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内容はウィキペディアでもどうぞ

ミツゴ評価 ☆☆☆☆☆

<書評>訴訟社会=リスク社会=保険社会
圧倒的に面白い、とっくに絶版だろうが まんだらけ廻りをしてでも読む価値アリ

アメリカは高い!
医療費は高い、盲腸1つで200万円なんてザラだ
経営者の給料も高い、それこそ従業員の40倍とか当たり前だ
では何故?と思う
答えは彼等がリスク社会に身を置いているからだ
医療はミスをすれば患者に障害、下手すれば死ぬ
経営もミスをすれば 株価が下落 投資家が大損をする

当然裁判となるし 負ければ 賠償金が何百億円、の世界だ

ならばどうする?1つは保険、もう1つは専門家(リスクマネージャー)を雇って協議、という形になる

保険、の話を少々
医者は医療過誤保険、つまり医療ミスの賠償用の保険に入っている
「医療ミス前提かよ!」と思われるかもしれない、だがミスは「絶対に」なくならない「絶対に」だ
ならば備えるのは当然だろ?となる
ただこの保険料は高い、なんせ支払い金額がデカいから仕方ないといえばそうだ
だから 治療費に上乗せされ、結果治療費の高騰→低所得者が医療サービスを受けられない、となる
面白いのは経営者、経営者は株主のモノである会社を適切に運営して、利益を上げ 安定した配当支払と企業価値の向上(≒時価総額上昇)の義務がある
仮に義務が果たされない場合は当然裁判だし 負ければ莫大な賠償金が待っている
ならば ソレへの保険はあるか?といわれればある
実は日本でも例えば東京海上日動がやっているhttp://www.tokiomarine-nichido.co.jp/hojin/baiseki/yakuin/index.html

だが待てよ?となる
保険料はやっぱり高い、支払保険料が増えると当然利益は減り 配当は減り 株価も下がる
ならば、株主は訴訟を控える代わりに 保険料を配当に廻した方が良くないか?と
ソレを提案するのが リスクマネージャー、我等が主人公時田強士(ゴーシ)だ
彼は賢く 攻撃的で 聡明で 根明で行動的で モテる、だけど何処かビンボ臭いキャラクターだ

神の偉大さが 滅ぼされるべき悪魔の強大さに比例するように 本書の魅力とは持ち込まれるリスクの数々だろう
本書は15年近く前の本だが 今読んでも扱われる話題は古さを感じるどころか今なお新鮮である

個人的にプッシュしたいのは3巻と6巻だ

6巻の話題のダンピングについて簡単に触れたい
工業製品は沢山作れば原価は下がる、つまり安く販売しても利益を確保できる、コレは当たり前だ

ならば 最初に製品を大量生産、赤字覚悟でアメリカに輸出、原価が下がって来た所で国内販売したらどうだろうか?
米国民は安い製品をゲットし 企業も国内で利益を回収できる
泣くのは 米国でのライバル企業だ

本書はソレをテーマにしている、明らかに不公平なビジネスを行う企業をどうカバーするのか?と

実はコレは今のサムスンあたりがやっているのと同じなんだ
だから サムスンは事業ポートフォリオでみた場合 国内の営業利益率が凄まじい事になっている
わかりやすい「韓国市場が閉鎖的」とか「ウォン安だから」とかとはちと違う所に注意

おそらくコレからバシバシ、クローズアップされてゆく事だろう、そんな訳もあり本書は今なお新鮮さを放ち続けている
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http://www.bk1.jp/product/00975420

ミツゴ評価 ☆☆☆☆☆

<書評>(多分)城山三郎で1番面白い!

