まぁグローバリズムについての雑感

実は現在より 20世紀初頭の方がグローバリズムは進んでいた(ニーアル・ファーガソン「憎悪の世紀」等)
先進国は植民地と貿易し、フランスやベルギーはロシアに多額の投資をし、アメリカは数百万の移民を受け入れていた
故に誰もが損をする大戦争は2度と起き得ないとすら言われていた位だ

では何故、近年グローバリズムが再び注目されているのだろうか?
世界経済を1つのゲームに例えてみればわかりやすい
1990年代前までは、ゲームのプレーヤーはアメリカ 日本 ヨーロッパ(それも鉄のカーテンより西側限定)だけだったんだ
そこに 共産主義システムの崩壊とIT革命による通信容量の飛躍的な増大により、中国やインドが参入するようになって来た
つまり先進国によるゲームが途上国プレーヤーが増えて、競争がヒートアップしたと言える

テーマは「途上国」、さて見てみよう

現在の先進国をみれば 程度はあれ小子高齢化が1つのテーマだろうか
つまり高齢者が力を持ちつつある
高齢者の望みは「低インフレ・高資産利回り」という矛盾だ
コレはバブルを生む下地になりやすい、低インフレは政策金利の低下でもあり、高資産利回りは投資水準の引き上げと結ぶからだ
興味があれば「テイラールール」「動的不均衡」あたりを見てみるのも一興

アメリカの不動産(証券化)バブルの時 米公務員の年金運用機構がドヤ顔をしていたのは有名な話(カルパース等)

つまりだ 先進国は飢えている、安い商品に飢えている、高い利回りに飢えている、投資先に飢えている、といっても良いと思う
という訳で 先進国は途上国との関係を強めようとするだろう

ここでは善悪は問わないので念のため

この環境下では 各国では「通貨高バイアス」がかかりやすくなるかもしれない
通貨高は輸入品価格の低下や対外投資の拡大、対外資金調達コストの低減を促すからだ
日本だとあまり気にはされないが 各国にとり通貨安はかなり深刻な話だ
何故なら 各国(特に新興国と金融立国)では海外からお金を借りる事が多い、海外の資金を高い利回りで運用して利鞘を稼ぐから
だから金融立国のイギリス通貨ポンドなんて一時期 1ポンド=240円 とかだったんだ(今は150円くらいか)

よく、「金融立国が悲惨」何て言うのはまさしくコレだ、経済がコケ、自国通貨が安くなれば外貨建て借入の返済や利払いが膨れ上がるから

「通貨安競争」とは世界レベルで見れば「海外からの資金調達削減競争」という一面を持つ、実際世界経済における資産と負債は縮小化をたどっている

まぁ結論、先進国の高齢化は途上国への投資と貿易を求めるようになりつつある
途上国もまた 先進国への輸出と投資受入による経済の成長戦略を採用しつつある

故にグローバリズムは先進国間の取引から先進国と途上国との取引に軸を遷す、というのが基本でいいだろう

<エクストラステージ>
余談集
だが実際はそうスムーズにはいかないんだな
まず「途上国」と書いたが中国の話
一般に途上国は「労働力過多・資本過少」だ、故に高い資金需要が、高金利となり先進諸国の金融資本を引き付ける
だが中国は「労働力過多・資本過多」でもある、はっきりいえば超金余りなんだ
コレは貿易黒字の蓄積と元安政策による低金利に由来する

超高金利書評子、三つ子のキャットシットワンのブログ-03279217.JPG

http://www.bk1.jp/product/03279217

ミツゴ評価 ☆☆☆

<書評>「戦時下の経済思想」といった方が正解か

まぁ戦時下の経済学者達のアレコレ
第一次大戦は日本に2つの意味で大きな衝撃を与えた
1つは総力戦、という事実
以前は「戦争はより大きな兵力の方が勝つ」という論理であり 故に各国は軍拡に励んだ
だが 総力戦の時代は「大兵力を支えるのは生産力(経済力)」という論理が生まれた
つまり「生産力が大きい方が勝つ」となる
結果 経済が軍事政策の一要素となる

2つめは、ドイツが敗北した事実
通常 大戦争の勝敗は 軍事力の喪失(兵隊がいなきぇりゃ話にならない)、首都や主要地帯の占領、指導者や政府の崩壊である
だが ドイツ帝国軍と皇帝や政府は未だ健在であり、ドイツ本土は殆ど無傷であった
ドイツを滅ぼしたのは経済の疲弊であり、ソレが生産を滞らせて 国民生活を破綻させた結果の敗北であった(ドイツ革命、ロシア革命)
つまり、経済を維持できなければ戦争に負ける という事実を突き付ける形となった訳だ

故に日本は経済の研究を始める

はっきり言えば本書はやや読みにくい
経済の本だと読めば、頁が進むほど経済から哲学や宗教 文化論と進む
石橋湛山等の実証的な経済論や 企画院や統制経済実務に興味があったので肩透かしだった

