モナリザ盗難×マリー・ローランサン×ギヨーム・アポリネール
https://artexhibition.jp/topics/news/20230214-AEJ1242909/
小学校時代、廊下の奥に「モナリザ」のレプリカが鎮座しており、薄暗さと相まって、底知れぬ恐怖を感じた記憶が抜けない。
どこにいても見られる恐怖。
今でもぞっとする。
1911年8月20日、ルーブル美術館でこのモナリザの盗難事件が発生したという。
で、画家マリー・ローランサンの彼氏でフランスの詩人であるギヨーム・アポリネールが容疑者として誤認逮捕されたりしたが、最終的には真犯人は見つかり、確保された。
ちなみに、アポリネールは容疑者として誤認逮捕された折、そのことに幻滅してしまった恋人ローランサンにふられてしまったという。
その時の感情を「ミラボー橋」という代表作にしたためた。
この詩はパリのミラボー橋の下のセーヌ川の流れを比喩的に表現して、時間の経過に伴う愛の喪失を扱っている。
さて、この事件の真犯人はビンセンツォ・ペルージャというイタリア人で、その動機は「愛国心からの犯行」と言われている。
つまりは、もとはこの絵は、ナポレオンに盗まれてフランスへ渡ったものであり、この絵をイタリアのもとに取り返したかったから犯行に及んだ、と主張したというのだ。
裁判にかけられたペルージャには、愛国心から犯行に及んだ動機が、なんとある程度認められた挙句、非常に温情的な判決が下されたという。
1年と15日の懲役...イタリアでは偉大な愛国的行動だと賞賛され、実際に牢獄に入っていたのは数か月足らずだったと、後に前出の詩人のアポリネールは語っていた。
「モナリザ」は1913年にルーブルへ無事に返却。
ちなみに、モナリザが盗まれて100年後の2011年8月21日、ペルージャの出身地であるイタリアのドゥメンツァで、彼を英雄として讃える演劇が上演されたという。
ジョン・コリア