宅録ミュージシャン雑記  11月某日  | 脱腸亭日常 ~MY TESTAMENT of trifling beetle~

脱腸亭日常 ~MY TESTAMENT of trifling beetle~

名誉も金も、素晴らしい音楽を作り人々を感動させようという気持ちもない、極めて不心得なアマチュアミュージシャンであり、アマチュアアーチストtrifling beetleの遺書。
HP https://www.music-scene.jp/triflingbeetle/

柿谷と柳沢の姿が妙にダブって見えてしまう。

サッカーワールドカップのドイツ大会。

クロアチア戦での柳沢とだ。

あれは、自分のサッカー観戦史上、もっとも衝撃的な、シーンだったのである。


解説のリトバルスキーはこういった。


「あのシュートは、ルディ・フェラーならば、足にギプスをはめていても決めたと思う」。


「十年愛」というドラマでの、


「大江千里が、高速回転のメリーゴーランドに乗り込んだはいいのだが、遠心力で吹き飛ばされてしまい、空中を高く飛んだ挙句、地面に激しく叩きつけられて死亡したシーン」


...よりもショッキングなシーンだった。





決定的なチャンスを外した姿って、妙にリアルに残る。

今日のオランダとの試合での柿谷の姿も、残りそうなのだ。


ところで、不運とか不遇とかを絵に書いたような選手を見ると、同情の前に少し苛立つことがある。

心が狭いからだろうか??






突然だけど、確かに言えることだと思うが、80年代の音楽の特徴的な音、音作りの手法というものが明らかに存在すると思うのだ。


それは例えば、ドラムスにゲートをかけて切るという、あのドシンバシンとした音であり、ものすごく地味で軽く、やたら中高音域を強調したベースの音であり、はたまた多彩なキーボードによるカウンターラインやオブリガードのせめぎ合いなどである。


しかしこういう音の群れを、今、進化したコンポなどで聴くと、やはり音の厚みがないよなぁ。

物足りない。

狭い空間でごちゃごちゃとしたギグをやっているという印象しかない。


しかし、この音がとても好き!

もう愛してやまないのだ。

無論、今風な味付けは施すのだが、基本線としてはそういう音づくりを第一に心がけている。


この共存というものが、実はすごく心地よいと思う。

それはアナログとデジタルの共存の割合とか、そういう杓子定規で単純なものではない。

うまく表現できないのだが、「人間ぽくない人間臭さ」というところだろうか??


あえてデジタルで粗雑なところなんかを表現すると、人間臭くなることがあるが、あれをメロディ、歌詞、アレンジ、曲構成、定位、ミックス、マスタリングまで、曲全体でやるという表現が一番適切かも。



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マッカートニーが日本で逮捕された直後に発表されたソロアルバム「マッカートニー2」に、はこういう80年代的な音の原型が雑多に詰め込まれている。


発売されたのは1979年頃だったかな。

正確には80年代の作品ではない。


この頃、YMOが一世を風靡してワールドツアーなんかを行ったのだが、実はポールもこのステージを見に来て、かなり衝撃を受けたと報道されていた。

そして早速、テクノサウンドなるもんに並々ならぬ興味を示したとか。


それはこのアルバムの中の何曲かに顕著。

「ボギー・ミュージック」、「テンポラリー・セクレタリー」、「フロント・パーラー」、「フローズン・ジャップ」なんかもうそのまんま。

また「カミング・アップ」からして当時流行っていたファンクを、「オン・ザ・ウェイ」ではボブ・マーレィばりのダブレゲェを見事に取り入れているし。

新しモン好きなのだろうなぁ。


このアルバム内では「サマーズ・ディ・ソング」、「ダーク・ルーム」、「ウォーターフォールズ」、「ワン・オブ・ジーズ・ディズ」が特に好き。


「ワン・オブ・ジーズ・ディズ」は、ハーレ・クリッシュナという新興宗教の教義からヒントを得たとされている。

特にジョージハリスンが熱心な信者だったと言われているが、ポールもかなり傾倒していたフシがある。

1989年のアルバム「フラワーズ・イン・ザ・ダート」からのシングルカット曲「ディス・ワン」のジャケットはモロにその宗教そのものなのだ。

このシングルのポスターが、当時ロンドン中に貼り出されたという。


教義云々は置いておいて、この「ワン・オブ・ジーズ・ディズ」という曲の歌詞は非常に素敵だと思う。

ほぼアコギ一本でうたわれる歌を、とても深く、意味深く、かつとても荘厳に飾り付けている気がするのだ。

アレンジがシンプルな分、歌詞はすごく自然に心に届く。

このアルバムの中のベストソングといってもいいと思う。


このアルバムも、1970年のアルバム「マッカートニー」も、どちらも評論家にはクソミソにこき下ろされたそうだけど、自分はどちらも大好きだ。

自由なる音楽家というか、何事にもとらわれず、ひたすら気の向くままに「音」で遊ぶ永遠の少年ポール..の一面が、溢れんばかりに凝縮されているから。


ジョンの重さも大好きだが、このポールの「軽さ」もまた、かけがえのない財産となっている、音楽人としての自分の..。



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