除電での走行性能アップテストはウチが先!?

トヨタの”除電スタビライジングプラスシート”を紹介したところ、反響が大きかったです。さすが大手メーカーですね。

「車で発生し続ける静電気がステアリングコラムからハンドルを通して、ドライバーも帯電する。ところが、その先に行く先がないから人に帯電し続けて、走行安定性にまで悪影響を及ぼす」それを解決する手段として、除電スタビライジングプラスシートのオプション設定が出来ました。ダウン

何度も書いていますが、「静電気は物の動きに悪影響を及ぼす」というのに、トヨタも気づいていたのです。

トヨタがいつから静電気の悪影響を研究し始めたのかは知る由もありません。

なので、自分達の事を書きます。当ブログ「電気の話」シリーズで、トヨタも除電の特許を取ったのは書きました。

マフラーやサスペンションを除電すると、いい効果があるのでははてなマークと、研究を始めたのは、2011年か2012年。レース専用パーツを作っていたその工場にしょっちゅう出入りしていた私に、「これを付けるから走って自転車来なよ」と最初の除電テスト品を付けて走りました。

正確な日付は覚えていませんが、遅くとも2012年には市販品での除電の走行テストを始めていました。

この特許を出願したのは2014年3月24日、後に調べたところトヨタの電気を使わない除電で性能を上げる特許は、一番早くても2014年8月29日。つまり、友人の特許の方が出願が早いのです。

それが、この題名の根拠です。除電の面白さ、可能性を知ってもうすぐ11年になります。

私の兄は、特許庁の特許庁の出先機関で2輪の特許申請の重複を調べる仕事をしていましたから知識があるのですが、特許制度をよく知らない人は、特許の取得日で判断しがちです。でも重要なのは出願日なのです。

特許を出願は一日でも早い方が勝ち。出願出来たというのは書類に不備が無く受付をした状態。そこから科学的な根拠やデータを調べ、今までにない発明で間違いないと認められたものだけが特許を取得出来るのです。

ですから、仮に同じ発明があったとして、出願は先でも取得が後になったらまずいですよね。なので、出願日が最も重要なのです。もちろん後に取得出来なければ意味はありませんが。

豆知識としては、商品に(特許申請中)と書かれているものがあります。でも、あくまで申請を受け付けられただけで、特許が取得出来るかどうかの審査中という事です。

ネジ・ボルトから放電させる方式で走行テストを始めたのは、確か2013年の後半位。

市販品から研究していったものの、それぞれ一長一短があって、今までにない物で除電するシステムでないとダメだと分かったからです。

だから、私の車やオートバイには第一世代から第四世代まで、あちらこちらにその部品が付いていて、フリマではお見せする事もあります。

トヨタの解説アップによると、静電気が帯電する最後の場所となるドライバーの所で除電する形になっていますが、私たちの考え方は少し違います。

後日、詳しく書きますが、私たちの除電の考え方は言わば、”地産地消”という考えです。

地産地消というのは農作物等でよく使われる言葉ですが、要は出来た所の近くで消費(除電)するのが効率が良いですよビックリマークという概念です。

静電気が起きている場所で除電(放電)してしまう。そうすれば、静電気が流れて行く間での悪影響が少ない。

生活排水に例えれば、各家庭で浄水槽で水を浄化してから川に流す。そうすれば、川が汚染される事はありません、これがマジ軽ナットシリーズ。

排水路で一か所に集めて浄水して川に流すのが上記の徐電シートと考えて下さい。

どうすれば、その場所で除電出来るかという答えがこの形状ダウンとなり、特許に繋がったのです。トヨタは面積を使って除電する特許。目的は同じですが、方式が違うので特許が取得出来たのです。

検索をすると、トヨタの除電スタビライジングプラスシートを参考にして、いろいろと試されている方がいます。とりあえずやってみるのは大切なのですが、中にはシートに導電性プレートを敷いて座り、配線で車にアースして効果を検証している物もあります。

でも、ゴメンナサイ。「タイヤから地面には、それほど静電気は流れていないですよ」小声で言っておきます。なぜかと言えば、タイヤの主原料は石油由来の合成ゴムで電気を通さないからカーボンブラックを混合して導電性を持たせています。

ところが、舗装に使われるアスファルトも石油由来で導電性は低い、だから車体に帯電してしまうのです。電気が流れるには流れる先の材質はとても重要なのですが、ここまで考える人は正直殆どいません。

それにトヨタも気づいていて、タイヤ・ホイールを除電して転がり抵抗を減らした結果、燃料消費率が改善された特許文献のグラフがダウンです。

マジ軽ナットはタイヤの除電位置としては、ほぼ理想的なエアーバルブに取り付けます。走行すると除電面積が広範囲になるダウンのと、ゴムが分子レベルで動きが良くなり、接地感(タイヤが路面を捉えている感じ)が増します。

        

これは「トヨタもタイヤの除電で特許を取っていた その7」で使った写真です。

左がホイールの中心を除電した場合のタイヤ外面の除電範囲、右はホイール外側での除電範囲。タイヤは回転するので面積が全然違います。ちゃんと理に適っているのが分かりますね。

走行すると静電気はどうしても起きてしまうので、それを地産地消した走行テストがダウンです。

トヨタのYouTube動画はこちら。ダウン

サスペンションを除電してスムースな運転が出来る除電ナットは、2014年頃から福島県のトヨタディーラーで販売していました。それをトヨタが参考にしたかどうかは分かりませんが…。

いつも書いているように、静電気をピンポイントで地産地消して除電出来るのが、この特許の肝の一つです。

ただ、どこかに付ければいいというものではありません。車のプラットホーム(車体)によって、効果が高い場所が違うのです。プラットホームごとにテストして効果の高い取り付け場所を探す必要があるのです。レースならセッティングでやればいいのですが、一般人だとなかなか難しい。

それで、どのメーカーでも静電気をタイヤを通して地面に流れている前提で車を作っているので、それなら帯電している静電気の一部をタイヤのエアーバルブで除電してしまおう、それなら誰でも簡単に取り付けられるし効果が出る。ユーザーからの希望で開発したのが、タイヤを除電するマジ軽ナットダウンで、ネットでも販売しています。

タイヤメーカーは今の技術ではゴムの原料の配合では、路面への放電量が足りていないのを知っています。タイヤショップから教えてもらいましたが、タイヤ側面にスリットや模様がありますね。路面への放電量が足りていないので、模様から少しでも放電させるための工夫だそうです。

路面に流す工夫の一つが接地面の一部に導電性の高い部分を設けたタイヤが増えてています。通称”導電スリット”と呼ばれ、一部のオートバイのタイヤにも採用されています。写真の色が違う部分が導電スリットです。

とはいえ、前述のように流れる先がアスファルトなのです。結局、静電気が多く流れませんから、どんどん車体に蓄積されています。

近年、燃費に直結する転がり抵抗を減らそうと、原料にシリカを配合する事が増えています。そうすると、相対的にカーボンブラックの配合比が減ってしまい、電気機器にトラブルが生じたというのも確認出来ました。

これは住友ゴム(ダンロップ)の特許文献で明らかになりましたので、後に解説記事を書こうと思います。

マジ軽ナットの効果を知った某タイヤショップを通じて、ある大手タイヤメーカーの設計部に話が伝わっているそうです。「転がり抵抗が軽減するテストをしたい」と連絡が来るのをお待ちしております。