読書日記2025-40

ここでは言葉が死を招く

嶋中潤(著)

[講談社2024年10月発行]


ここでは言葉が死を招く [ 嶋中 潤 ]

 

 あらすじ

日本という国が檻のようだーー。 不寛容、偏見、差別、利権。 命に係わるこの場所には持ち込ませない。
金子由衣の勤める医療刑務所分院では、外国人受刑者のための翻訳機の導入、通訳の確保が課題となっていた。 現在由衣が担当する外国人受刑者は、肺動脈性肺高血圧症のインド人女性、卵巣癌のベトナム人女性、そして宗教上の理由で輸血を拒絶しているアメリカ人男性の三人。 意思疎通に不安を感じながらコミュニケーションと治療を重ねていたが、治療を台無しにする事件がおきてしまったーー。


感想

『ここでは誰もが嘘をつく』

『ここでは祈りが毒になる』

に続く第3弾。


今回は受刑者の外国の人を相手に奮闘する由依先生。 いや悪戦苦闘!?

国籍、宗教、思想の違い…

何よりも言葉でのコミュニケーションが取れないこと。


後半は宗教観が掘り下げられていて…

「他力本願」の意味や

キリスト教と仏教の考え方、違いにハッとしました!


死生観も人それぞれだし、それを受け入れるのも医者の在り方とも常々思うのだけど…


由依先生、真面目で正義感も強くて患者さんに真摯に向き合う姿も素晴らしいのだけど、なんかやり過ぎる?


仕事って、特にこういう医療センターで働くには、"割り切り"って必要なのでは?

公私の区別をしっかり付けないと、自分が壊れてしまうと思える…。


知らない世界を知れるし、勉強にもなる話なんたけど、読みながらモヤモヤが拭えないシリーズかもしれません?!


う〜ん…痴呆の高齢者を養ったり、外国人の犯罪者を日本の税金で高額になりかねない医療まで無料で与えることにも、実はちょっとモヤモヤなのかもしれないな…


ありがとうございましたm(_ _)m