6月9日(日曜日)の夜更け、BS1で興味深いドキュメンタリー番組をやっていた。中国語を操って市井の人々に斬り込んでいく鎌倉千秋アナ、猛スピードで変化していくお隣の中国について、日本人はもっと知るべきだ、この番組はゴールデンタイムに地上波で流すべきだと強く思った。

 第1部は、冒頭に大変化を遂げつつある北京が映し出される。新都心建設の様子。ザハ・ハディドの建築による新空港(彼女の計画をポシャった東京五輪が恨めしい; 東京には世界に誇れるモニュメントが誕生するはずだったのに・・・)。猛スピードでめざましい発展を遂げゆくBOEテクノロジーグループ(京東方科技集団=ジンドン)のある地区では、調理から配膳までロボットが行うレストラン、オートマチックな宅配サービス、先進スーパーマーケットと顔認証による支払い、などが紹介される。わが国の人手不足を嘆く業界よ、これを見よ!! 中国はテクノロジーの面でもはやアメリカをしのぎつつある。わが国は完全に遅れている。

 一方で、農村は進歩に取り残され、いまだに貧しい。子供たちを何とか大学に進学させてエリートにしたいと語る人々。そのハングリーさは、今の日本に消えつつある。

 第2部の舞台は上海。わが国の原宿的な区画、田子坊地区に入り、次世代を担う若者たちに接する。中国の若者たちは自分たちが生まれる前の天安門事件(1989年に民主化を求めたデモが武力的に弾圧され、何百人もの死傷者をだした事件)を知らない。あれから中国の言論統制はますます厳しくなっている。若者たちは自分たちが国から執拗に監視されていることを承知しているが、国による経済発展の恩恵下にあるので、敢えてそれに歯向かおうとはしない。芸能や文学の世界で活躍する若者たちも然り。これだけの経済大国の将来を担う若者たちがこんなことで良いものだろうか? 空恐ろしさを感じずにはいられない。

 だがわが国だってマスコミは、経済を牽引してくれている政府に忖度しまくりである。ぬるま湯のような経済のもとで、社会や他人に無関心な人々が増えている現状に変わりはない。世界に目を向ければ、どの国も保身、ナショナリズム、内向きの傾向がある。今の大国アメリカに世界を牽引する気概はなく、ただのわがまま大国と居直り、世界経済を混乱させている。世界は、日本は、どうなっていくのだろう。