TRPG読み専の隠れ家 -2ページ目

◆ルール

 

さて、それではいよいよ具体的なルールについてお話ししましょう。 それはどのようなものでしょうか?
 

そうですね、あなたはキャラクターとその作成方法が驚くほどシンプルであることに気付くことでしょう ――あなたは文字通りたったの5分か10分でキャラクターを完成させることができます。 あなたは8つの能力値を持っています――体力度、耐久度、器用度、速度、幸運度、知性度、魔力度、そして魅力度です。 人間のキャラクターは始めは3D6を振ってそれらすべてを決定します(実際、T&Tは完全に“ d6”のゲームです ――多面体のサイコロは必要ありません)。 人間、ドワーフ、エルフ、あるいはもっと空想的なレプラコーンや妖精などの「種族」(「血族」と呼ばれる)もあります。 D&Dのキャラクタークラスと同じように、「タイプ」、おおまかには「アーキタイプ」または「職業」があります。 コアゲームはあなたに戦士、魔術師、そして盗賊を与えます。 そして、精緻化セクションは、「専門家」と「市民」のためのガイドラインを提供します。

 

いかなる種類のクレリックも登場しないという点は注目に値します―― D&Dと違って、 T&Tは、特別敬虔な信者によって神の奇跡が振り回されることのない世界で展開します。 治療法は、聖職者ではなく、魔術師の(そしておそらく錬金術の専門家の)領分です。 私にとって、これらはすべてT&Tのユニークなフレーバーの一部です。 トンネルズ&トロールズの世界は、トールキンの模造品や紛い物の中世世界というよりも、もっと「剣と魔法」ものの諸作品、ファファード&グレイマウザー、アラビアンナイトのほうに近い世界なのです。 私は、神々ではなく常命の者たちこそがプレイの焦点であるT&Tのゲームにクレリックを押し込もうという誘惑には常に抵抗しています。
 

そしてこの点は、T&Tを他とは違うユニークなものにしている何物かを明らかにするための良い出発点でもあります。

 

コアゲームの仕組みについて説明する前に、T&Tがどのようにキャラクターの成長を処理するのかについて説明しておきましょう。 経験値は通常「冒険点」と呼ばれ、あなたはそれらを時間をかけて少しずつ手に入れます。そしてあなたは(ほとんどの場合)あなたの能力値を増やすためにそれらを使います。 そうです、キャラクター作成時に用いられる3d6の3〜18という数字の範囲は、開始パラメーターにすぎず、あなたのキャラクターは(生き残りさえすれば――T&Tは危険なゲームであり、だからこそキャラクターの作成が非常に簡単なのだろうと思われます!)その範囲を大きく逸脱した能力値を持つようになるでしょう。 T&Tのキャラクターは50点以上の能力値を持ち、100点に達することも珍しくはありません。それはゲームの概念の重要な部分です―― T&Tの能力値の範囲は、概念的に大部分のRPGのものと非常に異なっています。

 

しかし、平凡な初期キャラクターの体力度が11点である(あるいはせいぜい3〜18点である)というのなら、「体力度が100点である」とはいったいどういう意味なのでしょうか? 実のところ、それは物語の次元が多少抽象的なものであるなどというわけではなく、体力度が100点のキャラクターは体力度が10点のキャラクターの文字通り10倍の強さを持つ、という意味です。彼は常人の10倍の荷物を運ぶことができます。戦闘ではさらに多くのダメージを与えます。そして体力度を用いた離れ業の判定で、彼は常人の10倍の能力を発揮します。

 

これはT&Tのゲームの現実の一部です。 T&Tの宇宙には活動的でおせっかいな神はいないかもしれませんが、多くの「スーパーヒーロー」がいます。そしてあなたのキャラクターはそのうちの1人になることができます。 実際、DT&Tのトロールワールドセクションの設定にある創世伝説は、この世界を形作りまたかき乱してもきた偉大なる者達は神々そのものではなく、「偉大なる魔術師」であることを明らかにしています。 「神々の戦争」ではなく「大魔術師戦争」というわけです。 あなたのキャラクターは、もし彼らが生き残れば、そのように人の域を越えた巨大な存在となるでしょう。幾多のコナン達、クーフーリン達、ヘラクレス達そしてヘカテ達へと。

