読書日記2022-227

羊は安らかに草を食み

宇佐美まこと(著)

[祥伝社2021年1月発行]

✩✩✩✩✩

 

羊は安らかに草を食み [ 宇佐美まこと ]

 

  あらすじ

認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、それでも消せない “秘密の絆" があった――
八十六年の人生を遡る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実!

過去の断片が、まあさんを苦しめている。それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。 彼女の心のつかえを取り除いてあげたい――
アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅" に連れ出すことにした。 それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。 彼女が隠しつづけてきた秘密とは?  旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転する――。


  感想

最初は老女3人の旅物語で、そのうちの1人は認知症、その老女とのテンヤワンヤかと思ったら…アワワ度肝を抜かれた!


とにかく終戦時の満州の場面は、先日読んだ『同志少女よ、敵を撃て』 とはまた違う戦争の悲惨さ死闘、生への執着…人間の究極を知り、驚きと恐怖を味わいました。


まあさんは終戦時11歳で私の親と同年、ここまでの悲惨な戦争体験はないだろうが(そういう話は全くしません)、きっとそれなりに苦労はあったと思います。


その上に自分が生きた年代の有り難さがあるのだと本当につくづく思えました。

もの凄く大事なこと!

そういう意味で、多くの人に読んで貰いたい部分ですね!


ただ最後の老女の決断とオチは…

そこだけ別の話になったようで、それは安易すぎないかな?チューアセアセ



老女たちの言葉には教訓になることがたくさんありました。
いちばん響いた言葉…
『その時(死)が来たら、受け入れるだけ』

ありがとうございましたm(_ _)m