NHKの大河『光るへ』がもうすぐ終わる。そして今、暇をみて、谷崎潤一郎訳の『源氏物語』を読んでいる。昔、ジュリーが光源氏をやったことがあった(1980年、久世光彦の監督・プロデュース、脚本は向田邦子)が、ほかに源氏物語の動画はあるのかしらと思って検索したら、U-NEXTでいろいろ見つけたので二つ見てみた。いずれも、源氏物語とその作者、紫式部と藤原道長の話を織り交ぜて構成していた。NHKの大河は、物語部分を交えずに紫式部と道長を主役としている。

 

 見た映画の一つは『千年の恋 ひかる源氏物語』(東映2001年)の映画。源氏はなんと、天海祐希が男装して演じており不気味。紫式部は吉永小百合、道長は強引な権力者っぽい役柄を渡辺謙が演じていた。時々意味不明な松田聖子が現れて、ポップな歌を歌う(!?)。鶴太郎や竹中直人らも出てきて、有名人総出演の豪華感はあるが、源氏物語の読みが浅い印象を受けた。

 

 もう一つは『源氏物語 千年の謎』(東宝2011年)の映画。源氏は生田斗真、紫式部は中谷美紀、藤原道長は東山紀之、などなど。生田斗真に浮世離れしたところはないが、リアルでなかなかよかった。多部未華子ちゃんの葵の上は取り澄ましたところなど感じられず、ひたすら愛らしい。田中麗奈の六条御息所の怨霊がすさまじい。東山くんは真心のない権力者っぽかった[NHKの柄本佑の勝ち!]。光源氏と紫式部が対面する部分もある。話は途中でぶつっと終わってしまう。

 

 ついでに、ひき逃げ前科俳優の伊藤健太郎が主役をやった『十二単衣を着た悪魔』というタイムスリップものも齧り見してみた。タイトルの「悪魔」は、弘徽殿の女御のようだ。そういえばこの俳優、NHK大河の後半に出てきていたわ。

 

 結論として、紫式部を主人公にしたものなら、文学部分をすべて割愛したNHKの大河、吉高由里子の『光る君へ』がいちばん優れているように思えた。源氏役はやはり沢田研二がいちばんだと思った。

 

 なお、たいていのドラマでは、源氏の君が女性を襲う時、着物の襟の合わせ目から手を滑り込ませて胸を愛撫していた。身八口ができたのは江戸時代以降だからであるが、ある芸者の話によれば、男性が身八口から手を差し入れるのが日本風、西洋の殿方が襟合わせから手を入れるのは風情がない、とのこと。

 

2024年のお正月にTBSが放送したみたいだけれど、また再放送してほしい。