ではどうやって帯電を解決するのか!?

”その1”の続きです。このページから読んだ方は、一つ戻って読んで下さい。

住友ゴム(ダンロップ)の特許公報を基に解説しています。正直、ここまで突っ込んでブログを書いている人はまずいないと思います。

ものごとを解決するには原因を知る必要がありますが、何が原因か分かっていたとしても解決出来ない事がままあります。それが新しい技術が生まれて解決出来る、そうして人類は進歩して来ました。

このケースはまさしく、原因は分かっているけれど解決出来ていない問題でした。

”その1”に続き、赤のアンダーラインの専門用語を太字にして、一般の方にも分かりやすく通訳してから解説をします。

・転がり抵抗の低減とウェットグリップ性能を得るためにシリカを配合している。

自動車メーカーは少しでも燃費を改善する為に、タイヤを大径化しています。それに伴いタイヤ幅を細くしているのは転がり抵抗を軽減する為。接地面積が少ない方が転がり抵抗が少なくなり、燃費は良くなります。空気圧を規定値より上げれば、転がり抵抗が減って燃費は良くなりますが、路面の凸凹を拾い過ぎて、乗り心地やグリップ力が悪くなるのは、ご存じの通り。

タイヤメーカーとしては、ゴムの材質で転がり抵抗を減らす以外に方法はなく、省燃費目的でシリカを配合したという事です。

2ページの最後の部分とその続き3ページ目ですダウン

・導電性カーボンブラックが一定重量以下(少ない)だと体積低効率が下がらず、配合量が3重量部を超えると転がり抵抗が大となる。導電性カーボンブラックの配合量を増加させるほど体積低効率を下げることが出来、耐摩耗性も向上する。

導電性カーボンブラックの配合割合が少ないと、カーボンブラックと併せても電導性が悪く、多く配合するほど転がり抵抗が大きくなって燃費が悪くなる。導電性と耐摩耗性を考えれば、導電性カーボンを多く配合するのが良いが、燃費の要求があるからそうも出来ない、ジレンマとなっていて、ゴムの原料だけでは今のところは解決出来ていません。

 

その後のページでは、実験結果のデータが書いてあります。この特許公報をまとめているのが7ページです。

その内容は、カーラジオ等の電気機器にノイズ(雑音、電波障害)を抑止するには、タイヤの原料に、元々混合していたカーボンブラックに電導性カーボンブラックを多く配合すれば解決する。ところが、それでは転がり抵抗が増して省燃費にならない。

それで、導電性カーボンブラックを少量配合するに留めて、カーラジオにはノイズが入らない妥協点の配合量を見い出した、という特許内容です。

トヨタの特許公報を調べると、「タイヤの導電性が足らずに、ラジオにノイズが入った」というのがあるので、おそらくはユーザーからトヨタのディーラーに「カーラジオにノイズが入る」というクレームから始まり、タイヤメーカーにその改善要求があって研究して特許を取得した。元テストドライバーとして、そう推察しています。

このようにタイヤメーカーは、車体に蓄積(帯電)され続ける静電気をタイヤから路面に多く放電させたいので、燃費を気にしなければカーボンブラックを多く配合させたい。しかし、多く配合すると転がり抵抗が多くなってしまう。

省燃費の要求性能が強く求められるようになり、それを達成する為にシリカを配合した。すると、相対的にカーボンブラックの混合比率が落ちてしまい、帯電量が増えてしまってラジオにノイズが入ったり、電気機器に電波障害が起こる、これが”その1”のタイトルの「せめぎ合い」という意味です。

この特許で少し位の帯電量では、ラジオにはノイズが入らなくなったかも知れません。しかし、あくまで妥協点を発見しただけです。うがった見方をすれば、燃費を少し犠牲にしたクレーム対策とも言えますね。

タイヤの導電性について、今後はどのような技術が開発されるかは分かりませんが、少なくとも現状では、タイヤのゴムの原料で低燃費性と高い導電性の両方の要求を解決する方法は見つかっていません。それを解決するには、ゴムの原料以外の方法で解決するしかありません。

以前も書きましたが、タイヤの三つの役割です

1.駆動を路面に伝える

2.クッション性を確保する

3.車体に帯電している静電気を路面に流す

この3つの要素をバランス良くする事で、相乗効果が起こります。逆にバランスが悪いと悪い循環に陥ります。

これは私達の除電についても同じ事が言えます。その除電技術で3番を大きく引き上げアップます、するとそれに伴い1番2番の性能も向上アップします。

よく、「タイヤの回転が良くなるだけではなく、振動が減った。コーナーも曲がりやすくなった」との報告を頂きますが、タイヤの三つの役割アップの能力が上がったからで、私からすれば当たり前の事です。タイヤが軽く回った方が、タイヤの負担は減りますよね。除電は走りが良くなるばかりではなく、コストも下がるのです。

今使っているタイヤを走行距離何㎞で交換したのかを記録している方は、是非、次にも同じタイヤにして記録し、比較して下さい。

それをしているマジ軽ナットユーザーの方からすでに報告を受けています。もちろん、私はそうなるであろう事は知っていました。除電は物価高騰が止まらない今の時代に合ったコストダウンにもなるチューニングなのです。

