「影の銀行」は金融当局の規制や監視を受けない運用機関の事で、伝統的な銀行と手を組んで収益を拡大した。高度成長期の日本では、銀行は貸出先に事欠かなかったが、70年代以降は不動産融資や有価証券投資で利益の増大を図った。そこに誕生したのが影の銀行だ。銀行の別動隊であるノンバンクやヘッジファンドが生まれ、いまや世界経済をゆるがすに至った。戦後日本金融史をふまえ、知られざる影の銀行の全貌を明かす。(帯の煽り文より)
「影の銀行」といっても 別にナントカの陰謀とか ○○コネクションとか 世界を牛耳る××一族 とかではありません。
ヘッジファンド等 いまひとつ投資動向が曖昧な金融機関をさしています。
ところで一般に「レバレッジ」の説明では、「(銀行等から)低金利で資金を調達し、高利回りの投資活動を行い、自己資本の利益率を高める」と言った感じでしょうか?
ここで疑問が生じます、何故銀行はヘッジファンドに低金利融資をするのでしょうか、自分達で直接高利回りの運用をすればいいのでは?と思います。
答えはいくつかあると思います
1)銀行にはヘッジファンドに比べ、高い利回りでの運用ノウハウがない
確かにコレはありそうです、特に企業再生のようなモノは誰でも簡単に、とは行きません
2)銀行はヘッジファンドにリスクをヘッジしているから
高利回り投資は当然リスクと隣り合わせです。
つまり銀行はヘッジファンドにワンクッションおく事で リスクを回避しようという考えです
3)規制により銀行は高利回り投資が出来ない
著者の立場はコレです。
例えば バブル期に於いても 「本来は」銀行は担保の不動産価格以上の融資は出来ませんでした。
が 例えば住専はバブル期 不動産掛け目を100%に設定していました。
問題はその住専の原資、つまり「タマ」は何処から来たのか?という事
答えは 銀行→ノンバンク→住専 と銀行の迂回融資である という事です。
つまり、「影の銀行」は銀行の規制のがれとして機能していた、という事です。
また 筆者の分野は年金 とありますが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人、つまりは年金基金の資産運用する団体)という団体があります
年金、というメジャーなテーマに関わらずこの団体について人々がどれだけ理解があるのか という事も問題にしています。
例えば 現在の確定拠出年金のうち「元本割れ」を起こしたのが全体の63%といわれています
またGPIFの09年の運用実績は9兆4015億円の赤字で、過去9年間の運用益を全て吹き飛ばし、1兆9908億円の累積赤字となっています
余談ですが 「事業仕分け」の節約分(といっても不急の事業の先延ばしが多数ある)が1兆数千億円 されますが 何故 事業仕分けがあれ程騒がれたのに 同規模の累積赤字には無関心なのでしょうか?
50年後には厚生年金の積立金は562兆円に達する見込である
日本のバブルにしろ サブプライム危機にしろ 一般的には人々のユーフォリア(楽観的な期待)が招いたとされています
が、本質的には 規制を逃れムチャな投資を可能とした「影の銀行」に責任があるのでは という事です
最後に筆者の主張を書きます
1)ヘッジファンドなど「影の銀行」への規制とディスクローズ
2)通過取引税(トービン税)の導入
3)金融肥大化の阻止
1)については米国のオバマ政権が既に金融規制法案を出していますね
例えばレバレッジ規制やヘッジファンドの活動をFRBへの報告、報酬の制限 ですね
2)は通貨取引のうち 貿易取引が5% 資本取引が80%を越える現実があります
この話になれば「市場のあるべき姿を歪める」と聞きます
が 「市場のあるべき姿」とは何か?
レッセフェールの推奨者であるアダムスミスも道徳感情論(だったかな)でマーケットにはモラルが必要と説いています
まぁ単純にいえばモラルが怪しいからルールを導入しよう ぐらいの話
3)は 日本のバブル アメリカのサブプライム 中国のバブルの共通点である「不動産」に対する問題です
早い話、不動産(住宅)は人間の基本的人権なので 株式会社ではなく協同組織等「過度な利潤を求めない」組織へ任せるべきという考えです
つまり福祉の観点から住宅を投機の対象にするな、という話
最後に 感想ですが 前半は金融システムの歴史の説明で割合難しいのですが 後半はスラスラ読めます
まぁオススメ
