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http://www.bk1.jp/product/03169773

ミツゴ評価 ☆☆☆☆+☆×0.5(☆×4.5コ)

<書評>面白い!だが難しい

日常会話にいきなし"一般に公正妥当と認められる会計基準"(GAAP)なんて飛び出したら どうだろうか?私なら正直面食らう
はっきりいってそれなりの会計知識が要求される内容である、最低でも財務会計(特に税務)と管理会計の違いを明確に認識できないと読めたモノではないし 明らかに読者にその程度の知識がある事を前提に書いている、さすがTKC出版!

私にはやや難解だった、それは認める
だが面白い

正直 いま手元に無いんで記憶モードで書いてみる
一般に法人税の実効税率は40%といわれている、だが明治期、日清日露戦争絡みで導入された時には 確か3%だった
問題が発生する
会計システムが未熟な時代、「課税所得」とは何だったのだろうか
普通なら、利益、をベースにする
が、利益を設備投資に注ぎ込んだら?という話になるとややこしい
現在では、減価償却という概念があるから 複数年度で減税効果がある
だが 実はある時期までは減価償却という概念が存在しなかったんだ!
では純資産(資本)の増加は?となる 今度は「増資による株式の振込金は利益だろうか」となってしまう、ワケワカメ!

閑話休題 税法をやっていると必ず 繰延の話にぶつかる、例えば 今年が100の黒字 来年が100の赤字、と、今年も来年も0なら トータルでは同じでも法人税額は違う訳だ

ならば3年くらいまとめて払えばどうか、と思う
すると戦時中はインフレだ 課税所得も当然(額面上は)増える
ならばまとめ払いは 過去の分の取りそこねになりがちになる、それじゃお上が困る!となる

他にも 資本拡充の法則より浪費禁止の為 交際費の損金不算入であったり 確定申告が実は税務署員のデモによる人手不足であったりと まぁエピソード満載

あー 出来ればシャウプ勧告に触れたい、知識がない!

面白いよ 難しいけど 特に中間部
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http://www.bk1.jp/product/03363662

ミツゴ評価 ☆☆☆☆+☆×0.5(☆×4.5コ)

<書評>久々の当たり
最近のマンガは表紙が綺麗だ
だが それだけで中身がない、というケースがままある

しかも何処の書店もシェリング(ビニールカバーでコーティング)している為、内容がわからない
マンガに割ける時間と予算と空間(起き場所)に限界がある以上冒険は避けたい、結果 シリーズ物以外の良作は埋もれてしまうのではないだろうか(情報の非対称性、レモン市場)
逆に出版社も 博打をおそれ だらだらとシリーズ物を出す形になるのでは?と思う

だから本書を取るときは若干の勇気がいた、私はジャンプ読者じゃないし 内水融という人の作品は読んだことがない
オマケに歴史モノは意外とハズレがおおい、表現すべき内容に比して 絵の持つ情報容量に限界がある為 内容がチープになるか説明まみれになるからだ

そんな訳で 本書はアタリ
最初読んだときは 佐藤賢一の「カエサルを撃て」を連想した
たしかあの作品にも 変態ローマ人の徴税請負人(政府や軍から地域の徴税権を買い取り、自前で徴税する商売、しばしば苛烈な税の取立を行った)がガリア人の娘を「税替わりじゃ、ローマで奴隷にする」なんて言って「逆らったらローマ軍団がテメーら皆殺しじゃ」的な話はあった

正直 中身がどうなるかは1巻時点ではなんとも言えないから☆×0.5マイナス

だが 続きが気になる1冊
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http://www.bk1.jp/product/03066032

ミツゴ評価 ☆☆☆☆☆

<書評>オーウェルの読み方

一般にはオーウェルといえば 反共産主義と言われ また反共主義者もそれを期待してオーウェルを持ち上げる

実はさにあらず
1948年 オーウェルが「1984」を出版した時、ちょうど東西冷戦に差し掛かっていた
オーウェルの祖国イギリスの読者達は 「1984」のモデルをソ連だ 中国だ いやアメリカだと話し合った
実はモデルはイギリス、つまり オーウェルは一見自由な社会に於いても ディストピア的な管理社会になりうる恐ろしさをテーマにしている訳だ

