電磁波の存在 | NOTE

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備忘録

 電束密度をD、電荷密度をρ、磁束密度をB、電場の強さをE、磁場の強さをH、電流密度をJとして、それぞれがマクスウェル方程式

を満たすとする。式(1-3)の両辺に回転をとると

となり、BHDEの関係から式(1-4)を用いて右辺を書き換えると

となる。ここでは、自由な電荷が存在しないとすると、J=0であるから、

と書き直せる。左辺については、ベクトルの関係式

を用いて

となる。自由な電荷が存在しないとしたため、式(1-1)から∇・E=0である。すなわち、式(1-9)は

を得る。磁場についても同様の計算を行うと

が得られる。この式(1-10)と(1-11)の形は波動方程式である。このことから、電場Eがz方向への調和振動であるとして、角振動数をω、波数をkとすると、x成分についての電場の波動方程式(1-10)の解は

である。x成分についてのみ着目しているため、式(1-10)は

と書き直せる。解(1-12)をこの式(1-13)に代入すると

を得る。ここで、t=0でz=0が波のピークであるとして、t=⊿tのとき、ピークが⊿zまで移動したとすると、その移動速度は

となる。これは、式(1-14)の関係から

となる。磁場の波動方程式(1-11)からも、同様の結果が得られる。□

出典:電磁気学 はじめて学ぶ電磁場理論 遠藤雅守著 P.259~ 8.4マクスウェル方程式

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 前回までの熱放射の理論の前提として、電磁波が存在することを導いた。また、今回の結果の式(1-16)から、真空中を想定して、誘電率ε0と透磁率μ0にそれぞれの値を代入して、速度の値を計算すると、光速と一致することが確かめられる。すなわち、マクスウェルは電磁波の存在を導いた上で、光は電磁波の一種であると予言したのである。この結果には非常に重要な意味があり、ここで得られた電磁波の速度、すなわち光速は定数であり、座標系に依らないことがわかる。この光速の不変性を基準に作られた理論が、特殊相対性理論である。

 次回は電磁波、すなわち光が圧力を与えることを示したい。