柴崎友香
最近読んだ柴崎さんの本がこれ。
期待を裏切らないですね~。
村上春樹氏とジョゼフ・ケッセル
以前の神戸新聞のスクープ。
村上さんが高校1年生の頃、ジョゼフ・ケッセル「幸福の後に来るもの」を読んでいたということが、廃棄寸前の神戸高校学校図書館の貸し出しカードから判明したとのこと。
村上氏の名前が記載された帯出者カードの写真も掲載。
侃々諤々の議論に発展したが、ケッセルを愛読していたという証拠のように取り上げられていたことに、自分も違和感を感じた。
さもありなんという風情で、もっともらしく語る発見者にもうさん臭さを禁じ得なかった。
当時(1967)、カトリーヌ・ドヌーブ主演でR-18映画「昼顔」が映画化されたりしていたが、この映画の原作ということで興味を持って借りたのでは?
読書好き少年の、至極当然の行為のように思われるのだが個人情報保護法の観点から、こういうことってええんかいな??
ところで、村上さんを好きな理由は数多あれど、自分はこれかなと思うことが一つある。
それは、村上さんは徹底して個人主義的な姿勢を崩さないところ。
同調圧力をきらい、逆に自分も甘えない。
自分が生きるルールは自身で決める感が見て取れよう。
邪魔されたくないし、他人の邪魔もしない。
自分の思考、思想を重要視しながら、行動と結果については自己責任を負う。
自立した生き方であるといえる。
昨今流行りの根拠の曖昧な前向き、というのとちと違う
登場人物はもろに、村上さん自身の投影だろうと思われるので、そういうところにきゅんと来るわけだ。
まだまだ現役でいていただき等ござります。
藤嶋咲子
工場萌え画家だそうだ。
圧倒される!
ウイリアム・マムラー
世界初の心霊写真を撮影した心霊写真師だそうだ。
もうこの時点でうさん臭さマックス。
どういうことかというと、顧客の要望に応じて心霊写真を自由自在に撮ったということだ。
そもそもこの時代、マムラーの心霊写真は、遺族と死者に対する追悼と慰めのためのものだったという。
...癒しグッズかい。
オカルトやホラー、話題作りとかではなかったんですな。
自分としては単にインチキオカルト的にしか捉えられない。
「うしろの百太郎」の念写を思い出す。
まあ、まったく意味が不明である。
有名なものは「リンカーンの念写」であろうか。
たちが悪いというか。
マムラーの心霊写真ブームは、当時盛んだったスピリチュアリズムの会員や、親類、遊人を失くしてばかりの人々を客にし、急成長。
特にアメリカ南北戦争後はバブル状態。
ビジネスマン・マムラーは笑いが止まらなかったろう。
しかし、二重露光、モンタージュを精巧に凝らしたトリック写真を捏造したかどで逮捕。
また、客の家に押し入り、死者の写真を盗んでしばしば告発された。
これはトリック写真用のネタにするためだ。
またある時には、「幽霊とされた人」が、実際には元気で生きていたという例まであるずさんさ。
最後は、1869年、詐欺罪で告発されたが無罪。
この法廷は、さながら心霊術信者と科学的合理主義者との激しい論争の場となったという。
この後は沈下して、やがて時代の闇に埋没。
ところで、マムラーのこの言葉が、強烈だ。
「悩める心にとっては、何という歓びだろう!亡くなった友が戻ってきて、死後の世界の紛うことなき証拠を示してくれるということを知るのは!」。
なんかさ、ゲテモンの丹波哲郎みたいやな(笑)。
1989年、宮崎勤事件に絡んだ心霊写真騒動なんかも記憶に新しい。