例えば 本書を見ればわかるが 支配する側はしばしば 外敵と内敵を作り出す
本書なら「人間」と「スノーボール」、1984なら「ユーラシア」と「ゴールドスタイン」だろうか
日本にもいるだろ、やたら外国や国内の自分と意見を違える人間を敵視する人達が
そして語り出す「我々は優れている、我々は団結しよう、我々に従わないのは敵だ、討ち滅ぼせ」と
本当にそうかな?と懐疑に思う人間には「聖典を読め!他の本は読むな!無知は力だ」と言わんばかりの態度だ

何が言いたいか?つまりオーウェルは常に社会にたいする関心と警戒が必要である、って言う事なんだ
新鮮な水も 容器に汲んで時間が経てば腐るし、どんな理想も時代とともに変遷する
だから常にチェックと修正が必要になる
「情報に対する懐疑」と言っても良いかもしれない
データを書き換えるのは支配層の常套手段だ

さて 貴方は「懐疑」していますか?

このblogもまた例外に非ず

本書は大変有名であるから、既に詳しい書評は山のようにあるだろう
だからここでは敢えて、「象を撃つ」に触れてみたい
象を撃つ、とはイギリスの植民地下のビルマが舞台
東南アジアやインドでは象は労働力であり財産でもある
ある日 象が暴走し、人間を殺し暴れ回った
イギリス人の警官は銃を構えるが 本当は象を殺したくはない、何故なら象は財産であるため、殺せば持ち主の生活が成り立たなくなるのは明白だからだ
だが周りの民衆は、象を殺してほしい、ライフルこそがイギリス帝国の力の証、彼等は白人が力を振るうのを楽しみにしていた
結果 警官は植民地の支配者故に象を撃つ

これは 支配する、と言う事が望まぬ形での力の行使に繋がる と言う事へのアンチテーゼであり 力があるが故に支配者も力からは逃げられないというアイロニーでもある

やや強引だが 実は銀行にもそういう部分はある
銀行は莫大な資産を持っている
故に その資産の保持に頭を悩まさざる得ない

ならば資産を圧縮しろなんて思うし 実際BIS規制等はそういう性格である

個人でも「住宅が牢獄」なんて思う人は多いのではないだろうか?豪邸なんか手に入れたモノなら維持管理で消耗してしまうのではないだろうか?
資産があるが故に好きな事にお金が使えない なんてあると思う
オーウェルが批判した大英帝国、その末期とは実は 植民地という資産を抱えもがき苦しんでいたモノだった

持つモノの苦しみ、コレはプチブル国家日本の人間なら誰もがわかるはず
オーウェルはまさにソレをアイロニカルに示している
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ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>オーストリアさん家の家庭事情

♪丸かいて うさぎ、丸かいて うさぎ 丸かいて うさぎ 僕 ぼたすきぃ~ フュー!

ハプスブルク帝国の栄光と衰退の1冊
「帝国」とは何か?それは多種多様な民族や勢力が1つの国、1人のリーダー(皇帝とは限らない)の下に 存在するスタイルの国 とも言えそうだ
例えば 中国清朝、チベットはラマ教徒である清朝帝室(満州族)と信徒と施主という契約を結んでいた
モンゴルとは モンゴル王族と血縁関係、つまり親戚同士の「一族」という繋がりだ
だから モンゴルは清朝滅亡後、中華民国とは血縁関係が切れたと さっさと独立した訳だ(領土に関する中国政府がいう歴史的正当性なんて、その程度のモノだ)

ハプスブルク帝国もこれに似た経緯がある
東欧諸国 特にハンガリーやチェコなんかは オスマントルコ、そしてロシア帝国の圧力に苦しめられた歴史がある
セルビアあたりは言わずもがな
しかし 単独では トルコやロシアには対抗できない、ならば強い国の下に入って その中で自治権を甘受した方がいい、という流れになってくる

それがハプスブルク帝国だ、だから 帝国下ではちゃんとハンガリーやボヘミアといった国はあるし、議会もある(王様がドイツ系、というだけの話)
マリアテレジアがプロイセンと戦争した時(7年戦争)は ハンガリー議会に援助を泣き付いていたりする

話がややこしくなるのは19世紀、民族運動が激しくなって「もっと自治権くれ」となってきたあたり(独立させろ、ではない)