グリップが良いタイヤは路面の凸凹を拾い過ぎて乗り心地が悪くなったり、転がり抵抗が増えてハンドルが重くなったりする場合があります。

ところが、除電によって接地感(路面を捉えているフィーリング)が増すのに、ハンドリングが軽く良くなり、振動や転がり抵抗が減るというタイヤ屋さんもビックリの走りになる。

これが「タイヤメーカーの設計思想に近づく」という意味です。タイヤ自体は潜在能力を持っているのに、静電気が邪魔をしているのです。

静電気の悪影響を除電して走行性能を上げるのが、トヨタのアルミ板を使って除電する方法で、実際にレースで使われている技術です。

これも素晴らしい特許で、知名度も高いです。トヨタ純正のアフターマーケットパーツとしても販売されています。ただ、接着剤で貼り付けるので、再利用が出来ません。面積で除電するので、ある程度の面積と比較的平らな場所にしか貼り付けられない、入り組んだ場所や回転する部分は剥がれると危険ですから使用出来ません。

つまり、私達のキーポイントである”地産地消”、つまり静電気が発生している場所で除電出来ないケースがあります。

アップの動画の解説にありますが、車体に帯電している静電気がボディーを伝わって来て、ハンドルのコラムからドライバーに伝わって来た所で帯電する。それをシューズメーカーのアキレスと開発した、除電するドライバーシート(オプション)で 除電する。つまり、車体からシートまでは常に静電気が帯電しています。

静電気が流れていて”地産地消”ではありませんから、伝わってくる間に悪さをするはずです。これには根拠があって、電気の特性で放電している箇所めがけて静電気が流れて行きます。川が上流から河口に流れるのと同じですね。

車体を流れて行く間には、どこかの動く部品を通って流れて行く場合もあります。

すると、その部品の動きが悪くなる。

工場で使っているような、一度に大量の静電気を除電する装置を付ける方法もなくはないですが、まず装置自体が重い、外部電力が必要、そして値段が高い。車やオートバイの場合は、やはりトヨタも考案したような、電気を使わずに自己放電する方がメリットが大きいのはお分かり頂けるでしょう。

そうなると、トヨタの特許か私の友人の特許のどちらかを使うしかありません。

ヨシムラの主要レースパーツを作っていた友人が、様々な除電方法を試す中で、2013年か14年にボルト・ナットで除電する方法を発明した、それを見た時に「これは素晴らしいアイデアだビックリマークと直感しました。

部品の多くはボルトやナットで固定されています。それを交換するか付け加えるだけだから、ピンポイントで除電出来る。しかも小さいのに効率的だから、狭い所にも取り付けられ、車を乗り換える時には外して再利用が可能で耐久性も抜群。

トヨタの特許も素晴らしいのですが、残念ながらタイヤは除電出来ません。

タイヤを除電すると自動遠心クラッチの大きな変速ショックでも、タイヤが受け止めてくれてかなり軽減されますが、地産地消でミッションも除電すれば気持ちよいシフトチェンジになります。そうなれば、各パーツも長持ちするようになります。

タイヤを設計思想に近づけたい方はネットショップで簡単に購入出来ます。梱包料はなし、送料実費でお届けしております。

取り付けに関してはYouTubeで解説(商品パッケージのQRコード有)しています。

除電するには電気をいかに多く流れるようにするかが大きなポイントです。トヨタはそれを面を稼いでいます。

マジ軽ナットはネジ部で稼いでいるので、取付けのネジ部は真鍮ブラシ等で必ずきれいに掃除して下さい。接触状態が良ければ、より多く静電気が流れて放電(除電)量が増えます。

私が取り付ける時には、真鍮ブラシで掃除をしてパーツクリーナーで流し、接点復活剤をスプレーしています。こうすれば、より多くの静電気が放電素子に流れて除電効果が高くなる。大した手間ではないので、是非実行して下さい。

住友ゴムの特許公報を分かりやすく解説したつもりです。他の当ブログも読んで頂けたら、科学的な根拠に基づいた論理的な説明だというのがお分かり頂けると思います。

過少評価はする事はありますが、過大評価はしませんし、する必要もありません。

念じたらタイヤが軽く回った、お祓いしたらコーナリングが良くなった(笑)というレベルとは全く違うのが分かるはずです。

そのような理屈があるから、工業高校の先生方の間で”確かに効果がある、除電って面白い”となっているのでしょう。先日も自転車にマジ軽ナットを付けたの先生のインプレッションを頂きました。基礎知識のベースがあるから興味も持てば、理解がすこぶる早いのです。

お知らせ

5月21日(日)に神奈川県厚木市 あゆみ橋で午前5時より開催予定のエクスチェンジマートに出店予定です。

天候による開催の延期の告知は開催予定日前日の13時にエクスチェンジマートのホームページ等で発表となります。

すでに特注のマジ軽シリーズのために来店するお客さんが、何人かいらっしゃいます。タイヤを除電したら面白くなっていろいろと走行テストした結果、やりたい箇所が決まったのでしょう。

当日はタイヤ以外の部分の見本をお見せする予定です。