トヨタの特許から解説します
大好評の特許解説シリーズ。アメブロ会員でないと”いいね”は付けられませんが、アクセス数が凄く伸びます。そして、過去にさかのぼって読んで下さる方が増える。
特許が基ですから、根拠は間違いない。それを噛み砕いて中学生レベルでも分かりやすく解説しています。
当ブログを続けて読んで頂いている方は、私が勝手に思い込んで書いているのではないのはお分かり頂けるはず。元テストドライバーとして、評価は中立かつ正確でないといけません。科学的な根拠があるものはそれを提示します。
今回は良くある質問で、”なぜ除電をするとサスペンション動きが良くなるのか”ですが、サスペンションもそうですが、足回りも除電で動きが良くなるのです。
レース部品を作っている友人の工場に行き、「これ付けて走って来なよ」と言われて、スタビライザーに除電する物を付けて走った感想。私の最初の一言が、「何か、コーナーでタイヤの切れ込みがいい、スッと曲がる何で」でした。
この時には除電チューニングをしていたのはスタビライザーとマフラーのみ。まだサスペンションの除電はしていませんでした。除電チューニングの研究を始めた2012年の事です。
もう8年位前ですが、オートバイ トライアルという競技があって、乗り物の中で最もサスペンションが重要(シビア)な競技なのです。
ある部品メーカーが、ヤマハのTYF-125Fというトライアルオートバイのフロントサスペンションの動きを良くする為に、オリジナルのスプリングの上に短くてバネレートの低い(柔らかい)スプリングを足す、というキットがありました。
最初はバネレートの低いスプリングが動き出し、そこからはオリジナルのスプリングが動いて初期摺動が改善される、という製品でした。
物の動きが悪くなる原因の一つ、静電気を除電することによって少ない力で動くので、動きや流れを良くなりスムーズな動作になります。その除電例がです。
このTLはサスの取り付けが独特で、マジ軽ボルトではリアサスのタイヤ側には取り付けられず、外側ではひっかかる可能性があるので、躊躇していました。
バンド式で除電するマジ軽バンドが発明され、「これならぐるっと取り付ければいい」と付けました。
サスペンションの初動が改善され、乗っていても良く動くのが分かります。
NSR250Rでフロントサスペンションを除電チューニングしたいという、ヘビーユーザーさんの特注を受けたものがです。
「コーナリング中タイヤが路面に押し付けられてる感覚が、より強く感じられて、安心感が高まる。ブレーキを使わずにアクセルワークだけで沈み込みの感触をこんなに感じられたのは初めて」とのインプレッションです。
少ない力で動くから部品の消耗が少なく長持ちするようになり、お金も節約出来るのが除電のメリットでもあります。
物は動き出しに一番パワーが必要です。なので、動き出すとその後は動き過ぎてしまうという現象が起こります。
シリンジ(注射器)で液体を押し出す時に、最初は結構力を入れないとピストンが動き出しません。動き始めるとそれほど力がなくても動くので、勢いよく出すぎるという経験は誰にもあるはず。これも原理は同じです。
工業高校でシリンジを使うスターリングエンジンを見せてもらい、「シリンジを除電してみて下さい。動きが良くなりますから」と伝えたのを思い出しました。
今回は静電気の除電の特許を取りまくっている、トヨタ自動車の特許の中から、サスペンションについて書きます。
この特許を知っている人はまずいません。おそらく調べる人は殆どいないでしょう。
特許の部分はコピペして青太文字にし、その下に解説分を書きます。
タイヤ・ホイールの除電の特許解説が終わっていませんが、タイヤ+サスペンションの足回りを除電チューニングすると相乗効果となって効果が高いので、オーバーラップして書きます。
まずは特許の冒頭をよく読んで下さい。今まで私が書いたり説明している事が、この特許にも書かれています。
自動車などの車両が走行すると、空気が車両に摩擦接触する状態にて流れることに起因して車両に静電気が発生する。また、車輪の回転に伴ってタイヤの各部が路面に対し繰り返し接触及び剥離を繰り返すこと、エンジン及びブレーキ装置などにおいて構成部品が接触した状態にて相対運動することなどによっても、静電気が発生する。