なんか書くか
日本は欧米に習い資本主義を導入した
では資本主義が進めばどうなるだろうか
先ずは 資本の集積と寡占化が進む(つまり小数の大企業が経済を牛耳る)
結果、競争が発生しない事が考えられる(電気料金が安くならないのと同じ)
つまり競争が消滅し、経済(生産)が停滞すると見られていた。

仮に産業が1強皆弱状態になれば 一般企業の利潤率は低下する(資本力のある独占的企業に価格競争をするには利潤を減らさざる得ないから)
結果として 公定歩合のコントロールによる利潤率と投資水準の決定が効力を失うと説いている

なんかマルクス臭くない?そう 戦前はカビの生えたマルクス経済学が最新かつ 有力な理論だったんだ
だから 本書にはマルクス経済ネタがバンバン出て来る

マル経では 資本と利潤を国家を経て 国民に分配すべしとある
戦前世界では 国家に当たるのが天皇だったんだ
当時は右翼革新(" 右翼と革新"ではなく"右翼革新"だ)なる連中がおり しきりに大企業(財閥)の解体と 生産権(要は生産インフラの所有権)を天皇に返還するように迫っていた
コレは 明らかに天皇→国民 へ利潤の分配を期待しての話だが 完全に天皇機関説じゃねーか!アンタらが散々叩いていたのはなんだったんだよ と思う(天皇主権説をとれば天皇が利潤の独占をしても文句は言えない)

機関=システム という意味で"天皇は国家システムの一部です"って意味 間違っても機関銃や機関車とは関係がない

閑話休題、天皇が出て来るあたりが日本らしいが 日本独自の資本主義の話
まず 資本主義にはお金がかかる、当たり前だ、資本=お金 という意味だから
さて そのお金を何処から捻出したかといえば農村からだ
つまり高い小作料をかけて それを工業に投資した訳だ
農村では高い小作料を払わなければならない、農業の稼ぎでは足りない、故に都市へ出稼ぎに行かなければならない
こうして 日本の工業化(≒経済成長)は農村からの資金と労働力により成立したといえる
コレは実は今日の中国やベトナムがそうで"東アジアの奇跡"を支えたのと同じシステムである(二重構造モデル、或いはルイスモデルという)
だが ソレを実現できたのは当時は日本だけであった(注:個人的には普通に欧州でもあったと思うんだが、囲い込み運動とか)
故に当時の経済学者は日本の社会に 経済成長の秘密があると考える

まぁ家族システムがどうの 村社会がどうのという話
某blogにて 毎度の事ながらの展開だ

なんか書くか
まず、(若干馴れ馴れしくてアレだが)トロピカルさんの見解は、その筋では大変有名な加藤出氏のソレをなぞっているように感じた
手元に 「金融ビジネス2010春号」がある
p36に氏の量的緩和策と流動性のわなに関する記事がある

オシマイ、じゃアカンだろうなぁーQ&Aスタイルで書くか

Q高橋財政をそのままマネねるの?
Aムリ
当時の日銀保有長期債はGNP比 2~4%、しかし現在はざっと11%
資産保有に制約がある以上 増加量には限界がある

Qなんで資産保有に限界があんの?
A資産が増え 負債が増えれば自己資本比率が減るから
日銀は銀行の銀行であり 金融政策の円滑化の為には銀行からの信用がないとアカンのよ
日銀が信用を失えば金融政策が機能しないリスクがあるんだわさ

Qでも国債って安心なんでしょ?
Aコレはリチャード・クーも指摘しているんだけど まず国家が経済に行うアプローチは財政と金融があるんだな
財政のカードが国債だ
仮に国債が暴落したとしよう
この環境では財政政策は困難になる
かといって国家が経済へのアプローチを失うわけにはいけない
結果 財政がアボンしても金融が生き残る手段が必要となる
つまり「財政と金融を分離させて、共倒れリスクをさける」が正解

Q何故長期債保有が危険なの?
A金利変動リスクが1年先と10年先ではどちらが大きいのか、という話
故にイールドカーブは生じる

Q何故日銀の紙幣発行残高が多いの
A流動性の罠、実質金利のたかどまり

Qなんか1事
A人にきくまえに自分で調べろよ 情弱か?
聞けば何でも教えてくれる シャバでそんなことあるわきゃにゃーて


まぁ経済ネタ

以前、「ソビエトは何故滅びたのか」というネタをした
結論からいえば
1)1960年頃までソ連は莫大な設備投資(おそらく軍需も多分に含まれる)をし それが経済を押し上げた

2)だが 結果的に設備が余剰になり、設備の新規投資が減少した(これは設備増加に対する効用が逓減した為)

