2020なでしこリーグ第15節 浦和レッズレディース VS マイナビベガルタ仙台レディース | Redの足跡 ~浦和レッズレディース~

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試合開始から非常に良い入りをするレッズレディース。

開始早々に佐々木のゴールで先制すると、その後も攻守にアグレッシブなプレーで仙台を圧倒する。

 

コンパクトにした中で狭い局面でも自信を持ってパスを繋ぎ、守備への切り替えも速く球際でも厳しく寄せる。

 

そして一番目立ったのは縦パスの意識である。

アウェイで引き分けたセレッソ戦直後のジェフ戦で感じられた仕掛けの意識がさらに洗練された印象で、流動的に動きながらも縦パスをダイレクトで落として3人目の選手が受けるシーンも多く、さらに清家の突破や猶本のドリブルシュートなどしっかりと崩しやフィニッシュの形に繋げられているのが良かった。

それができるのは単に個々の意識の高さだけではなくチームの共通理解として成熟してきているからに他ならない。

 

対する仙台は前から前からとプレスをかけに出てくるが、行っても行っても交わされ、逆にその裏を突かれて突破されるため徐々に前から行けなくなり、ブロックを敷いて待つ形になっていく。

するとさすがにズバズバ縦パスが入る状況ではなくなるが、レッズレディースは落ち着いてボールを保持しながら試合をコントロールし、隙があれば清家を中心に仕掛けの意識も失わない。

 

22分には佐々木のシュート性の鋭いクロスに菅澤が飛び込むダイナミックなゴールで追加点を挙げると、その後も優位に試合を進めて折り返す。

 

 

 

後半も上々の入りをしたレッズレディース。

追いつこうとまた前からプレスを掛け始めた仙台に対し、前半同様にテンポよくボールを繋いで交わすと、右サイドを中心に何本かのチャンスを作る。

 

しかし一瞬の隙というべきか、ペナルティエリア外からのシュートを池田がこぼしたところを詰められて一点を返される。

 

そしてちょうどそのタイミングで栗島に代えて安藤を投入すると、ここから少し流れが悪くなる。

 

今シーズンは栗島の途中交代が多いが、栗島の体力面や代わって入れる選手の突破力への期待以上に、水谷をボランチに据えてそのキープ力やボールさばきでポゼッションを高め、試合を落ち着けたいという意図があるように思う。

しかし私はそれが機能した試合としなかった試合は半々だと考えている。

水谷は足元の技術だけでなくこぼれ球に対する読みも非常に良い選手だが、前に出て相手を潰したりボールをインターセプトする能力という面では栗島の方に優位性がある。

それに対して仙台は縦に速い攻撃に特徴があり、中盤でのパスコースの限定が緩んだことで仙台の縦パスが入りやすくなってしまった。

 

そうするとレッズレディースの重心がやや下がり、前後の距離感が悪くなってしまい、ボランチに据えた水谷のパスセンスも活きにくくなるという悪循環だ。

 

菅澤が痛めて高橋に代わり、さらに安藤をトップに移して4-4-2にするとその様相はますます強くなる。

 

それでも一気に守勢に回るまでは至らないのが今の力関係で、ややオープンな展開ながら安藤、塩越、清家と決定機に近い形はレッズレディースの方が多く、最後は遠藤を投入して攻守の運動量を補い締める。

 

2-1の勝利。

 

 

試合後の森監督のコメント通り、前半は非常に良いゲームで、後半は(守備面で)やや緩くなってしまった。

今シーズンは試合後の監督及び選手のコメントが当日中に出されるようになり、インタビューワーの質問の質も高くて非常に良いが、上から目線で言わせてもらうと、このところ監督や選手のコメントが私の試合分析と一致していることが多くなっている。

チームとしてやろうとしていることが明確で、出来たことと出来なかったことの整理がシンプルに出来るようになっているのだろう。

 

この試合のポイントは栗島を下げるタイミングだったと私は考えているが、森監督のコメントから後半は個で仕掛けていく意図だったということで、ある程度決定機も作れていたので、そこをさらに磨いていけば良い。

また、前半と同じ戦い方をできるだけ長い時間続けること、そのためにコンディショニングが大事だというコメントにも同意する。

 

 

そしてこの試合のPOMは1ゴール1アシストに自陣ゴールライン際でのクリアといった目に見える活躍をみせた佐々木で間違いないだろう。

さらに付け加えたいのは開始2分の得点後も、10分までの間に右SBの清家のクロスに菅澤が飛び込んだ裏で左SBの佐々木が大外から詰めていたシーンが2度あったことだ。

中盤で細かく繋いで突破するが故にペナルティエリア内の人数が薄くなりがちな中で、佐々木はこれまでの試合でも常にそこを補う動きをしており、この試合ではそれが結果に結びついた。

右の清家と比べると任された役割として目立たないが、囮になるスプリントやガッツある守備、何度も上下動を繰り返す運動量、ミスの少ない足元の技術と判断力など、チームを助ける献身的なプレーを高く評価したい。

 

 

さて、ベレーザに敗れた後の試合で、慎重で弱気になりがちなところを、さらにアグレッシブな戦いで乗り越えた。

次は一週空いてのアウェイ戦だが、試合当日の記事でも述べた通り、まずはコンディショニングを大事にして良い準備をしてもらいたい。

 

 

以上。