2015年 RS第10節 浦和レッズレディース vs ジェフユナイテッド市原・千葉レディース | Redの足跡 ~浦和レッズレディース~

Redの足跡 ~浦和レッズレディース~

浦和レッズレディースのブログ、観戦記。
女子サッカー、なでしこの話題。

■試合結果
2015年7月12日(日) 17時キックオフ・浦和駒場スタジアム
浦和レッズレディース 0-1(前半0-1) ジェフユナイテッド市原・千葉レディース


得点者:38分 菅澤優衣香(ジェフL)


観客数:2,279人



■スタメン
復興支援試合で早い時間に退いた乗松はやはりダメ。
選ばれて然りの日本代表候補に名を連ねていない時点で嫌な予感はしたが、もう少しかかるであろう長船でさえ候補に入っているのでさらに嫌な予感がする。
代わりは予想通りちばみのが初出場で初スタメン。


それより驚いたのは右SB。
石井、臼井、栗島と候補のいる中で中断前はパフォーマンスの上がっていなかった和田が先発。試合での出来とは別でウォーミングアップではコンディションの良さそうな動きをしていたので納得。


さらに驚いたのはながふうのベンチ入り。
同日の13時から行われたユースの関東リーグの試合で猛暑の中25分プレーした直後の試合。
もちろん入念にコンディションチェックはしただろうし、若いので回復力も高いだろう。
実際にこの試合でのパフォーマンスも体力面での問題は全く感じなかった。
ただ、選手の扱い方として気に入らない。
日本女子のトップリーグを舐めてんじゃねえ。



    後藤 清家


  吉良     柴田
    岸川 猶本


北川 高畑 千葉 和田
      平尾


サブ:池田、臼井、石井、長野、栗島、加藤、白木



■途中交代
HT:千葉 -> 長野
岸川がCBに移り、ながふうがボランチに入る。


64分:吉良 -> 加藤
同ポジションでの交代。


84分:和田 -> 石井
同ポジションでの交代。
石井は流れの中ではほぼ中盤のラインまで上がりっぱなしの印象。



■得点シーン
38分 菅澤優衣香(ジェフL)
レッズレディースがジェフ陣内で中央から崩そうと縦パスを入れるも跳ね返され、セカンドボールを縦に早くつながれると抜け出した菅澤選手がディフェンスと1対1の状況に。
ドリブルでつっかけられペナルティエリアに侵入されると、左上隅に豪快に蹴り込まれる。

菅澤選手に入った時点で難しい状況であることは間違いないが、鉄則として外側に追い出す守備の対応が必要であった。



■試合内容
序盤、昨年の皇后杯準決勝と似たような流れ。

ジェフはいつものように前線から運動量をもって圧力をかけ、レッズレディースをサイドに追い込む。
加えて菅澤選手がディフェンスラインの間に立ち、サイドチェンジのコースを塞ぐ。
上手く逆サイドに展開しても、ものすごいスビードでジェフがスライドして再び縦に蓋をされる。


ビルドアップに定評のある乗松と比べ逆にそこに課題があるちばみのと、左に入ることが多かった右SBの和田という慣れない最終ラインはあたふた。
平尾へのバックパスにプレスをかけられてあわやのシーンを迎えるなど、正直ハラハラして観てられないという状況。


昨年の皇后杯ではこの状態から後半に清家を投入して縦のボールを多くすることでプレスを回避し、清家の突破力も活きて盛り返したが、同じ手が通用するほど甘くもなく、縦の長いボールもしっかりとケアされる。
レッズレディースは最前線の三知が戻りながら頭ですらし、やや下がった位置から入れ替わるように清家が裏へ出る狙いだっただろうが、櫻本選手と磯金選手という前に強いCBとでは分が悪い。
三知は相手を背負いながら縦パスを収めてキープする能力は秀でたものがあるが、決してハイボールに頭で勝負するタイプではない。(ある程度は器用にやってのけるが。)

11対11の中で完全にはめ込まれたという印象。


それでも序盤のバタつきからやや落ち着くと、ほとんどボールを触らせてもらえていなかったハナがドリブルで仕掛けて惜しいシュートを放つなど良いシーンも出始める。
見えてきた狙いは守備では高い位置からしっかりとプレスをかけることと、攻撃ではサイドを起点として中央へ斜めに楔を入れ、再びサイドを使うこと。
いったん中央に収めて、空いたサイドの北川に猶本から良いパスが出るなど、何本かは形らしい形もあった。


