かなり時間が経ってしまったけど皇后杯の観戦記を掲載させていただく。
「絶対書く」と予告していたのでもし待っていた方がいらっしゃったら遅くなって本当にごめんなさい。てゆーか、もう過去の出来事になってしまったかしら。
昨年と同日、同会場である藤枝総合運動公園サッカー場でのゲーム。
スタジアムへの道中、赤や黄色に色づく紅葉の山々をレッズレディースと吉備国大に例えたりして待ち焦がれた試合に思いを馳せる。
天候はどんよりと曇り、会場へ向かう途中少しだけ雨もぱらついたが、試合中は全く降らず。雲で日差しが遮られて冬の寒さの中ではあったが、昨年の強風を伴う寒さに比べれば通常の冬の試合の寒さだといえる。
まあ、試合終盤は寒さを感じる余裕もなく、逆に手に汗握る状況だったけどね。
■スタメン
メンバー発表の時、この試合における登録ポジションではなく、シーズンのチーム登録上のポジション(正しい言い方かわからないが)で発表され一瞬動揺。
⇒和田、彩乃がMFで千佳がFWでコールされる。
事前情報があった高畑と三知のうち高畑はスタメン、三知はリザーブからのスタート。大滝がスタメン。
選手入場の時、キャプテンのワッペンを巻いて先頭で入場してくる岸川。
そう言えば今シーズン、三知にどれだけ負担をかけ続けてきたか。
吉良 大滝
加藤 柴田
岸川 藤田
堂園 坂本 高畑 和田
池田
サブ:田尻、石井、猶本、安田、後藤
なお、ベンチ外の選手たちも当日移動で全員がスタジアムに集結。
成合だけが見当たらなかったような。
■選手交代(レッズレディースのみ記載)
57分:大滝⇒三知
同ポジションでの交代。
65分:のん⇒猶本
同ポジションにではあるが、どんどん前に出て行けとの指示だと思われ、攻撃的なポジションで自由に動き回る。
79分:彩乃⇒石井
怪我による交代。和田が左SBに回り石井が右SB。
■ゴールシーン
☆レッズレディース
69分:吉良
中央の三知から左サイドのハナへ開き、深い位置から素晴らしい質の浮き球のクロスボール。ゴール前中央に走り込んだ吉良が左足で押し込むようなジャンピング(?)ボレー。
☆吉備国大
45+1分:西川選手
レッズレディースにとっての右サイド、深い位置から吉備国大のスローイン。中央の倉員選手が受け、ペナルティエリア内で相手を背負って受けに入る西川選手へ縦パス。ボールをきっちり収めると右回りにターンして左足のシュートフェイント。ディフェンス2人が飛び込んでしまい、右足で冷静に流し込む。
67分:倉員選手
(ちょっと記憶が曖昧)
吉備陣内からのFK。縦に長いボールを入れると、競ったボールがレッズレディース右サイドの倉員選手へ流れシュート。
■試合内容
まず、キックオフのスタートポジションにセットすると後方のさっこと高畑から大きな激が飛ぶ。「入りしっかり」だったかな?
他の選手も含めてこれまで以上に声が出ており、試合の入り方を大事にする姿勢と試合にかける意気込みは十分に伝わる。
試合開始数分が過ぎると徐々に両チームのやりたいことが見え始める。
レッズレディースは大滝に三知と同じ役割を与え中央でボールを収めて起点をつくる形を狙う。ただし、縦に大きく蹴るのではなく、足元でつなぎながら前へ運ぶパスが多く、しかもパスの距離が短い。
試合前週のREDS WAVEでの彩乃のインタビューでは、吉備に見立てたジェフとのトレーニングマッチの収穫として「前線からのハイプレスに対して、一度相手の裏へ返してなるべく高い位置でプレスすることを全員で確認できた」とのコメントがあったので違和感を覚えた。
一方、吉備国大はいつもと変わらない戦術。
3-5-3の両サイドが引いて5バックで受け、奪うと前線に張った西川選手にロングボールを放り込み、濱本選手と倉員選手が近くでフォローして縦に仕掛けてくる。それに対して相手が引くと、両サイドが駆け上がり空いたサイドへ展開して勝負しながらクロスを入れてくる。
いつもの戦い方ながら縦とサイドの使い分けが非常に整備され磨きがかかった印象。入れ替え戦という厳しい戦いを乗り越えてきた成果か。
システムが4-4-2と3-5-3の布陣でがっちりとかみ合わない中で、それをうまく利用できていたのが吉備の方だった。