例えば「チェコの役人は(帝国共通語の)ドイツ語以外にチェコ語も話せ、話せなきゃ役人やめろ」これは当たり前(ターフェ勅令)
だがチェコの役人にはドイツ系が多く、彼等はチェコ語を話せない、つまり失業の危機だ
しかしチェコ人はドイツ語がペラペラだったりする
つまり「民族の尊重」は支配階級ドイツ人には甚だ不満、となる
また ハンガリーに(軍事と外交、財政以外の)自治権を与えた、所謂オーストリア=ハンガリー二重帝国だ
ならば 「俺にもよこせ」と他の民族も言ってくる、当然グダグダだ

ならば 国内の少数民族を力で押さえ込めば?となる
しかし 支配層のドイツ人ですら全体の25%(だからハンガリー人と妥協した) おまけにロシアやドイツ帝国と向き合う以上、少数民族の協力による国内の統合が不可欠となってくる

ナショナリズムという自己主張が強くなる中 いかにバランスをとるか?これがハプスブルク帝国の末期、と言えようか

なんか片寄った内容になったな

本書を読むと、ハプスブルク帝国の歴史とは「個人の歴史」と思わされる
つまり ハプスブルク家の人間のペルソナ(人格)がダイレクトに反映されている、と
勿論 忠臣や名臣は出て来る
が 彼等をピックアップしたのもやはりハプスブルク家の人間だ

ハプスブルク家の歴史はヨーロッパ(そして世界の)歴史でもあった(有名なフェリペ2世もハプスブルク家出身)
ハプスブルク家の滅亡も 歴史の転換だった、と思える1冊
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撤退は、どんな状況で決断されるのか?公認会計士と軍事の専門家2人が 企業・軍事の両面から撤退を分析。歴史的実例を交えながら、リーダーの判断力や決断力、実行力の違いをあげて、戦略的な決断とは何かを導き出す。

http://www.bk1.jp/product/03306629

ミツゴ評価 ☆☆☆☆+☆×0.5(☆×4.5コ)

<書評>いや 面白いんだけどさ

本を読む事とは 著者の世界にダイブするに等しい、という側面がある
本書は経済と軍事の専門家が実例をあげながら 「撤退」について交互に語るが、正直いってコロコロ、世界が替わるから読んでいる人間としては混乱を起こしてしまう
カレーの後にケーキを食べるのが美味しくてもカレーをケーキにかけても美味しくはない
どうせなら はっきり区切った方が良かったと思うので ☆×0.5マイナス

「撤退」の成功と失敗の分かれ道とは「撤退後のビジョン」にあると思う

例えば 冷凍食品のメーカーのニチロ、最初は日魯漁業という会社で 早い話、日露戦争で勝ち取った権益である北洋漁業で捕った鮭や蟹の缶詰の製造 販売だった訳だ
ソレが第二次大戦による権益喪失 200カイリ条約による海外の漁場からの締め出しで キャッシュカウ(安定した主力事業)が消滅した形になる
ニチロは冷凍食品、つまり加工食品という新たな収益源を獲得した事に成功したのが 企業存続の鍵となった

またブラザー工業は最初ミシン事業が主力だったのだが、女性の社会進出(による家事労働の減少)によりミシンが売れなくなった
これを助けたのがプリンター等のオフィス機器事業への転換
つまり「何かから撤退する」事は同時に「新たな進出をする(企業なら収益源)を作る」のと同義であるべき と言える
その為に必要なのが、判断材料である情報の収集(信長の金ヶ崎での事件)、期を逃さぬ迅速な運営(ノキア)、明確なビジョン(日産)だったりする

撤退に失敗した事例をみると、「撤退した後どうするか」という解がないケースが多々見られる
日中戦争においても 中華民国の首都南京を制圧したまではよくても どうやって和平、つまり「出口戦略、落し所」というプランが描けず「戦闘」という政治手法に固執した形となった
またカネボウは繊維という 赤字部門を抱えており、早い話粉飾 つまり黒字に見せ掛けた訳だ
黒字、という事は利益が出る→法人税や配当を支払う というキャッシュの流出が発生する
粉飾をやめたい?何故?黒字なのに?となるから引くに引けなくなるし、粉飾をバラす事は 企業の信用に響く訳だ
この場合は 「赤字部門撤退後の企業」「粉飾決算を否定後の企業」のイメージを描けない為の失敗と言えそうだ

大切なのは、「勇気」「決断力」そして「計画力」そう感じた1冊

何故なら 企業も軍隊(国家)も 撤退後も生き続けなければならないからだ