しかし全体的には完成度はまだまだで、ジェフの方が一枚上手という感じ。

SBも上がり前がかりになった隙を突かれて簡単に1対1の局面を作られると、先制点を奪われて前半終了。


後半頭からながふうを投入し、岸川をCBに下げるとディフェンスラインは落ち着きを取り戻す。
ジェフのプレスも前半頭の運動量からはやや緩んだこともあり、組み立てと言えるボール運びができ始める。


ここからようやく中断期間中にトレーニングした攻撃面の上積みを出すべきシチュエーション。
またRS前半戦は後半に多くの得点を奪えたこともあり期待も膨らんでいたのだが、何をやりたいのか全く分からない幼稚なサッカー。


分からないというのは嘘で、皆が"清家、なんとか頼む"という褒められない共通意識が垣間見えさえする。
アバウトに縦パスを送っても何本かに1本は清家の個人能力で惜しいところまで持っていけ、このやり方が肯定されていまうからたちが悪い。

千佳を投入してもワイドに起点を作ろうなんて発送はもう頭にない。
ならば白木を投入して徹底的に中央から勝負をすればよいものの、石井を投入してあくまでサイドからの組み立てにこだわっている様子。


最も気になったのは守備のブロック、全体のポジションバランスで、中盤も最終ラインもガタガタで動きの連動もない。

「(ボールに)いけ。」という声は聞こえるが、ポジショニングやラインを修正するような様子は明確には伝わってこない。


"あの美しい3本のラインは何処へ"なんと思いながら試合終了。


0-1で敗戦。




■まとめ

シュート数やCKの数を比較しても互角、いやチャンスはレッズレディースの方が多かったかもしれない。

冷静に振り返るとやりたいことの片鱗は見受けられ、右はハナ、左は北川からのサイド攻撃で惜しい場面もあった。

トップに当てて猶本が裏へ飛び出す場面もあった。

しかし結局は盤石のジェフの掌の上で踊らされたというべきか、虚しさに近い感情が残る。


気になるのは吉田監督の選手起用、ベンチワークで、乗松の代わりにちばみのの先発に異論はないが、深澤選手という高い運動量と前への突進力のある選手に対して、右サイドを和田と組ませるのはリスクが高い。
しかも自らの失敗を認めるようなHTでの交代とポジションチェンジ。
千佳と石井の投入も、点を取るために戦術的に仕掛けるというよりも、同じやり方の範疇でのリフレッシュの意味合いが強く、スイッチを入れるメッセージにはならなかった。

上に書いたながふうの起用も含めて理解に苦しむ。


一方で千葉望愛のなでしこデビュー自体は心から祝福したい。
悔しさの残るほろ苦い内容だったかもしれないが、私はそうは思っていない。
菅澤選手相手にも前へ前へガツガツいく守備が出来ていたし、空中戦でも良く競れていた。
トレーニングマッチで観られた特徴や能力は存分に発揮できていて私は嬉しかった。

それでも代えられてしまうのは実力の世界。もっと成長が必要ということだ。


戦術面で中断期間中にどんな上積みが出来たか期待していたが「清家に縦ポンじゃねぇか」と言われても致し方なし。

セットプレーも中断前よりは可能性を感じたが、結局は苦しい試合を救うまでは至らず。

客観的に考えて、修正がなかなか難しい状態と言わざるを得ない。

外野の好き勝手な意見としては、北川を左SHに上げれば攻守に重心が前に移るのではと思ってはいるが。


今節は上位チームが勝ち点を伸ばし、下位で勝ち点を得たのは引き分けた湯郷のみ。

上位4チームとは溝を開けられ、ESの上位リーグ、下位リーグの分かれ目は混戦の様相。

正直、下を見なければならない状況。

しかし、連覇という言葉を捨てたくはないし、苦しいけど歯を食いしばって闘わねば。



■その他

試合終了前から席を立つ方がちらほら、、、どころじゃなく中央のブロックは笛が鳴った時には半分くらいの観客になっていなかったか。

ポストカードが猶本だったからだよね。(すまん、田尻)

退席された方々を責めるつもりは全くなく、試合終了後先着という仕組みがいまいちだよね。


長船がスタジアムに顔を見せてファンサしてた。

状態についても少し話をしてたけど、無理せずに確実に直して戻ってきてほしい。

待ってるよ。


試合終了後サポーターへの挨拶が終わって選手が引き上げて行く時、終始うつむいたままの後藤三知に励ましの言葉がかかったんだけど、その時うつむいたままの三知の唇が「すみません。」と動いたような気がした。

気のせいだったかもしれないけど、次もまた一緒に全力で闘いたいと思った。



以上。