医療費適正化計画の中間評価(平均在院日数の縮減) | セカンドライフの生きがい

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医療事務システム開発・販売会社を譲渡後、61歳でセカンドライフに入りました。別の仕事を続けながら生きがいを探す日々です。

電子カルテ「ユニカルテ」株式会社ユニコン社長の鶴田真一郎です。

昨日5月31日に引き続き、厚労省の社会保障審議会医療保険部会の5月24日会合で、提出された「医療費適正化計画関係資料」に記載された平成20年度から24年度まで実施されている医療費適正化計画の中間評価の「平均在院日数の縮減」についてご説明します。

平均在院日数縮減1

「第1次医療費適正化計画策定時における療養病床再編成の考え方」です。平成18年に医療療養病床が23万床、介護療養病床が12万床ありましたが、医療費適正化計画実施と軌を一にして、介護療養病床を平成24年3月末までに廃止することになっていました。赤枠のように、平成24年4月以降は、医療療養病床21万床、介護療養型保健施設や特別養護老人ホームが老人の療養を受け持つことになる予定でした。

平均在院日数縮減2

「医療療養病床・介護保険施設について」です。医療療養病床、介護療養病床などの施設基準の一覧表です。ベッド数の数値は平成23年時点の数字です。医療療養病床26万床、介護療養病床8万床となっており、平成24年3月の目標数よりはるかに多くのベッドが存在していることが分かります。

平均在院日数縮減3
「療養病床数の推移」です。平成18年から23年まで半年ごとに調査したベッド数が時系列で並んでいます。医療療養病床は平成20年まで減少傾向にありましたが、その後増加に転じて、平成18年より増えています。一方、介護療養病床は、一貫して減少しており、平成18年より30%以上減っています。

平均在院日数縮減5

「療養病床の転換意向等調査の結果について」です。医療療養病床の転換先は「一般病床」が多く、介護療養病床は「医療療養病床」への転換が多いとなっています。医療療養病床の数が増えているのは、介護療養病床の減少分の大半が医療療養病床に転換したためだということが分かります。介護療養病床は介護保険ですが、医療療養病床は医療保険から支出されますので、療養病床の動向は医療費適正化の考え方に沿っていないということになります。

平均在院日数縮減6

「介護療養病床の取扱いについて」です。平成23年の段階で、介護療養病床の転換が進んでいないことを受けて、介護療養病床廃止の方針は維持するものの、既存病床にかぎり、廃止時期を平成24年3月から6年間延長することになりました。6年後というのは、次回の診療報酬・介護報酬同時改定の年にあたります。この時の改定はかなり規模の大きなものになりそうです。 

平均在院日数縮減4

「病床転換助成事業の現状」です。介護療養病床から介護保険施設に転換する場合、助成金を受けることができます。平成20年度から23年度までの推移が示されていますが、4年間で3,150床しかありません。各保険者から転換助成支援金が拠出されていますが、平成24年3月時点で、59億円が剰余金として残っているそうです。このまま転換が進まないようであれば、保険者に還元することもありうるとしており、療養病床の転換政策が構想通りに機能しなかったことが明らかになっています。

以上が、医療費適正化計画の一方の柱である「平均在院日数の縮減」に欠かせない療養病床の転換についての中間評価の内容です。特定健診・特定保健指導が着実に成果を上げているのに比べ、療養病床は見通しが立っていないというところでしょう。この問題は、医療費適正化という狭義の問題というより国民医療全体に関わる重大な問題だと感じます。マクロ的な視点での対処が必要ではないでしょうか。