TRPG読み専の隠れ家 -3ページ目


・建設コスト面

 スターキラー惑星の質量の圧倒的大部分を占めるのは元からそこにあった天然の惑星であり、人間が作ったのはビーム砲部分とその周辺施設、あとは溝だけである。
 しかもデススターの場合には自前で用意していた惑星破壊ビームのパワー源すら天然の太陽であるため、スターキラーそのもののジェネレーターに惑星破壊級の出力が要求されるわけではない。

 以上二点と総体積の比較映像から考えて、兵器としてのスターキラーは人造物の体積比においてもまた出力においてもデススター以下であり、かつての帝国ほどの資力を持たないファーストオーダーにも建造可能なほどに安価な兵器であったと考えられる。

・兵器としての難点

 スターキラーのビーム砲は劇中の描写を見る限り、一射あたりの破壊力でデススターの数倍、射程距離に至ってはまさに天文学的な倍率で圧倒的に上回っている。しかし……

 前述の通りスターキラー(砲)が設置されているのは天然の惑星である。
 つまり元居た公転軌道から移動することができない。(デススターは明らかにハイパースペース経由で各星系を渡り歩ける。)
 しかも天然の惑星は当然固有の周期で自転しているため、スターキラー砲の砲口は(劇中に見るとおりある程度の方向修正は可能であるにしても)あの惑星の1日のうち半分の時間は狙いたい方角の反対を向いている。
 もちろん、惑星の反対側からやってきた敵の艦艇を狙い撃つこともできない。

 他の太陽系に移動できないという欠点は、一見、超光速ではるか彼方の太陽系を破壊できる射程で相殺可能だと勘違いしそうだがこれも早計である。
 なぜならスターキラーは発射に太陽エネルギーを消費する。実にたったの2射で太陽が消滅するほどの量をである。
 したがってスターキラーは最大2個の太陽系に属する計10個ぐらいの惑星を破壊したのちには、「たとえ無傷で健在だったとしても」エネルギー切れかつ補給も不可能な完璧な役立たずと化し、公転軌道からもはずれ、あてどなく宇宙をさまよい始めることになる。
 ファーストオーダーとしてはあとはこのゴミを、機密漏えいを防ぐために自分たちで破壊する以外に道はないのである。

 かつてのデススターは第一にせよ第二にせよ、破壊されさえしなければ当然ほぼ恒久的に使用可能であり、 実際に惑星を吹き飛ばすにせよその威力で威圧するにせよ、たいへんな長きにわたって非常に広範囲の太陽系を帝国の支配下に置くべく役立ち続ける想定だったであろうし、実際その力を持っていた。

 以上のことから考えるに、ファーストオーダーの建造したこのスターキラーという新兵器は帝国ほどの資材も人員も持たない彼らがやむを得ず急造した間に合わせの兵器であり、かつてのデススターの不出来な代替品だったのであろうというのが合理的な結論である。
 もしも今後ファーストオーダーが首尾よく銀河を支配し、かつての銀河帝国にならぶほどの力を得た暁には、彼らとて今度こそその総力を挙げて、第3デススターの建造に着手するのではないだろうか。