特に吉備の3トップが高い位置でレッズレディースの最終ラインと駆け引きした中で、右サイドへ展開された時に人数が足りなくなり、守備の不安な和田が吉備の吉武選手と主導権を握られた中で勝負に持ち込まれるケースが何度もあった。
(JFAアカデミーの先輩後輩対決で面白い攻防ではあったのだが。)
中央では高畑と西川選手の空中戦が見もので、こちらは高畑がファールすれすれで跳ね返し自由を与えない。(ファールもいくつか取られたけど。)
一方、レッズレディースの攻撃は大滝に三知と同じ役割を与えるもプレースタイルが合わず、ビルドアップの拙さもありボールがつながらない。
ただし、吉備の狙いも大きな展開で前線との距離が遠いため、パスの出し手にプレスをかけると出しどころがなくなりミスが起こりやすく、吉良や大滝がボールをかっさらいそのままゴール前へ持ち込むチャンスが幾度となくおとずれる。
また、千佳の個人技やいつもより仕掛ける意識が高いハナからも惜しいチャンスを作るが、そこで決められなかったのが結果的には勝負の分かれ目だった。
シュート数こそ多かったが、相手のミスにつけ込んだだけで主導権を持って戦えた試合でないことは獲得したCK数が2本のみであったことからも言えるのではなかろうか。
前半アディショナルタイムの相手スローイン、我慢して0-0で折り返したいと思った直後に失点。アディショナルタイムだったこともあるのだろうが、残念だったのはリーグ戦の湯郷戦で見られた様なすぐに取り返しに行こうという気迫が見られなかったこと。
前半終了するとサブの三知が梅原コーチが付いたなかでウォーミングアップのピッチを上げ、早い交代を示唆させる。
後半に入るとサイドの攻防に対して1つの策を打ってきた。
千佳とハナの両SHが高い位置を取り、相手の両SHを閉じ込める策だ。
これが、一定の効果を生みポゼッションはレッズレディースに傾くも、逆にリードした吉備がゴール前をしっかりと固める形になりシュートへ持ち込めない。
ここで57分、早くも大滝に代えて三知を投入。すると変化はすぐに現れ、三知と吉良との近い距離のパス交換に千佳やハナを絡めて、吉備のゴール前に何本もゴールを放り込む。しかしゴールを割れない。
さらにのんに代えて猶本を投入。
しかしその直後に一瞬の隙をつかれて失点。2点差となる。
またその直後に吉良のゴールで一点返して1-2。
ここから、攻めるレッズレディースと守る吉備国大の我慢比べとなる。
猶本はものすごい運動量で下がっては散らし中央へも飛び込んだけど、彼女の活きる戦い方ではなかったように思う。
そして徐々にパワープレー気味となりゴール前で紙一重のシーンが何度も訪れる中で、千佳との交代で安田がライン際に出てきた直後にアクシデント。
レッズレディースの左CKから中央の競り合いで西川選手の後頭部と彩乃の側頭部が激しく衝突。2人とも担架で退場。
レッズレディースは安田をキャンセルし、彩乃に代えて石井を投入。
最後は高畑を前線に上げてパワープレー。
終了間際のセンターライン付近からのフリーキックでは全員がゴール前に入り、さっこが放り込むもぽっぽの(今シーズン初?)シュートはGKの正面。
そしてタイムアップ。
ピッチに倒れこむ選手たち。
ゴール裏への挨拶が終わると多くの選手たちが涙を流し、特に吉良、岸川、高畑、和田などは泣き崩れてしばらく立ち上がれず。
そんな姿を見せられると、こちらも我慢できるはずもなく一緒に涙を流す。
うまく言えないから誤解を恐れずに表現すると、岸川、高畑、和田の試合最終盤の形相は人間のそれを超えてたように思う。必死とはこのこと。
もちろん、たまたま私の目に入っただけで皆そんな思いで闘ってたよ。
多分私も尋常じゃなかったと思う。
そんな中でもキャプテンの三知だけがメインスタンドの観客に対しても一人で深々と頭を下げる。その姿にキャプテンとして背負っているものの重さを感じずにはいられない。本当にお疲れ様。
しばし放心状態の後、いくつもの「たられば」を思いながら帰宅。
敗戦の悔しさについては試合当日の記事に記したとおり。
そっちが生々しいからここでは改めて書かない。
悔しいがこの場を選手たちと共有できてよかったと思う。
かなり長い文章になってしまったが、今シーズンを語る上で大きな試合のひとつだし、なでしこTVなどの映像もないので私の備忘としても書きたいこと全部書かせていただいた。
お付き合いいただきありがとう。