先月Wowowから電話があり、通じた人だけ一ヶ月500円で視聴できるというキャンペーンをやっているとのことであった。今月25日にBABYMETALのライヴがあるので二つ返事で入った。それでいくつか映画を見たりしている。ジェジュンが去年のMステで主題歌 Danger Zone を歌った『トップガン マーヴエリック』(アメリカ海軍のPR映画、高齢のトム・クルーズが頑張った)、マット・ディモンがさえない父親役(ミスキャストだと思うが、マット・ディモンが主役でなかったら途中で消していたところだから、やはり映画は俳優で決まることを証した)をやる『スティルウォーター』、そしてこの『エルヴィス』である。
『エルヴィス』にはまったく期待していなかった。フレディー・マーキュリーの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディー』みたいだったら録画をすぐに消そうかと思っていた。ところが、トム・ハンクスを狸親父的マネジャーの大佐(スノーマン)とした構成、アクリル画のような画面、スピーディーで無駄のない展開に引き込まれ、二時間以上もあるのに見入ってしまった。何よりも、私はプレスリーのことをさほど知っていたわけではないから、まさか彼がアメリカ音楽史にとってこれほどの反逆者、改革者であったとは!と再認識させてくれることとなった。プレスリーがメンフィスの黒人音楽の中で育った甘い声の白人であったことが宿命であった。彼がロックやブルースを歌ったことが、当時のアメリカではまったくご法度であったことだったとは!!
あの高いカラーのマント付きジャンプスーツを着たもみあげのプレスリーは、マネジャーにこき使われ、ぼろぼろになっていく終盤に出てくる。私は東方神起のファンだったから、JYJの三人があこぎな事務所と訴訟を起こして(JYJにとってイ・スマンは "スノーマン" だったのだ!!)自由をかち取り、韓国ミュージシャンの奴隷状態健全化に貢献したことを脳裏に思い描かざるを得なかった。
プレスリーの死因の一つは「ファンに対する愛」だと映画で語られる。極限までのファンサービスで身を削ったのだ、と。ジェジュンにはゆとりをもってほしいと願わずにはいられなかった。
※スノーマンは人を騙してうまい汁を吸おうとする奴のこと。
なお、主演のオースティン・バトラーはゴールデングローブ賞主演男優賞を受けた。汚れ役になりきったトム・ハンクスの特殊メイクがすごかった。