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ミツゴ評価 ☆☆☆☆
<書評>ズバリ 戦争って儲かるの?
結論から言えば儲かりません
世の中の資源(リソース)には限りがある、例えば昼ご飯にカツ丼を食べれば天丼は食べられないのと同じ
予算の問題もあるし、カロリーもある、昼食時間もあれば 胃袋の容量もそうだ。
だから人は それらを踏まえて「何が1番よいか(効用が大きいか)」を考え食事を決める(意志決定をする)訳だね
本書は戦争に関わる意志決定を経済の便益について見てみたモノである
例えば徴兵制
コレははっきりいえば 軍隊に乗り気でない人を無理矢理軍務に就けるシステムだ
メリットとしては 非常に安く若い労働力をゲット出来る事だ
意外かもしれないが軍隊で1番お金のかかるのは人件費(食費込)だったりする、自衛隊なら防衛予算の半分弱がそう
コレを抑えられる事は 軍隊に頭数が必要な国(例えば韓国)にとっては極めて美味しいシステムと言えるだろう(韓国の人口は日本の4割程度だが、兵員は日本の倍)
だがデメリットを見てみよう
まずは 若年労働力が民間→軍 へ吸い取られる事、コレは少子化の進む先進国では頭の痛い問題だ
また 徴兵制はしばしば特殊な職業に従事している人間には免除していたりする
例えば医者なんかだ
だが コレは徴兵を嫌う人間にとっては医者になるインセンティブを高める事になる
例えば教師になりたいAさんが医者になった
果たして医者はAさんに向いているのか?そのまま教師になっていた方が社会にとって有益では?という疑問が生まれる訳だ
さらに元々兵隊に向いていない人間を兵隊に仕立てる訳だから 兵隊としての能力的にはどう?という問題も発生する
という訳で 東西冷戦後の世界では徴兵制は廃止の方向へ向かっていたりする
さて、戦争は儲かるか?
まず 現実問題 侵略による資源収奪は流行らない傾向にある
戦争は莫大な資金がかかる
しかもリスキーだ、何せ単純にいえば成功確率50%だから(互角の相手と仮定した場合)
こう考えれば 真面目にビジネスに励んだ方がいい、という理屈になる
では 「戦争で消費拡大」というのはどうだろうか?
戦争は莫大な人員と物資を要求する
当たり前だが 人は働くし 物資は生活のために使われる
戦争はそれらを奪い取る形になる
わかりやすくいえば 冷蔵庫工場を弾薬工場へ置き換えたら 冷蔵庫を作っていた利益が得られなくなる
これは「機会費用」と呼ばれるモノだ
では しばしば言われる「アメリカは軍事中心の経済」というのはどうだろう?
1947~2003年までの民間投資、民間消費、軍事費、政府支出、政府(非軍事)支出の相関関係のデータがある
結論からいえば
・政府支出増加は民間消費と相関関係があるが民間投資とは相関関係は弱い
・軍事支出に対して民間投資と民間消費は負の相関関係にある(ただし弱い)
つまり軍への支出は別に民間経済を活性化させてはいない といえる
また、統計学をかじった事がある人にはわかりやすいが 散布図の分散がかなり大きい、つまり バラツキが大きい
だいたいr^2が0.7程度は欲しいといわれているが 実際は高い指標で0.4程度だ
つまり経済には多様な要因があるため軍事だけでは語れない、と言える
最期に、山形浩生の翻訳ってわかりやすいし読みやすいが なんであんなに頭への浸透率が低いのかしらん?
サイゾーのコラムは好きだったのに相性が悪いのかしらん?