「太陽を盗んだ男」のゴジこと長谷川和彦監督作品。
「青春の殺人者」。
千葉県市原市で実際にあった親殺しの重く苦しい話である。
ゴジは「青春の蹉跌」の脚本を担当していたが、監督としてはこれがデビューである。
実際に丹念な事前調査を行うために、市原市に8か月間通い、関係者やモデルになった人に直で話を聞き、裁判を傍聴したうえで、あくまでフィクションとして撮影したという。
なので両親殺しをこれでもかというくらいリアリズムあふれる手法で表現している。それは当時のATGの十八番の「観念的手法」を、根底から全否定するものであった。
まずはゴダイゴのオープニング曲「想い出を君に託そう(If you’re passing by that way)」が印象に残る。
デビューアルバム「新創世紀」のオープニングナンバーだ。
このアルバム、「僕のサラダ・ガール」を除くA面4曲が「青春の殺人者」サントラとなっており、ちなみにB面は一曲のみ。「組曲:新創世紀」だけという衝撃的な内容である。
映画自体の展開もまた超衝撃的で、それは一見にしかずだと思うので詳細は語らない。
ただ、若いころの水谷豊の衝動的な演技が恐ろしい。
親に、若い女との怠惰な性生活をなじられ、ついうっかりと衝動的に殺っちゃう、みたいな。
で、撮影ポリシーにおいても衝動性が引き継がれていて、ゴジお得意のゲリラ撮影が多かったという(『太陽を盗んだ男』における国会議事堂前での撮影は有名である)。ラストの国道わきのスナックに放火するシーンなんかもゲリラで、国道に大渋滞が発生したとか。また、水谷豊がそのシーンの炎の中で半分失神してしまい、助け出すのが遅れたら死んでいたとか。何かにつけてすごい映画である。
個人的に、このころの原田美枝子の演技は大嫌いです。
もどり川終了後、「お前の演技は汚ねぇんだよ」、とショーケンに罵倒されたという。
その後目が覚めて、演技が変わったという。
変化後は本当にうまいなと思う。
ところで、長谷川和彦監督が描いたのは、実話をもとにした映画特有の話といえるには言えるが、一応、原作がありそれは、映画とは微妙に違う感じ。
それが中上健次のこの小説だ。
蛇淫 中上健次 | 小説家兼起業家から見える世界 (mannequinboy-1.com)
この「蛇淫」という短編小説内の一表現に松田優作は、わざわざ赤ペンでラインを引き、並々ならぬ執着を見せていたそうだ。
非常に重く、原始的で湿度が高く、膿のように濃くてねっとりとした小説。まさに南紀・中上ワールドそのものだ。雨月物語を連想してしまう。
また、なぜかあまり共通点はないのに、最近あったあの「紀州のドンフアン事件」を連想。なぜなんだろうか。
他の5編も同様に土着的内容で、日本のおどろおどろしさにめまいがするよう。特に「路地」とか。血に縛られたこの国のどす黒い、湿潤細胞。
ある意味、下記の「横溝正史に通ずるのでは」という指摘は、的を得ている気がする。






