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流石に毎日の書評はしんどいです

という訳で これからは 1)普通の本 2)マンガ 3)休日 とローテーションを組むことにします

追伸 要はペースを落とす という事です
昔のネタが尽きた為 正直 社会人やりながらだと辛いですよってに
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ミツゴ評価 ☆☆☆+☆×0.5(☆3.5コ)

<書評>玉石混交

・良かった点
日米安保の性格の説明
日本は中東から石油を輸入し 世界中と貿易をして経済を廻している国である
世界中にビジネスパートナーがいる以上、パートナーが危機に陥ったり 治安が悪化して流通がマヒすれば 日本は成り立たなくなる
だから強大な軍事力で世界中に睨みを利かすべきだが ソレは日本の国力が許さない
だから 世界一の大国アメリカが「世界の警察官」として君臨し 日本はソレを基地や各種サービス提供でサポートする、実は日米安保とはそういう意味がある
所謂思いやり予算とは「安保条約には経済的サポートは義務ではないが、円高等でアメリカの懐が大変だろうから」と「思いやり」で出している予算だったりする(そして使い道の大半は基地で働く日本人の給料や基地関連の国内企業への支払いだったりする)

逆に言えばアメリカは日本にかなり気を使っている
日米安保が「世界の警察官」を支えている以上は 対日関係悪化は「世界の警察官」としての仕事が出来なくなるからだ(ソレはアメリカの国益に反する)

だから不祥事の度に偉い人が文字通り頭を下げる、アメリカには頭を下げ謝る(バウ)風習はない つまり日本側への配慮だ
その辺がきちんと書かれてあるのは好印象

・悪い点
自衛隊への評価
自衛隊はバランスが悪い、これは事実だ
だが ソレが悪い事だろうか?
例えばスイスには海軍はないが ソレは問題だろうか(スイスは内陸国)
またフランスは軍事的には日本と比較しやすい相手だが(予算規模や同じ先進国として) 核・原潜・空母を有しており、旧植民地への戦力投射能力がある
が その分 予算が取られ 他の装備に悪影響がでまくりだ
資源を海外から輸入する日本としては特に艦船の悪影響は避けたい

小川氏は海自の揚陸作戦能力の低さを問題視する
が、ソレは要するに「自衛隊を韓国や中国へ派兵する」能力でもある
別に甘い事は言わないが 歴史の教訓として大陸諸国に深入りするのが危険とする日本にとり 揚陸能力は果たして重要なのか?と思う
また兵器の値段についても怪しい
例えば「国産兵器は高い」というソレ
確かにそういう部分もある
が、例えば米国製戦闘機のライセンス生産には 技術料やアフターケア 予備パーツや訓練費用 あるいはいくらかの整備用機器もセットである
結果割高なんだがソレは批判されるべき事ではない
また「日本が(同じ敗戦国のドイツと比べ)主体性がないのは民族性の問題」と言うのも気になる
ドイツ軍の指揮系統はバッチシNATOに抑えられていて 少なくとも軍事的な主体性等微塵もない

なんか 片寄っているというか何と言うか ビミョーな部分もある
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ミツゴ評価 ☆☆☆☆☆

<書評>数字で見る経済

まず タイトルのネタについて
90年代以降急速に拡がった格差、これは別にグローバリズムとか新自由主義とかではない事がある
もし ソレが原因なら賃金格差は拡がるはずだが 実際に高賃金層(10段階中2番目)と低賃金層(10段階中9番目)の賃金格差は拡がってはいない
では 何故か?といわれれば 高齢化の問題がある、仕事のある高齢者 ない高齢者では所得は違って来て当然
また単身世帯が増えた事もある、大家族なら 収入口が多いのでトータルで見れば格差は小さくなる

では 本題をみれば女性の社会進出の結果 非正規雇用市場に多くの女性が進出した、結果として賃金格差が拡大したといえる

という訳で 次は少子化ネタ
意外な話だが 人間は豊かになる程 レジャーをしなくなる
豊かになる→賃金が上がる 為 仕事を休んだデメリット(機会費用)が大きくなるからだ

ソレが 少子化についても言える
女性の社会進出の結果、女性が正社員として働く事が増えた
だが 世の中には「寿退社」的な部分が根強い
結果 女性にとっての 結婚→出産 はキャリア(と年功序列による高賃金)を諦める形になってしまう(キャリアを維持するには結婚→出産を諦めるとも言える)
その額 2億円以上!
故に著者は 年功序列や終身雇用の緩和こそが少子化対策であると書く

よく世間で言われる「女性の社会進出の結果、少子化が進んだ」「対策として女性を働きやすくする」という(矛盾した)言い方にはこういう背景がある

では 閑話休題 金融ネタ

一般に銀行が潰れるとマズい、銀行の基本が"信用"だから 1行潰れると あっという間に信用不安が拡がるからだ
だから しばしば"公的資金"という言葉が出てくる
だが 果たして資本注入が正しいのだろうか?
実は 明確な効果は確認できない
例えば98年、99年に公的資金を入れたが その後の経済の回復はITバブルによるモノだ
また公的資金注入で蘇った銀行は資本が健全になる分、そうではない銀行のシェアを奪う形になるまいか?という疑問も出てくる
ここで 拓殖銀行について触れたい
実は拓銀破綻後 北海道経済は全国に比較して回復している(全体ではマイナスだが)
普通 潰れそうな銀行は貸し渋り、貸し剥がしを行う
ではその被害者は?となる
実はまともな企業が多い 資金繰りさえつけば経営できる会社だ(瀕死の企業だと貸し剥がす資産すらない)
つまり 「潰れかけ」の銀行が暴れる事はかえって地域経済にマイナスだ だから潰れるモノは潰して「その後」を考えるべき と考える