戦前の日本人は現在のアメリカ人並に投機好きであった
嘘ではない 1939年までは米の先物市場があって 日夜善男善女達が投機に狂っていた
さもなくば米騒動なんかで短期間に米価が4倍になる 等は考えられない
農耕民族が金融に向かない?馬鹿言っちゃいけない 農業はバクチそのものだ
莫大な初期投資 天候任せの収穫 市況に大きく左右される収入・・・・
だから リスクヘッジを考える、例えば複数の作物を栽培し 収入源の多様化をはかるし 予め売値を決めておいて価格リスクを抑える・・・・デリバティブの誕生だ

本書は日本人が金融に嵌まりまくっていた時代に生きた、1人の漢(おとこ)の物語である

山崎種二、漫画「美味しんぼ」の京極万太郎のモデルでもあるこの男が本書の主人公(のモデル)である

まぁ内容についてはウィキペディアでも見てね

本書の面白さは 舞台、つまり昭和という時代にあると思う
昭和前期はまさしく混乱期であった
大陸進出や戦争 恐慌 復興・・・・
ハルタネ(主人公)の舞台は米相場、現在のコモディティもそうだが コメは極めて政治性が強い作物だ、戦争になれば真っ先に値上がりする
そんな激動の舞台に生きた ある男(と女)の物語、と本書は言えるだろう

ぶっちゃけ「官僚たちの夏」なんかより面白い こっちをドラマ化しろよ、なんて思うくらいだ

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http://www.bk1.jp/product/02589141

ミツゴ評価 ☆☆☆+☆×0.5(☆×3.5コ)

<書評>嗚呼 憧れの傭兵ライフ

どん詰まりのヤツ程 戦争や軍隊に憧れる今日この頃 日本人傭兵の華麗なる傭兵ライフである

まず 給料が安い
当たり前だ ドンパチに勤しんでいる国はたいてい貧乏国だし アメリカみたいな国なら自前の軍隊を持っている
イラク戦争前でイラク側のオファーが月収40万円、これが超絶破格待遇だそうだ
通常なら数万円で御の字だそうだ

ただし PMCはこの限りにあらず

次は娯楽がない
イスラム圏はとにかく酒はダメ 女っ気もなし、水すら貴重品だ
戦場は当たり前だが超ストレス社会だ、基本は3K労働(特に「危険」)だし まともな社会インフラなんか麻痺しているから「休日はショッピング~」なんて論外
だからこそ まともな軍隊では慰安に力を入れる
朝鮮戦争時にはアメリカ軍にはマリリンモンローが慰安コンサートをしているし 日本軍でも寄席とかがあった
しかし「まともでない軍隊」である傭兵にはそんなモノございません、正規軍と差別されておりますがな

続いては「差別」「軽蔑」がうごめいている事
土地の正規軍からすりゃ「戦争を遊びに来たよそ者」ぐらいの感覚だろう
当然嫌われる

オマケに「傭兵=悪者」ってイメージがあるせいか 基本的に員数外(数にカウントされない)扱いだから 「公式にはいないとされている」事が多い
だから 正規軍の消耗が気になる危険な任務には真っ先に廻されるし、偉い人の前線視察には「目障りだ、失せろ」となる

嗚呼なんと報われない仕事

なんかエリートが リッチに戦争を楽しんでいると思う貴方、世の中そんなに甘くはにゃい
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http://www.bk1.jp/product/03180113

ミツゴ評価 ☆☆☆+☆×0.5(☆3.5コ)

<書評>ぶっちゃけ かなり鼻につく

取り扱っている内容が高級グルメな為か かなり鼻に付きます
オレなんて 家族で近所の廻らない寿司頼んで 本場のチーズ(ナントカ王国のアレ)と 5kオーバーのワイン飲むだけで超絶贅沢という心境だぞ ヲイ!

まぁ私の人間性が安物だから仕方ないんだが

この本を読んで思わされるのは、「飲食店の価値とは何ぞや」という事
マズローの欲求ピラミッドという概念が経営の世界にはある
欲求のレベルが 生理的欲求→安全→参加→名誉→自己実現 と進むアレだ
飲食店でも「腹さえ満たせればイイ」「家族や友人と楽しく食べたい」「デートに使いたい」「接待したい」では サービスも立地も価格も確実に違ってくる
例えば デートをしたいというなら お洒落な立地のレストランが望ましいし、価格もマクドナルドや吉野家と同じ水準だとアレだ
接待も同じ