 

これは重要であり、そしてまたクールです。 それはゲームの焦点を人間とその偉業に非常に集中させています。そしてその意味では、非常に民主的、無政府的、そして能力主義的なイデオロギーです。 T&Tの世界とは、凶悪な悪魔の前に身を寄せあって震えあがったり、光り輝く神々の前にひれ伏したりするのではなく、世界の中で貴方の占めるべき座を巡って、自ら対戦相手と肘をぶつけあい相争う世界なのです。 それはあなたの冒険のための世界と活動の舞台があなたのキャラクターに合わせて拡大することを意味します ――素晴らしいことではありませんか。

 

 

 

では、あなたはそれらの能力で実際にはどんなことができるのでしょうか? 最初から(少なくとも、第5版から――個人的には、それ以前の版ではおそらく事情は違っていたと思います) T&Tは相互に関連し、織り交ぜられた、しかし各々独立して並走する二つのコアメカニクスを持っていました。 DT&Tは実際にそれらを単一の統一されたメカニクスにまとめるのではなく、無傷のまま保持した形で開発されています。


 

 ◆ルールブックの内容

 

よろしい。さて、最初に、デラックス・トンネルズ&トロールズはデラックス(豪華)です。 それは分厚い本です。 主にモノクロではありますが、複数のカラーイラストを含む368ページ、PDFとソフトバックおよびハードカバーの物理書籍バージョンがあります。見栄えの良い本です。 カバーアートは象徴的で独創的なリズ・ダンフォースによるもので、私などには、これぞトンネルズ&トロールズ、と感じられます。彼女のイラストは本全体を飾り、以前のT&T製品の古いクラシック作品と新しいまたは今までに見たことのない作品とを結びつけています。スティーブ・クロンプトンによるアートワーク(トロールワールドの美しい地図を含む)とロブ・カーバーによるクラシック。 テキストは、 T&Tの創造者ケン・セント・アンドレ、リズ・ダンフォース(彼女は第5版と同じ美しい明瞭さと正確さでゲーム全体を編集しました)、そしてジェイムズ(ジム)・“ 熊の”ピータース(彼は伝説的な「ベア・ダンジョン」の製作者です)。 このゲームはフライング・バッファロ―社のリック・ルーミスによって公開されています。彼はこの新バージョンに資金を提供した、非常に成功したキックスターターも運営していました。

 

ただ、たしかに大きな本ではありますが、デラックス・トンネルズ&トロールズのサイズは少々欺瞞的です。印刷は多くのハードカバー本のそれよりも大きく、そして紙は厚く、もっと切り詰めるプロデューサーならおそらく内容を約2/3のサイズに絞り込めたでしょう。しかし、T&Tはこれまで常に大きく、元気がよく、親しみやすいものでしたので、 DT&Tの膨張した感じはそこによくフィットしていると言えます。しかし、これは念頭に置いておいていただきたいのですが、DT&Tは言葉数の多い、凝った文章で書かれた本ではありません。非常に完成度の高いゲームではありますが、ルールは実際には簡潔で、複雑ではなく理解しやすいものです。

 

まず、この本の3分の1以上は「トロールワールド」、DT&Tの背景設定、およびサンプルアドベンチャーに費やされています。 D&Dと同様に、T&Tはモジュラー型のオープンなFRPGで、自作されたものを含むあらゆる設定で使用できます。 実際、その歴史の大部分の間、T&Tには公表された公式の世界設定はありませんでした。 トンネルズ&トロールズ(および、ケイシアオム社の素晴らしいストームブリンガー第1版を含む他の多くのゲーム)の尊敬すべき創造者であるケン・セント・アンドレは、長年にわたり公開されてきた多くのソロアドベンチャーとGMアドベンチャーの中でT&Tの世界設定をそれとなく示しては来ましたが、その膨大な量に渡る詳細についてはこれまで公開されていませんでした。 カザン、クノール、コースト、恐怖の街、ベア・ダンジョンなどと呼ばれる、じれったくなるような手がかりはありました。しかし、T&Tをプレイした私たちのほとんどは、これらの場所を私たち自身のキャンペーンの一部として組み込むか、世界全体の地理や歴史とは関連を持たない単なる一回性のものとして扱うかのいずれかにしていました。

