ヨシノのいた時代【3月の巻(2)】 | トリュフ・ラボ-アクマで4コマ-

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この記事はマンガの公開ペースの調整のために検討した読み物のコーナーです。
 このコーナーを始めた経緯については今までの記事(→最初はこちら)をご覧くださいませ。

 では「ヨシノのいた時代・3月の巻」

 昭和4年~20年の3月の出来事には以下が挙げられます。

 昭和7(1932)年3月 満州国建国宣言
 昭和8(1933)年3月 国際連盟脱退
 昭和8(1933)年3月 米穀統制法公布
 昭和13(1938)年3月 戦艦「武蔵」起工
 昭和17(1942)年3月 日本軍がラングーンを占領
 昭和20(1945)年3月 主要都市への米軍による大規模戦略爆撃

 昭和20(1945)年3月 「国民義勇隊」が閣議決定

 昭和20(1945)年3月 硫黄島での組織的戦闘終結

 

 できればヨシノに身近な出来事、つまり国民生活に影響した出来事を紹介したいと思っています。
 そこで今回は昭和20年3月の出来事として「国民義勇隊」が閣議決定された件を取り上げます。

 今回の記事は資料として「日本本土決戦 知られざる国民義勇戦闘隊の全貌(藤田昌雄著:潮書房光人社)」を参照しています。
 300ページ超えの厚い本なのと、一次資料が多くて難解です。
 不足や間違いがあるかもしれないことを予めご容赦下さい。



 「国民義勇隊」は本土決戦を見据えた国内の態勢作りのために組織されました。
 兵役対象者を除いて、年齢は下は国民学校初等科の修了者、上は男性65歳、女性45歳の者が対象。
 ただし、この条件に当てはまらない者も志願すれば加入可能。

 要するに男女を問わず労働年齢の国民全てを「国民義勇隊」に加入させ、本土決戦態勢をとる上で必要な労働力の確保と命令系統の確立を目的としています。

 その任務は、1)食料の増産(耕作)、2)爆撃被災地の復興、3)戦闘以外の軍事関連作業(陣地構築や輸送)、4)空襲時の消火活動・・・等とされましたが、武器を持ち戦闘行為に及ぶ・・・つまり戦闘組織に移行するところまで含みをもたせてあったようです。

 この「戦闘組織への移行」は同年6月公布の「義勇兵役法」によって定められ、「国民義勇隊」を基本に「国民義勇戦闘隊」が編成されることになります。

 


 具体的には、地域ごと職場ごと学校ごとに隊が組織されます。

 例えば河鍋トリュフは千葉県東葛飾郡N村の村長を隊長とする"N村国民義勇隊"の隊員となり、さらに町内会ごとに班などに分かれて配属させられるのではないかと思います。
 N村の村長は"本部長"の管轄下にあり、この"本部"というのは都道府県単位で設置されます。
 本部長は都道府県知事が務めるようです。

 本部長の命令により市町村の国民義勇隊が出動する形です。

 ヨシノは彼女が籍を置く高等女学校の隊に所属します。隊長は学校長です。
 学校単位の国民義勇隊は特に「学徒隊」と呼ばれます。

 このように、文章に起こすとかなり国民生活に影響を及ぼしたのではないかな?と感じられる一方、意外と資料が少なく「国民義勇隊の発足で生活が変わった」とされる市民の記録も見たことがありません。
 その理由としては、そもそもこれより前から学徒動員、挺身隊、警防団、大日本婦人会等として戦争に関わる生活が「日常」になっていたからではないかな?などと考えています。

 さらに調べてみないと何とも言えないところです。

 


<以下、長ったらしいので参考まで・・・>

 「国民義勇隊」は、昭和20年3月22日に「国民義勇隊組織ニ関スル件」として閣議決定されました。
 この段階では「法令」ではないでしょうね、おそらく。
  地方自治体や企業などに対して「国民義勇隊」を組織して下さいという内閣からの発表といったところでしょうか?。
 とは言っても前述の資料を見た限り、自治体などは法令に準じた対応をしたものと感ぜられました。

 この「国民義勇隊組織ニ関スル件」の序文を以下に引用します(なお、原文はカタカナですがここでは平仮名に、また旧字体の漢字は現在使用されている漢字に置き換え、また句読点を追記)。

 国民義勇隊の企図するところが、かなりわかりやすく記されていると思います。

 
 国民義勇隊組織に関する件
 昭和二十年三月二十二日

 現下の事態に即し本土防衛体制の完備を目標とし、当面喫緊の防衛及生産の一体的飛躍強化に資すると共に、情勢急迫せる場合は武器を執って蜂起するの態勢へ移行せしめんが為、左記に依(よ)り全国民を挙げて国民義勇隊を組織せしめ、其の挺身総出動を強力に指導実施するものとす。
 尚、之(これ)が円滑適正なる実行を期する為、地方行政協議会長をして関係軍管区司令官及鎮守府司令官、警備府司令長官等と緊密に連携し夫々(それぞれ)事態の推移と管内の実情に即することを措置せしむ。



 ・・・うわぁ、読みづらいったらないね・・・。


 ともあれ昭和20年3月22日にこの件が発表されましたが、その後も国民義勇隊の組織を具体的に指示する内容として4月~5月に関連する発表が内閣から行われています。

 また、6月に公布された「義勇兵役法」は、これは読んで字の如く法律です。
 義勇兵の招集を不当に免れた場合には罰則が課せられる内容でした。

 

 

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