左目の視力が落ちたと思ったら白内障であった。読書しにくい感があるが、まあ、息抜きにこういう軽めの小説を読むことにした。読んでみようと思ったのは、小説の舞台となっている木暮荘が世田谷代田にあるからだ。その駅の近くに私は30年くらい住んでいたので、なんとなく懐かしい。→思わず、世田谷代田の行きつけの美容室ネフェルに行ってしまった。技術は確か、男性美容師(渡辺さん)のマッサージがうまい。

 

 シンプリーヘブン:  この短編の主人公は青山の花屋で働いている。この名前のバラを私は知らなかった。今彼といたところに三年前に姿をくらましたもと彼が入ってきて、奇妙なしばしの同居が始まる。事件があって、もと彼は立ち去る。

 

 心身: 主人公はこのアパートの家主である老人。瀕死の友人を見舞ったことがきっかけでセックスをしたくなり、家を出て、このアパートに住み始めた。店子の男友達と知り合い、デリヘルを頼むも、おかずを持ってきた妻に見つかる。デリヘル嬢は機転をきかせて隣室に入り、それがきっかけで隣室の女子大生と話をするようになる。

 

 柱の実り: 世田谷代田の駅の柱に突起が生えて大きくなっていき、男根のようになった。それを発見した女性は犬のトリマーで、その突起が縁で知り合ったヤクザ風の男の飼い犬の毛を刈り、木暮荘の庭にいる犬を洗う[犬の肛門腺というのを初めて知った。私も犬を飼っていたけれど、小型犬でなかったから]。

 

 黒い飲み物: 花屋を営む女性は夫のいれるコーヒーを泥の味だと感じる。ある日、顧客に言われる: 料理の味でつくった人がやましいことをしているかどうかわかる、泥の味がするときは浮気をしている、と。豈はからんや!! 

 

 : 二階の住人が隣の空き部屋に忍び込み、畳をめくり、下に住む女子大生の生活を覗く。後々、覗いていることを気づかれてしまう。

 

 ピース: その女子大生の事情。不妊症のようだ。彼女の学友が子供を産み、それを女子大生に預ける。女子大生の彼氏、大家、大家の妻、木暮荘はおおわらわで育児にいそしむ。そして一週間後、友人は赤ん坊を引き取りにくる。

 

 嘘の味: 花屋で働く女性のもと彼は、彼女の職場付近に出没し、見守っている。それをストーカー行為だとして、花屋の顧客にとがめられる。その人の後をついていったことから、その男性はその人の家の居候となり・・・