 

それがいまや! デラックス・トンネルズ&トロールズは、本当に初めて、トロールワールドの十分に詳細な設定情報を公開しました――豪華なフルカラーの世界地図(スティーブ・クロンプトン作)、カザン、クノール、コーストといった各都市の、その地下に広がる領域まで含めた地図、そして55ページにわたる、世界の3大大陸と無数の島々と群島についての地名辞典と解説文。 それは見るに楽しく、そして古参プレイヤーの目からみても十分に満足のいくものです。

 

私なら別のやり方をしていたであろうこともいくつかはあります。例えば、縮尺表記のない世界地図は最近かなり一般的に見えますが、私はすべてのマップに明確なスケールを付けます (私はマッパーです。そのため、この種の詳細は重要なのです)。さらに、私ならいくつかの冒険のフックを地名辞典の中に散りばめていたかもしれません。しかし、それはうわべの装飾に関わる話です。この資料は本当に素晴らしいと思います。

 

そして、本の3分の残り3分の2、ページ1から226までがあります。あなたがT&Tの前の版を知っているならば、あなたは構造に精通しているでしょう。最初は「基本ゲーム(ルール)」です。T&Tのゲームの基本にして全体――キャラクター作成、行為判定、戦闘、魔法、モンスター、マスタリングなど――ですが、これは155ページの長さで、10ページの呪文索引がついています。 もう一度言います。ゲーム全体で155ページ、親しみやすいタイプです。 他のゲームならおそらく100ページにテキストを圧縮するでしょう。そしてそれは30数ページの、呪文に関する説明文を含んだうえでの話です。

 

言い換えれば、 DT&Tには山ほどのルールはありません。 基本的にそれは単純なゲームです。しかし、それは柔軟で直感的で、そして即応的な判断とあらゆる状況への応用に向いています(T&TにSF、現代スパイ、そしてポストアポカリプス物のバージョンが存在することは故のないことではないのです)。 HeroQuest 、Fate 、Savage Worlds 、または「オールドスクール・ルネッサンス」に属するいずれかのゲームのファンであれば、ここには多くの賞賛に値するものがあります。 あなたはたぶん1、2分の読書で、T&Tをプレイするために学ぶべきルールの全てを拾うことができるでしょう。

 

本の次の3分の1、166から226ページは、「詳細ルール」と呼ばれ、 T&T第5版の同じ名前のセクションに似ています。基本的に、ハウスルール、ヴァリアント、およびゲームへの追加モジュールの格納庫です。怪物的なキャラクター、言語、騎乗動物、宝物決定チャート、キャラクターの「タイプ」のための高度なルール( D&Dのキャラクタークラスよりも少し原型的ですが、大体似ています)などを含みます。 ゲームを遊ぶために必要不可欠なものではありませんが、あなたが導入を望むのであればいつでも使うことができます。

 

そして最後に、この本の最後には2つのアドベンチャーが含まれています。1つは基本的に死んだキャラクターのための「アビスにて」というソロアドベンチャー、もう1つは「ゾルの奥地へ」というGMアドベンチャーです。 個人的に私は「アビスにて」は導入用のソロアドベンチャーにはあまりふさわしくないように思います――それは少しばかりニッチで、そして他のソロのようにトロールワールドの雰囲気を感じさせません。私ならおそらく「ゴブリン湖の冒険」のようなものを選んだでしょう。しかし、どちらにしてもそれは良いアドベンチャーではあります。

 

「ゾルの奥地へ」は面白い冒険です。 私の最初の直感は、フライングバッファロー社の人たちは、たとえば彼らの象徴的なGMアドベンチャーである『ベア・ダンジョン』などを選ぶべきだったのではないかということでした。しかし良く考えてみると、それは良くないアイデアだったでしょう――第一に、「ベア・ダンジョン」はコアルールブックに収めるにはおそらく長すぎます。第二に、それは少々オールドスクールすぎるとも言えます――本質的には生のままのダンジョン巡りですから。 「ゾルの奥地へ」は、「イーグル大陸」の都市ズカリアでの社会的交渉、ゾルの内陸部を踏破する旅、そして最後のダンジョンでの冒険の3部構成の冒険であり、そのそれぞれが、DT&Tのルールが再現できる様々な側面のショーケースとなっています。 それはケン・セント・アンドレによるT&T作品への素晴らしい追加であり、そしてそれはうまく機能するように見えます。

