こんばんは、今回は公式ジャンル対応記事を挙げさせて頂きます。
僕がこれまでに紹介してきた作品を好まれる方には間違いなくオススメなのです。
ただしマンガではありません、イラスト・ルポというところでしょうか。
なのでアメーバさんから「ジャンル対象外だよ!」と告知を頂くのも覚悟の上です。
最初に本の情報を掲載します。
「迷宮歴史倶楽部
戦時下日本の事物画報」
著者:モリナガ ヨウ
掲載誌:歴史群像(学研)
出版社:学研
(先日8月8日に発売されたばかりですが、書店での入手は難しいかもしれません、とにかく入荷してる書店が少ない印象)
本の紹介の前に、この写真を御覧いただきたい!
これは千葉県が誇る城「大多喜城」。
この写真はイギリスの地質学者のロバート・ウィリアム・エセデッスが南房総の調査のために訪日した大正16年に撮影したものです。
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ウソです。
合ってるのは「大多喜城」ってとこだけです。
皆さんは、どこで嘘だと見抜けましたか?(笑)
地質学者の名前でしょうか?
大正16年という年号でしょうか?(大正は15年までしかない)
それとも著作権を気にするトリュフが、しれっと写真を転載してる時点でおかしい!と思った貴方!・・・僕のファンですね!?
さて、この古写真はフォトショップでそれっぽく作ったものでして、実際には下のような景色でした。
これは先日8月13日に僕が撮影したものです。
さて、前置きはここまで。
(1)この本の概要の紹介です
今回ご紹介する「迷宮歴史倶楽部」は、今は失われた景色、道具、服装、風俗などを著者が細部まで調査し、イラストに起こして解説をした一冊です。
イラストのテイストが描写が正確でありながら、素朴感も感じさせる味があり、解説もユーモラス。
肩肘張らずに、それでいて読み応えもある「面白い」内容です。
特に、副題の通り"戦時下の日本の生活"に多くのページを割いてあり、僕はすぐに欲しくなりました。
(2)モノクロ写真から真実を探る!
モリナガさんのイラストは全てカラー。
でも、描かれている物の多くは今では失われてしまったものです。
イラストを描き起こすために参考にした資料は解説の中で挙げられていて、僕も持っているものも多々登場します。
ですが・・・基本的に劣化したモノクロ写真なんです。
それをカラーイラストに起こすために更に調査をして真実に近づこうと努めている様子もこの本から感じられます。
そして、やはり気づくのはモノクロ写真とイラストの印象の違い!
・・・ここで最初にアップしたニセの古写真のお話になるわけです。
ニセの古写真ですけど、かなりそれらしく加工した自信があります(笑)。
そして、加工後の写真からは元々の風景を想像するのは難しいであろう、とも考えています。
同じ難しさが、本物の古写真から在りし日の姿を追求することにもあると思われました。
モリナガさんのイラストは、イラストとして目指したテイストもあるのでしょうけど、軽快で鮮やかという印象です。
そして、やはり調査をした上で描かれていますから説得力もあります。
真実は、重い空気のただよう古写真ではなくて、こちらの方かもしれませんね・・・?
断言はできませんけど、そういう可能性に目を向けてみるのは面白いし、創作のためにもプラスになると感じます。
(3)僕は甘かったなぁ(^^;)
そして、自分事で恐縮ですが、自分の作品については考証が足りてないなあ・・・と思わされました。
拙作の描写で「ここはどうなの・・・?」ってところは、もう何箇所か見つかってるんです(^^;)
印刷した後では、致し方もありませんが・・・
「迷宮歴史倶楽部」はビジュアルだけじゃなくて、当時の社会制度や風俗にも踏み込んでいます。
日本の近現代史に興味があり入門書を探している方はもちろんのこと、表現や創作をしている方にも気に留めておいて頂きたいなあ~と思わせる一冊でした。
(4)余談ですが
前回の本の紹介で話題にした、こうの史代さんの「夕凪の街」。
この舞台は昭和30年の広島市です。
そして、昭和30年の広島市の写真集というのは既に出版されていまして、こうのさんは間違いなくご覧になっていると思います。
でも、写真集と「夕凪の街」の景色の描写は、かなり印象が異なるんです。
「夕凪の街」も緻密な調査に基づいて描かれていますので、その上でのこうのさんの想像力と、そして創造力・・・つまり、こうのさんの手によるアレンジや演出によるものかな?と考えます。
また「迷宮歴史倶楽部」もそうなのですが写真のようなリアルさではないです。
でも考証された正確な描写と(写真のリアルとは違う)味のある演出された絵ってのは、ちゃんと両立が出来ると思います。
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