木崎あおい 移籍 | Redの足跡 ~浦和レッズレディース~

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心穏やかならぬ季節がまたやってきてしまった。
試合毎のプレーの評価以外に選手個々に対してコメントする機会がなかなか作れず、結局こういうタイミングになってしまうのだが、心を込めて送り出したい。
 
木崎あおい ちふれASエルフェン埼玉に移籍

2016年春のユース卒業生は、適切な表現ではないかもしれないが取れ高の良い世代で、8名が高校3年生まで全うし、その内4名をトップチームへと引き上げた。
その年代は個性的且つ特徴的な武器を持つ選手が多く、また同時に昇格した他の3名は2種登録の実績があった中で、どちらかと言えば地味な印象だった木崎あおいについて当ブログでは”サプライズ””最後尾からのスタート”という表現を使った。
予想通り昇格したシーズンの序盤は練習などを見学していても戦力としてはまだまだ厳しく、加えてチームの成績不振や当時の監督による選手の固定と序列主義もありチャンスは少なかった。
 
しかし出場記録を見返してパッと記憶が蘇ったのは初出場となった試合である。
2点をリードされて残り10分を切り、試合内容からも勝機はほとんどなくなったと言わざるを得ない状況で、勝敗を度外視したお試し起用にも感じられる投入だったが、短い時間でも自らをアピールしてやろう、そしてチームを勝たせたいというアグレッシブなプレーはストレスの溜まる試合の中で再び私の体を前のめりにし、胸を熱くさせてくれた。
 
2017年シーズンは他の選手の怪我などにより元々本職ではなかった左SBのポジションを任され、最初はポジショニングや左足でのキックの質など多くの課題を抱えていたが、1試合毎に目に見えた改善と成長を続け、ライバルが怪我から復帰しても実力で十分渡り合えるくらいの力をつけた。
 
またもう一つ、こちらは記録を見直さなくても鮮明に思い出すことが出来るが、レッズレディースで唯一となった得点シーンは衝撃的だった。
高い位置でのインターセプトからそのまま縦に突破して左足を振りぬいたシュート。
周りの選手がスローモーションに見えるほどダイナミックで豪快なプレーは今思い出しても胸を昂ぶらせてくれる異次元の輝きだった。

こうやって振り返ると昇格した当時の私の評価をポジティブな方へ次々に覆していくサプライズだらけの選手だった様に思う。
それを支えたのはしばしば覗かせる負けん気の強さであり、アグレッシブなプレーは多くのファンサポーターを魅了したに違いない。
そして地味な印象を抱いていた私にとって、この負けん気の強さこそが最大のサプライズだった。
 
本来ならこのように気持ちを表に出してプレー出来る選手はチームに必要不可欠であり、選手自身も高いレベルでの競争により大きく化ける可能性を秘めていると考える。
それだけに2部への移籍はもったいなく残念でならない。
 
一方で移籍の公式コメントに「苦しいこと、悔しいこと」とあるが、本職ではなかった左SBにコンバートされ、努力を重ねて期待を上回る成長で応えながら、怪我人が戻るとポジションを奪われ、最後はライバルとの競争に勝ったにも関わらず監督交代によりまたポジションを奪われることになった。
コメントの真意は分らぬが、きっとその部分での悔しさもあったであろう。

ユースの頃から長く見続けているいるので、まだ20歳だということにも驚くが、その間いくつも驚きを与えてくれた選手だ。
2部への移籍はもったいなく残念と述べたが、持ち前の負けん気でそれさえもポジティブサプライズで覆してもらいたい。

近い将来、厄介な対戦相手として戦える日を楽しみにしている。
 

以上。