 

これが本の概要です。 足りないものはありますか? まあ、ないことはないかもしれません。 つまり、この本にはモンスターの百科事典は含まれていません。その欠如は興味深い決断です。 以下に述べるルールの概要からわかるように、 T&Tは非常に詳細なモンスターデータには依存していません。そうしたデータを使用することもできますが、する必要はありません。 代わりに、対戦相手は単一の「モンスター・レート」(または「MR」)という数値を使って、たとえば「MR20」(平均的な人間のようなもの)から「MR500」、モリアのバルログ、さらには悪竜スマウグのような怪物までもが表現されます。

 

「詳細ルール」内に、50から60種類のモンスターがそのモンスターレートと出現数とともにリストアップされたワンダリング・モンスターの表がありますが、正直なところそれがあなたが必要とするものの全てです――もしもあなたが「MR25のオーク」以上のことを知る必要があるのにそれができないほどオークというモンスターに不案内なのであれば、代わりにあなたがもっと慣れ親しんでいる数多のモンスターの寓話や伝説を参考にすることもできます。そこにはきっと、あなたがこのゲームで必要とする以上の数のモンスターたちが存在していることでしょう。

 

さて、見たところおそらくフライングバッファロー社はモンスター事典に関するプランを持っているようです。私が思うにそれはこのゲームのプレイに必須ではないまでも、クールで使い勝手が良く、DT&Tのルールがモンスターを使ってどんなことができるのかの素晴らしいショーケースになっているものと思われます。その詳細は下記をご覧ください。

 

ファンタジーの良さが詰まった、デラックス・トンネルズ・アンド・トロールズRPG

 

2015年12月29日(火) 投稿者sarah newton

 

 

(以下の記事は、海外のレビューサイトBlack Gate に投稿されたデラックス・トンネルズ&トロールズRPGのレビューの翻訳です。
元ページ

https://www.blackgate.com/2015/12/29/packed-full-of-fantasy-goodness-the-deluxe-tunnels-and-trolls-rpg/                                                           

                                                                 )

 

 

 

1980年、イギリスの中学校1年生の最後の日に、私は11才の他の子が、アドバンスド・ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ(AD&D)の文庫版コピーを持っているのを目にしました。その1年か2年前に私はトールキンの作品に出逢っており、その本の中のドラゴンと剣の描かれた挿し絵、そしてさらに重要なことに、本の後ろにあるダンジョンマップと図表の存在とに、すっかり魅了され夢中になっていました。しかし、11歳の私には小遣いがあまりありませんでした。その日は夏休みの最初の日で、リバプールのゲームショップのカタログを持っていたので、私は、多少なりともAD&Dに似ていて自分にでも買えそうなものに1.75ポンドを投資しました―― バッファロー・キャッスルというスリムな小冊子に。

 

私は自分が何をしているのか分かっていませんでした。 数日後に小冊子が家に届いたとき、私はそれが完全なゲームではなく、 トンネルズ&トロールズと呼ばれる別のゲームの一部であることに気づきました ―― 「ソロアドベンチャー」と呼ばれるものです。

 

私は挫けませんでした。自分自身でルールを作り、地獄のようなバッファローキャッスルでの冒険をプレイして、 そしてトンネルズ&トロールズのルールブックのために小遣いを貯め始めました。

 

――このまったくの偶然によって、このとき私は、おそらく私の人生全体を形作る道に出くわしていたのです。

 

35年ぶん時間を早送りします(「35」は素早く言って、気にしないことにしましょう)。 数ヵ月前、私は過去数年にわたってキックスターターが資金を提供し、今まさにゲームストアと一般購買者に向けてリリースされた、トンネルズ&トロールズ・ロールプレイング・ゲームの最新かつ最高のエディションを購入しました。 ケン・セント・アンドレ、リズ・ダンフォース、そして "熊の"ジェイムズ(ジム)・ピータースによって設計および作成されたこのゲームは、デラックス・トンネルズ&トロールズと名付けられましたが、事実上、T&Tの第8版となります。ただし、他の多くのRPGとは異なり、この第8版は以前の版とそれほど遠く隔たってはいません。あなたが(私のように)第5版のルールで育っていたのなら、まったくの外国に来てしまったような気分にはならないでしょう。ありがたいことに、それはほとんど同じゲームです。