ほかにも色々あるんでオススメである
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ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>夜警国家
「夜警国家」といえばしばしば「防衛や治安といった最低限の行政サービスしか行わない小さな政府」という意味合いで使われる

だが本書を読むともう1つの意味合いが出てくる

警察とは 突き詰めれば権力の犬、暴力装置である

18世紀、ヨーロッパ諸国は重商主義的な経済政策(産業の育成と輸出の拡大=貿易黒字の増大)による国家の発展を目指した
言い換えれば 国家が民間経済に介入を開始したとも言える
例えば この頃からコーヒーが飲まれ始めるが、コーヒーは欧州諸国から見れば輸入品だから 貿易収支、国富の蓄積にはマイナスである
だからコーヒーを規制したり 高い税をかけたりする

これはコーヒーに限らず アルコールやタバコ 材木 あるいは地方から都市へ出荷される作物等についても言える

つまり 近代ヨーロッパにとって 警察とは統制経済の手段という側面があったりする

では前近代(特に中世)はどうだろうか?
都市(特に都市特権≒自治権、のある都市)は一定の税さえ払えば割合自由が許されていた
逆にいえばあまり国家の庇護が受けられない訳だ
当時の都市は 住民が限られていた
つまり 都市に住めるのは一部のエリート(=ブルジョワ、ブールの住人、ブールは仏語で都市の意味)であり 治安はそのエリート達の責任で行われていた
だが 中世封建制が揺らぎ、都市が発展すれば、当然都市人口は増えるし 治安も悪くなる
巨大化した都市の管理は次第にブルジョワ達の手に負えなくなる
そこへ国家権力がやってくる訳だ、税金を払えば 国が管理してやると

こうして 都市の自治が失われ 中央集権的な国家の誕生となる訳だ

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ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>ズバリ 戦争って儲かるの?

結論から言えば儲かりません
世の中の資源(リソース)には限りがある、例えば昼ご飯にカツ丼を食べれば天丼は食べられないのと同じ
予算の問題もあるし、カロリーもある、昼食時間もあれば 胃袋の容量もそうだ。
だから人は それらを踏まえて「何が1番よいか(効用が大きいか)」を考え食事を決める(意志決定をする)訳だね

本書は戦争に関わる意志決定を経済の便益について見てみたモノである

例えば徴兵制
コレははっきりいえば 軍隊に乗り気でない人を無理矢理軍務に就けるシステムだ
メリットとしては 非常に安く若い労働力をゲット出来る事だ
意外かもしれないが軍隊で1番お金のかかるのは人件費(食費込)だったりする、自衛隊なら防衛予算の半分弱がそう
コレを抑えられる事は 軍隊に頭数が必要な国(例えば韓国)にとっては極めて美味しいシステムと言えるだろう(韓国の人口は日本の4割程度だが、兵員は日本の倍)

だがデメリットを見てみよう
まずは 若年労働力が民間→軍 へ吸い取られる事、コレは少子化の進む先進国では頭の痛い問題だ
また 徴兵制はしばしば特殊な職業に従事している人間には免除していたりする
例えば医者なんかだ
だが コレは徴兵を嫌う人間にとっては医者になるインセンティブを高める事になる
例えば教師になりたいAさんが医者になった
果たして医者はAさんに向いているのか?そのまま教師になっていた方が社会にとって有益では?という疑問が生まれる訳だ
さらに元々兵隊に向いていない人間を兵隊に仕立てる訳だから 兵隊としての能力的にはどう?という問題も発生する
という訳で 東西冷戦後の世界では徴兵制は廃止の方向へ向かっていたりする

さて、戦争は儲かるか?
まず 現実問題 侵略による資源収奪は流行らない傾向にある
戦争は莫大な資金がかかる
しかもリスキーだ、何せ単純にいえば成功確率50%だから(互角の相手と仮定した場合)
こう考えれば 真面目にビジネスに励んだ方がいい、という理屈になる

では 「戦争で消費拡大」というのはどうだろうか?
戦争は莫大な人員と物資を要求する
当たり前だが 人は働くし 物資は生活のために使われる
戦争はそれらを奪い取る形になる
わかりやすくいえば 冷蔵庫工場を弾薬工場へ置き換えたら 冷蔵庫を作っていた利益が得られなくなる
これは「機会費用」と呼ばれるモノだ
では しばしば言われる「アメリカは軍事中心の経済」というのはどうだろう?
1947~2003年までの民間投資、民間消費、軍事費、政府支出、政府(非軍事)支出の相関関係のデータがある
結論からいえば
・政府支出増加は民間消費と相関関係があるが民間投資とは相関関係は弱い
・軍事支出に対して民間投資と民間消費は負の相関関係にある(ただし弱い)

つまり軍への支出は別に民間経済を活性化させてはいない といえる
また、統計学をかじった事がある人にはわかりやすいが 散布図の分散がかなり大きい、つまり バラツキが大きい
だいたいr^2が0.7程度は欲しいといわれているが 実際は高い指標で0.4程度だ
つまり経済には多様な要因があるため軍事だけでは語れない、と言える

最期に、山形浩生の翻訳ってわかりやすいし読みやすいが なんであんなに頭への浸透率が低いのかしらん?
サイゾーのコラムは好きだったのに相性が悪いのかしらん?