快勝で気分がいいので（と言ってはなんだが）、久しぶりにこのシリーズを書いてみたりする。
■平尾知佳
快勝のなかでもハイボールの対応やロングキックの質に不安定さが見えた。
特に後半は点差的に余裕のある展開でプレーが軽くなりすぎたか。
年齢と経験を考えればこれまでの安定感、頼もしさの方が驚きで、結果的にはこの試合も無失点で終えている。
若いから仕方ないと言われないようにもっと上を目指してほしい。
■堂園彩乃
前後にも中央にも的確なポジショニングを取り、連動して壁を形成した。
球際での強さに加え、ボールが来る前の駆け引き、準備にも経験を感じさせる。
攻撃面では相変わらずキックの精度に課題がある。
■乗松瑠華
前にも後ろにも強さと速さを発揮し、読みの良さも含めて守備の要として存在感を示した。
ロングフィードに関しては質も然ることながら迷いのない選択がチームに良いリズムを与えている。
球際やゴール前での泥臭いプレーも見逃せない。
■高畑志帆
常に声を出し闘将としてチームを鼓舞し続ける。
これまでよりもさらに勇気をもったラインコントロールでコンパクトさを保ち中盤を助けた。
遠ざかっているセットプレーからのゴールにも期待をしたいのだが。
■岸川奈津希
前節の悔しいPKを受けての先制ゴールは感動もの。
強引に持ち込んだシュートは気持ちを感じるとともに、いい流れだったチームにさらに勢いと自信を与えた。
攻守に渡っての力強いプレーも含めてこの試合の主役と言って良いだろう。
悔しさをエネルギーにしなくても、平均的にこれに近いパフォーマンスを継続できるかがこの選手の課題だ。
■猶本光
ゴールシーンはこれまでも再三ゴール前へ飛び出していたのがようやく実を結んだという感じ。
前節2点差を追いつかれたことを考えても前半での3点目はチームに勇気を与えたに違いない。
攻撃では前後に何度もボールを引き出しに動き、自らの得点以外の2点にも絡んだ。
守備でも絶えずポジション修正を繰り返してチームを支えた。
■柴田華絵
コンパクトで密集した中盤の中でその技術と攻守の切り替えの速さ、運動量を存分に発揮。
中盤の攻防で上回ったのは間違いなくこの選手の貢献が大きい。
ゴールに近いところでの力強さに課題はあるが、やや長いスパンで成長を見守っていきたい。
■加藤千佳
ゴールシーンは文句のつけようがなく素晴らしい。
それを生んだおもいきりの良さ、またそのおもいきりを生んだのはコンディションが上がっているからに違いない。
守備でも献身的にハードワークし、時には中央まで絞ってチームを助けた。
■吉良知夏
ボールの受け方には成長がみられ、守備でも献身的にプレスバックして相手ボランチに余裕を与えなかった。
しかし幾度かあったペナルティエリア内での決定的シーンを決めてこそこの選手の真価。
どんな献身的なプレーよりもゴールを期待したい。
■後藤三知
柔軟さと力強さを両立する動きが戻り、コンディションの良さを感じさせた。
周りとの距離感もよく、泥臭いプレーで攻撃の起点となる一方でターンして自ら突破する姿勢も強かった。
守備で最後まで献身的に走り続けるところも彼女らしかったが、唯一シュートがなかったことだけが残念である。
■清家貴子
シーズン前半の勢いと比べるとダイナミズムに欠け、ワントップとして最低限の働きはしたが、止まっている時間もあった。
味方の運動量が落ちた段階ではもっとはっきりとした動き出しが必要だろう。
■臼井理恵
集中してしっかりと人を捕まえに行き、運動量も多く終盤に投入された役割を果たした。
決定的チャンスまでは演出できなかったが、少ない時間の中でもダイナミックな突破で良さを出そうとする姿勢もみられた。
■坂本理保
5バックとして最終ラインに張り付くことなく、出るときにはしっかりと人を掴みにいけていた。
久しぶりの出場かつ押し込まれた状況の中でも安定したプレーをみせ無失点で試合をクローズさせた。
■吉田監督
悔しい引き分けからよく立て直し、コンディション面でもメンタル面でも闘うチームに仕上げた。
指示も一貫して攻撃的で、且つ要所ではしっかりとリスクマネージメントする声も聞こえた。
隙を見せずにきっちりと勝ちきるための選手交代で3-0の勝利に導き、チームに自信を取り戻させるとともにリーグの展望を考えても貴重な得失点差も手にした。
以上。