つまり 飲食店の価値とは味だけではなく 雰囲気や立地、客層とそのニーズにも依る、という事だ
いや勿論、味がアウトなら論外なんだが

だから「味」のウェイトが目立つのは気になった

ちなみにこのblogの書評は私は1度はちゃんと目を通したし、自腹で買っていますので 変な利害関係はございません

グルメリポーターを信用してはいけない
この世には美味しい食べ物ばかりではない、これは当たり前
だが「こんなモン犬のエサじゃ!」「オッサン、客舐めたらアカン」なんて誰も言わない
それに旨いものは「旨い」としか言いようがないんだ、貴方が美味しいモノ食べて、いちいち「口の中でハーモニーが~」とか「プリプリしていて口の中で弾けるぅ~」なんて言わないのと同じ

つまり役者の台詞=フィクション と同じだと思えばいい
かつて平野耕太が コンビニメニューやファミレスでいちいちリアクションしている芸人を「お前らアフリカの難民か」なんて言っていたな

たいていは利害関係がある

繰り返しになるが 本書はかなり鼻に付く
「味」というのはかなり主観に依存する、極論「この店はマズイ、ソース俺」の世界でもある
そりゃ「ソース俺」をドヤ顔で言われたら普通はドッ引く

最期に1言だけ
著者が国産ワインについてかなり否定的な事を言っていたのが気になった
いや 著者自信が「何本も飲んでもマズかった」というならわかる
「権威あるショーや著名人の評価が低い」というのもわかりやすい(権威主義的だが)
だが「風土や土壌がワインに適していないからダメに決まっている」というのはどうかと思う
じゃあ ワインに適した風土って?となる
ワインはたいていはブドウから作られている
ブドウの原産地は地中海沿岸部、トルコとかイスラエルあたりだ
ならば北フランスやドイツ、あるいはグルジアあたりのワインはダメなのか?
人間の長年の品種改良や栽培技術の工夫がそれらを乗り越えてきたのとちがうのか?
例えばドイツならブドウを階段上に栽培して日照を確保していたりする

日本のワインメーカーも努力をしている以上 「風土がダメならすべてダメ」というのは酷に思えた
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石油高・穀物高になぜ翻弄されるのか?

http://www.bk1.jp/product/03061452

ミツゴ評価 ☆☆☆☆+☆×0.5(☆×4.5コ)

<書評>貨幣とインフレ

一時期 野口悠紀雄は デフレの原因を「資源価格の下落」と説明していた
日本のような資源輸入国にとっては 資源価格下落は望ましい、デフレは当然だ 財政拡大や量的緩和によるインフレ政策は無意味だと

だが 本書を読めばそれは違うだとわかる
仮に景気が安定している環境で、資源価格が下がった、としよう
ならば人々の実質所得は上昇するわけだから 消費が増え 資源以外の物価、とくにサービス価格が上昇するはずである
でも 実際はサービス価格、特に賃金は低下している、これ如何に?

日本はかつて3度の石油危機に襲われた
73年(第4次中東戦争) 79年(イラン革命) 08年(投機マネーによる)だ
では 何故73年と08年ではインフレ具合が違ってくるのか
著者は日銀の金融制作に由来する、とある
わかりやすく言えば73年当時は マネーストックの増加率が高かった(25%超)からだ

さて本書では 物価の決定要因を金融政策においている

資源価格のみでは説明できない事は先に触れた

では需給ギャップについてはどうだろう
戦後の日本は モノ不足だった
ではどのくらい?といえば 実質GNP(≒総生産高)が戦前の半分に落ちた訳だから 戦前におにぎり2コ食べていた人が1コしか食べられない程度だ
だが、それなら単純に言えば物価は2倍程度で説明可能である(少なくとも数百倍の説明にはならない)

そう 戦中の諸々の債務返済の為 紙幣を乱発したからだ

この構図はアプレゲールの東ヨーロッパ 80年代の南アメリカに見られる

因みにジンバブエも実質GDPが(比較可能な)06年よりまずまずの成長がある辺りから インフレをモノ不足「だけ」で片付けるにはムリがある

さて 本書は 金融政策とインフレに焦点を当てた訳だが、「何故」マネーストックが増えたか?についての考察が足りない
一応73年石油危機について触れれば ドルショックによる円高に対する 日銀の為替介入によりマネータリーベース増となる
その辺の明記無しでは 不親切では?と思う

また 一貫して貨幣回転の低下があるがその辺の解説も欲しい所
おそらく 実質GDP増による (上級財としての)貨幣需要が増えたから だと思うんだが