まずは ここでは 野口悠紀雄氏の最新作「世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか」の書評です。
長いタイトルだなぁ
この書評は氏の見解を全て批判するモノではありません、「労働力を流動化し福祉や医療へ、企業の過剰人員を移動させる」等 三つ子も同意する部分もあります
ただし 「コレはおかしい」という話もチラホラありますんでそちらを指摘していきます。
その1「企業の経常利益には多額の雇用調整助成金があるため、企業の回復はデタラメ」
→つまり 本来ならリストラすべき人員を雇用し その補助金に頼るのはおかしい という意味
考えてみればいいが 補助金<雇用コスト なら企業とすれば 経常利益には貢献していない となる
また 仮に企業が余剰人員をリストラすれば 失業が増える以上 失業手当や生活保護の支払が増える
これでは、雇用調整助成金を無くしても企業がリストラすれば失業手当や生活保護が増えるから 結局政府の負担は代わらない
その2 「アメリカは金融危機を脱した」
→大手6社についてはそうかもしれない。
しかし多くの地銀がダメージの大きい住宅関連商品を抱えており 未だに解決のメドは立っていない
その3「製造業は過剰設備を抱えがちだが、金融業はその辺がないので回復が早い」
→不良債権問題
金融業の基本はレバレッジ、つまり低い金利で資金調達をして高い金利で運用して利鞘(スプレッド)を稼ぐ事にある
運用益が低下し、マイナスになれば 当然 金融資産が「余剰資産」となる訳だが このような環境ではたいてい金融資産は資産価値が低下しているため 売却すれば 売却損が発生する
あと氏は余剰の有形固定資産の減価償却損を言っているが 遊休資産には減価償却は発生しない
その4「アメリカは製造業を切り捨てた、金融や情報に特化したから強い」
→完全に切り捨てられた訳ではない
例えば自動車等日本と競業する分野はそうだが 航空機やCPU(インテル)等 未だに強い分野がある
寧ろアメリカの強みは産業の裾野の広さにある
あと アメリカは今でも世界最大の自動車生産国の1つ、北米では世界の自動車生産の2割を作っている
プレーヤーがビック3から日本企業に変わっただけで
07年の北米で売れた日本企業製の自動車 705万台の内 459万台は現地生産
その5「新興国の低賃金を利用できる製造業に転換すべき」
→とっくにやっている(日本の技術輸出みればわかりやすい)。
また 転換できない製造業は基本的にインテグラル(すりあわせ)な製造業、つまり乗用車や産業用ロボット あるいは原発等 日本の御家芸といわれる分野
正直 企業は営利団体である以上 出来る事はたいてい既にしています。
こうして書いてみると問題点は「製造業は悪い、金融業は未来的」という変なバイアスに由来すると思います。
では、金融業のお得意様は誰なのか?誰から資金を調達して 誰に融資するのか?という 視点が抜けているように感じます
あと 日本にはファイナンス教育、つまり「お金のリテラシー」が大切 コレは解ります。
しかし、金融を考える上でもっと大切な事はあるのではないか?そう感じる事があります
例えば我々はしばしば感情に流されますが、本当は何を見るべきでしょうか
「センチメンタルよりファンダメンタル」 三つ子のモットーでもありますがファンダメンタルについて、どうしても緩くなってしまっている 最近そう感じています