
 
 もし私がプロデューサーなら以上のように考えるとおもいます。しかし正解のストライクゾーンは小さくないのでそんなに難しいわけではありません。ぶっちゃけ、ハード・ロックとかヒップホップだったら何でもそれなりに合うんじゃないでしょうか。
 
 諸々を踏まえて私が無難に置きに行くならこんな感じです
 

 

「ワンオク」ですね。曲は実写版『るろうに剣心』の主題歌です。

 

「ワンオク」は海外での活動に積極的でサウンドもグローバル志向だから海外の格闘技ファンが聴いても違和感は無い。世界で戦う井上と日本にとどまらず海外での成功を目指しているワンオクは自然に重なるので「日本から世界へ羽ばたく」的イメージを今の入場曲よりは余程スマートに表現できるでしょう。

 ちなみに重なると言えば、ヴォーカルのTAKAは歌手の森進一と森昌子の息子で元ジャニーズ所属という出自ですからベビーフェイスの井上尚弥にぴったりな感じもあります。

 

 難点を挙げるとするなら、井上尚弥の今の立場からすれば「ワンオク」では少し軽いかなぁというところでしょうか。ま、そこは演出でカヴァーしてもらうとして、現状よりだいぶマシになると思いませんか?

 

  冒険的に考えるなら

 

 最初はプロデューサー視点で多方面に配慮しながら無難に置きにいくスタンスで選曲してみました。次はプロデューサーから「なんか案出せ!」と言われて企画会議に案を持っていく下っ端の立場で考えてみます。最終決定を下す責任者じゃないのでここは思い切って攻めた提案をしてみましょう!

 

提案の前に、実は過去に「井上尚弥の登場曲として、もう既に正解出しとるやないか!」というのがあるので、先にご紹介しておきたいと思います

 

 映画「キル・ビル」より

 

 

 

 2022年、井上がまだバンタム級を統一するまえに、ノニト・ドネアと3本のベルトをかけて戦ったいわゆる「ドネア2」。その入場曲が映画「キル・ビル」のテーマ曲でした。しかも作曲者の布袋寅泰本人のパフォーマンス付き。これは良い!

 

 少しこの曲について解説を入れると、この曲はもともと邦画の「新・仁義なき戦い」の曲なんですね。それをクエンティン・タランティーノが東映のチャンバラ映画やヤクザ映画にインスパイアされて作った「キル・ビル」に使用したことで世界的な知名度を獲得しました。

 

 この選曲のポイントとしては、海外に向けての「日本っぽさ」を担保しながら、戦いに向けてテンションを上げていく、というところだと思います。     

 

この戦略に導かれつつ、私が2023年の年末にぶつけるなら…これでどや!!

 

 

 

 ゴジラは日本のポップアイコンとして世界的な知名度を誇る「キング・オブ・モンスター」。一方、井上尚弥の愛称は「モンスター」。この一致を使わない手は無いでしょう!この選曲は日本のみならず、海外の人も「なるほど!」って言って盛り上がるはずです!(ちなみにゴジラの作曲家といえば伊福部昭ですが、ゴジラ−1.0でリアレンジを担当しているのは、なんとGood Luckの音楽の方です)

 

 加えて2023年現在、全世界的にゴジラ・コンテンツが勢いを増している状況もあります。2014年以来、ハリウッドの制作会社レジェンダリー・ピクチャーズが東宝から使用許諾を得てゴジラを作り続けていますし(通称「レジェゴジ」)、日本では「シン・ゴジラ」に続いて現在公開中の「ゴジラー1.0」が大成功を収めています。ゴジラー1.0に関しては海外でも評判良いですからね。

 難点を上げるとするならば、一歩間違えばネタっぽくなりすぎて失笑を買う危険があるということでしょうか。ど真ん中ストライクでいいところ、敢えてストライクゾーンギリギリを攻めてる感は否めない。でもな〜、正直こんな入場が個人的には観てみたいんですよね〜。

 

  おわりに

 

いやぁ、ちょっとした思いつきだったんですが、真面目に考え始めたらなかなかの文量になってしまいました。

 

 と言いつつまだ書きます(笑)。ボツにした曲についてですね。ゴジラと迷ったのが人気ゲーム「MONSTER HUNTER(略してモンハン)」のテーマ曲ですね。フルオーケストラが奏でる豪華なサウンド、特にホルンが奏でる勇壮なモチーフは狩りの角笛を思わせ、戦いに向かう入場曲にはぴったりです。東京オリンピックの入場曲にも使われた実績もあります。なんだ!モンハンでいいじゃねぇか!

 ただ、モンハンには唯一にして最大のネックがあるんです…モンハンは巨大なモンスター狩るゲームなんですよね。そう。モンスター・井上尚弥を狩る挑戦者側にこそ相応しい曲で、「井上尚弥、狩られる側やないか!」というツッコミには如何ともしがたい。

 

 ここまで入場曲の選曲についてあれこれ書いてきました。選曲について書いてきて何なんですが、実は然るべきクリエイターに頼んでオリジナル曲作ってもらうのが、一番の正解な気がしてきました^^;

 ともあれ様々な条件を加味しながらTPOに合った選曲をすることは音楽好きの楽しみでもあります。我ながら面倒くせぇなぁ(笑)と思いますが、本年もしょうもない話にお付き合いくださり、ありがとうございます。それでは良いお年を!