3)新規の投資が増えないので 新規の技術革新が増えない
結果的に技術面で西側に遅れをとる

4)一方大量の設備は年々老朽化するのでメンテや補修に莫大な出費が必要になり、それが新規投資余力を奪った

5)結果として技術革新の停滞と設備の老朽化が重なり経済成長が出来なくなった

という内容
ペレストロイカとはある意味では西側の技術と資本の導入による成長戦略とも言える

実際、野口悠紀雄は 変な補助金を出すより 企業の設備の廃棄を促進する事で 資産収益率の向上を訴えていた、、、、気がする

さて今回は成長会計のお話だ、皆さんは何故経済が成長するかはご存知か
大きく別けて3つある
1)労働人口の増加
2)資本の増加
3)技術の発達

1)については まぁ少子化の問題であり、移民導入の根拠になる
3)は言わずもがなだろう、近年ではIT革命が有名だろうか

問題は2)だ
つまり、資本の問題だ
日本の高度成長を支えたのは何か?実は輸出、ではなく資本ストックの上昇なんだ
というのも1960年頃までは実は日本は貿易「赤字」国なんだ
まぁ国際収支の天井なんて言葉があるが、米国の工業力からいかに脆弱な日本の産業を守るか これがテーマなのが城山三郎「官僚達の夏」なんだ

さて1970~80年までに日本のGDPは年率4.5%成長した
うち、資本ストックの寄与度は3%、つまり日本の成長は資本ストックの上昇により支えられたといって良いでしょう
実はコレ今の中国と同じなんだ、中国が個人消費が少ないといわれているのは、貯蓄→投資→生産 のプロセスをなぞっているからやね

さて資本ストックの上昇に触れた、次は資本係数の増加について
資本係数とは 生産1単位の増加に対する資本の増加量だ
わかりやすく言えば 100万円を投資して1万円分生産が増えれば資本係数は0.01だ
当然コレは低い方がいい、低い程 少ない投資で多大な利益を見込める訳だから

さて日本
1970年代初頭 0.8
1980年代初頭 1.2
1990年代初頭 1.4
2000年代初頭 1.8
と年々上昇している
つまり設備投資に対するリターンが年々減少している訳だ
おそらく理由としては 資本増加による経済成長を労働人口の減少が抑えつけているからだろう(逆にいえば、労働力減を設備増で賄っているとも)

だが日本は設備が有り余っているが故に 新しい設備導入に消極的とも見れる、事実1990年以降は設備投資減が起き、コレが現在のカネ余りとなっている

コレではソ連の2の舞だ

故に現在必要と思われる政策は、1)減価償却の法定年数の短縮 2)新規設備投資への融資の増大 と思われる

1)について
減価償却をすれば当然損金が増え、課税所得が減少する、結果法人税が安くなる
結果 ムダな設備の廃棄へ拍車がかかる
ムダな設備が減れば企業はより効率のよい設備への投資が進む
つまりリストラ(事業の再構築)の支援にもなる訳だ

2)については既に政府系金融機関がしている、まぁキワモノなんて言われるが

まぁハロッド=ドーマー理論のお話ですた

その2
「売上と外注加工費が急激に伸びている会社」
→循環取引の疑いアリ

当たり前だが会社は売上と利益を出さなければいけない
だが 売上も利益かも、そう簡単に伸びないのは事実だ

粉飾決算の古典的手法に「循環取引」がある
つまり 決算前に協力会社に製品を「販売した事」にする、代金は売掛金だ
当然 貸借対照表上では在庫が減り 売掛金が増える
損益計算書上でも売上と利益が増える
そして決算が終われば 返品と言う形をとる
決算上では売上と利益が残る

はっきり言えば古典的手法だ
だが問題もある
売上を伸ばすように見せるには、当然製品を販売しなければならない
販売する製品が無ければ話にならない、つまり製品を作らなければならないのて 循環取引で成長を演技するには雇用と設備投資を増やさなければならない

いや、たまたま在庫や生産余力が余っているなら構わないが(いや法的に構わなくないが)、何度も何年もするには 継続的な雇用と設備投資が必要だ(粉飾するほどの会社なら当然、在庫や生産余力は圧縮に向かうはずだ)

しかり売上も利益もないので 循環取引をしている訳で、当然 雇用や投資の余力はない
そこで使うのが外注加工費だ
これなら自社生産に比べ融通がつきやすい

もちろん循環取引先の会社の協力だ

実例がある
IXIという会社だが、毎年2ケタ成長を遂げていた
しかも粉飾に有りがちな借入金や総資産の大幅な増加(コレは売上に比べ、という意)は見られなかった
結論は循環取引だ
このIXIとメディアリンクスなる会社は互いに製品を購入しあっていた
当然 売上が増えれば製品を作るための人件費や設備投資は増える
だが彼等は 互いに外注 という手段を使った、要は自分達だけで取引を完結させたわけだ
結果は 売上は増えた
だが設備投資も人件費も増えていない
その分外注費が激増している

考えてみれば変な話だ
外注だけで安定した高成長はできる訳がない、要するに自社には人材も設備もないという意味だからだ

結論を書けば まず大企業が何年も2ケタ成長を遂げるのは困難である
そして成長を遂げるには 多額の自社への投資が必要だ
つまり 自社への投資をケチり外注任せで成長している会社、それも大会社は注意したほうがいい