 

当時、 T&Tは (誰もがそう呼んだように)「大したお楽しみ」でした。 しかしそれはいつも、ロールプレイングゲームのおそろしくシリアスで本格的な形式を主張する偉大なる父、ダンジョンズ&ドラゴンズの影の中に立っていました。しかし子供にとっては、T&Tの自由奔放な性質は息をするのと同じくらいに自然なものでした。 私がD&Dに――そのより制限的な(そしてはるかに言葉の多い)ルールに――切り替えたとき、私たちは皆、百科事典のような厳粛なルールブックをなんとなく良いものだと思い、そして数年のT&Tの後、私はもっと複雑なゲームに移行しました。
 

そして、奇妙な言い方になりますが、これらすべての歳月を経てトンネルズ&トロールズに戻ってきた私は、このゲームがとても素晴らしく熟成されたことに驚いています。 ある意味で、それはあの時代に作られたものというより、本当に現代的な感じがします。 それはD&Dよりも現代的でさえあります……

 

説明する必要があるでしょうね。

 

過去15年間で、ロールプレイングゲームのデザインに革命が見られました。 ルールシステムは、プレイ中に物事を調べる必要がないことを重視して、非常に複雑かつ巨大な百科事典的ルールシステムから、軽量のゲームへと移行してきました。 また、それらはやや「具体的」でなく、「物語的」になってきています。つまり、ルールのメカニクスの根底にある支配的なメタファーは、特定の行動を完了することとサイコロを振ることとが一対一の関係になるというよりも、あなたがしようとしていることにあなたが成功するかどうかを見るためにサイコロを振るというものになってきています。

 

より「伝統的」なRPGはこう言います――あなたの剣がヒットするかどうか/錠前をピッキングできるかどうか/呪文を唱えられるかどうか、を確認するために、サイコロを振ってください。 より「ナラティブ」なゲームはこう言います――あなたが敵を打倒できたかどうか/ドアを通過できたかどうか/魔法を使って貴方の問題を解決できたかどうか、を確認するためにサイコロを振ってください。―― それは大きな哲学的な違いであり、そして過去15年にわたり、多くのゲームが彼らの偉大なイノベーションとして宣伝してきました。

 

もちろん、トンネルズ&トロールズは当初からそうしてきました。 例えば、その全体的な戦闘システムは、あなたの武器のダメージをダイスロールしてそれを対戦相手のダメージの合計と比較し、それからより合計の高い側が勝ち、敗者に損害を与えると宣言しますが、それが物語の中でどのように見えるかの詳細な描写はプレイヤーとゲームマスターに任されています。 そして、さらにもっと賢明なことに、ダイスロールが行われる前にプレイヤーとGMが行動を描写してきた方法が、ダイスロールの結果をどのように描写できるかについての基礎として使用されます――それが戦闘であろうと、ドラゴンをうまく出し抜いたり、綱渡りの間でバランスをとったり、鍵のかかった扉を開いたり、複雑なパズルを完成させたりする等々の試みであろうと。

 

トンネルズ&トロールズは、「ナラティビズム」、「物語」、「ゲームフィクション」などの概念について具体的に言及したことはありませんが、ロールプレイングゲームの黎明期以来、プレイヤーとGMが自分たちの好みに合わせて調整できる方法で、静かにそれらの概念を実践してきました。 2015年の今現在の目で見ると、それはちょっとした驚きと言えます。 そしてもちろん、それはT&Tを徹底的に現代的なものにするだけでなく、過去十数年間のクールな哲学的および技術的な啓示をこの古くて新しいゲームで直接採用することも可能にしています。いまだかつて、今この時ほど、トンネルズ&トロールズをプレイするのに適した時代はありませんでした。

 

少なくとも、これがあなたの注意を引くことを願います。 どんな種類のロールプレイングゲーマーにとっても、新しいデラックストンネルズ&トロールズには一見の価値があります。