車両は導電性が低いタイヤによって大地から実質的に電気絶縁された状態にあるため、車両に静電気が発生すると、電荷(一般的には正の電荷)が車体などに帯電する。電荷が車体などに帯電するとラジオノイズが生じ易くなるため、車両に帯電した電荷を通電によって低減する構造が従来研究され、種々の構造が提案されている。
読めば分かる通り、車両が走ったり、物が動けば静電気が発生してしまう。
肝心なのは、”車両は導電性が低いタイヤによって大地(路面)から実質的に絶縁された状態にある”ですね。
私が「タイヤが黒いのはゴムにカーボンを混ぜて、静電気を路面に流すため」と書いたら、「ウソ言ってはあかんで―」と投稿した人がいましたが、ちゃんとこの特許に書いてありますね。もちろん、私はこの特許を読んでそれを知った訳ではなく、中学生の時に技術の先生から教えてもらって知っていました、昭和の時代です。
おそらくは「そんな事あるの」と思って、ちょちょっと検索したら、”カーボンを混ぜてゴムの強度を増す”というのが出て来た。それで投稿したのではないでしょうか。
検索だけで”知ってるつもり”なるのはいかがなものでしょう。
何事も基礎研究と失敗の積み重ねではないいでしょうかねぇ。
マジ軽ナットの発明のヒントは、友人が「路面が濡れていると、車が静かにスーッと走る」事に気付いたのがきっかけです。なぜなら水は導電体ですからタイヤと路面の隙間に水が入り込み、一種の接点復活剤のようになって静電気をタイヤから路面に多く流してくれるから。
もう一つは、湿度が高くなるので車体からも空気中への放電量が増えます。
冬の乾燥時でも、雨が降っていると車から降りた時にパチッと来にくいのは皆さん経験されていますよね。
除電は別に難しい事ではありません。中学生の理科レベルの話です。ただ、機械とかタイヤとなると、今までの生活の中での馴染みが薄いだけ。私なんか冬にフリースが脱ぎにくい時に静電気防止スプレーをひと吹き(除電)すると動きが良くなって、スッと脱げる方が不思議です。
ラジオノイズが発生した件については、住友ゴム(ダンロップ)の特許解説で書いています。
本願発明者が行った実験的研究により、車両に帯電した電荷が車両に及ぼす悪影響は、ラジオノイズなどが生じ易くなることに留まらないことが判明した。即ち、車両に電荷が帯電すると、ショックアブソーバ内のオイルにも電荷が帯電し、オイルの粘性が高くなって減衰力が過剰になり易いことが解った。
これは極めて大切な情報で、これをブログに書いている人はいないと思います。
車両が帯電すると、単にラジオにノイズが入るような事に留まらない。
オイルやグリスも帯電すると、ゴム同様に分子レベルで動きが悪くなる=粘度が上がるので動きが悪くなるのです
私のトランスポーターのフロントのショックアブソーバーは、このように既存のナットに足す形で特注のマジ軽ナットを取り付けて除電しています。
距離が伸びてくるとへたって来て、ダンパーの効きが悪くなるのは誰でも知っていますが、新車時は逆にオイルシールとシャフトが馴染んでいないので、ショックアブソーバーの動きが悪い。物の動きが悪くなるいくつかの原因のうちの一つの静電気を除電する事で、それをカバーする事が出来ます。
これを知っているので、ショックアブソーバーはもちろん、オイルフィルターやデフも除電していて、どれも効果を体感しています。
マジ軽ナットを使ったユーザーさんが転がり抵抗の軽減だけではなく、ハンドルが軽くなった、ハンドリングが良くなったという人はたくさんいらっしゃいます。
先日連絡を下さった、4輪の耐久レースにフル参戦していた元レーサーの方は、過走行の車で、特にリアショックから横揺れやバタつきが発生しているので、社外の純正相当のダンパー(ショックアブソーバー)を注文。
それが届く前にマジ軽ナットを付けたら、ダンパー動作がかなり改善されて新しいダンパーが必要なく感じたとの事。
これが私が言う”少しのお金で結構な効果、そしてお金が節約出来る”という意味です。
マジ軽ナットはネットショップでかんたん購入出来ます。タイヤで体感したら、その他の箇所の除電チューニングはお問い合わせ下さい。
取り付け場所などアドバイスをしながら進めています。
お知らせ
10月15日(日)大磯ロングビーチ駐車場で開催される湘南ヒストリックカークラブ主催のジムカーナレース会場でのスワップミートに出店します。
従って、同日開催のエクスチェンジマートには出店しませんので、ご注意下さい。