紛らわせる

嘯く

足取りは

どこまでも重たい


背中を

冷たい風が押す

そこにいるんですか?

見失って

もう随分経つけど

流れに沿う様に

呼吸を連ねて


瓶底に隠れる様に

歪んだ視界

逢える筈もないのに

どっか願ってるんだ

触れない温度を

確実に掌に感じながら

見過ごした季節を

辿る指先一人

目蓋を静かに伏せて


誤魔化す様に

頬に当たる冷温を

埋める様に逃げた

渇いた眼も

柔らかく凪いだまま


ほら、そこにあるよ


いつかの声が響く

まだ忘れてないよ

貼り付いた様に

耳の奥で

ずっと叫んでる

嘘吐いて

縛り付けられた

枷を蹴り飛ばして

笑う様に

投げ出した


それだけなんだ


重たいままの

心の中

正しい事を失くす

それでも

流れに逆らう事は

難しいもので

ほら、また点滅する

世界は薄情なんだ


ほら、また。


指差した言葉の先

足取り重く

満ちていく世界


欠如した感情を

笑うんだ。


重力に逆らって

浮かび上がる身体

溢れだした泡の水

もう覚えてないよ

淡く弾けて涙する


こうして、

また溺れる

気泡の渦

笑えない

そうして、

終わっていく


何もない空を

両手で抱え込んで

散らかした感情を

集める様に

重ね合わせる


染み付いた匂いと

雨の中走り抜ける

寒くて震える

腕を包み込む様に

繰り返す大地の声


そうして、

また失う

声の器

こうして、

望みは

叶わない


ほら、また。


きっとそれはこうあると

避ける様に浮かび上がった

濡れる様に雫が当たる

一人笑う様に

駆け抜けるのは

撫ぜる様に湿った風


おかえりなさい


浮かび上がる

泡沫の園

笑えるように

思い出す様に


ほら、


浮かび上がった


困難になる呼吸

生きてますか?

意味はないけれど

自問自答と責任転嫁

ごめんねなんて

安っぽい謝罪と

埋もれた形探し


どれが本当なの

君の言葉は

どうせ終わるんだから


此処で千切れた

端的な嘘吐き

苦しくて吐き出した

辛いとか

そんなの知らないよ


お人形さんじゃない

その口は何の為?


言えよ


吐けよ


叫べよ


マリオネットじゃない

その身体は

誰のもの?

その言葉すら

意味を持たないの?


どうせなら

書き殴って

本音を零して

意味を与えて


操り人形みたいに

力の入らない身体

糸に引っ張られて

腕が取れそうに笑う


許さないでよ

どうせ、

何を言えない癖に


その入れ物には

僕が入ってる

助けてよ

言えないから。


繋がり項垂れる

僕を殺すコトバ

針の様に突き立てられた

痛みを伴う焦燥

伝い隠れるのは

口に出せない本音


まだ、まだ、ダメだ

きっと誰も気付かない

それは冷たく弾く

指の隙間望む灯篭

変わらないのは哀

爪の先で蹴り飛ばす

押し上げた目蓋も

掻き毟る胸元も

軋む針の音の中

波紋は広がる前に

暗く淀んだ海の底


時計が示す時間の狭間

ただ願いたかっただけの

淡い期待と歪み

憐れに爛れる掌と

縺れて掴めない足

ブリキの枷に溺れる

金属音は焦る心音


保たれない均衡なら

誰もが放り投げられた現実

見たくない幻想と

妄想を描く罪人の証言

それなら誰も叶わない

向こう側の日常へ


同じコトバを何度も並べる

繰り返される羅列

刺さったままの棘と

安らかな表情を

黒く塗り潰していく

望んでいないから

願っていないから

一人だけが幸せなんて

引き摺り落としたくなる


どうしてもこうしても

きっと誰もが思い描く

そんな人間になれるわけない

一人にしかなれない

僕にしかなれない

誰だって歪んでるんだ


ただ本音という名の糾弾が

足元に転がっている

結局同じだ

同じだ


僕は僕にしかなれない


デリート


デリート


全部消して

思い出すこともしないで

タイピングライターみたいに

一つずつ打ち込んで


それならいいでしょう

どうせ許さないなら


一齧り

噛み砕く様に

嚥下した言葉

やり直せない

一発博打の嘘吐き談議


今日のヒロインは誰?

どうせ私じゃないんでしょう

そう言って笑うだけの

見せかけの強さなら私は要らない

どうせなら殺めるくらいの

貴方を首を絞めるくらいの

そんな強さがほしい


齧って

千切って

呑み込んで

そうして最初に戻れるなら

打ち込んだ言葉全部

デリート出来る気がした


最初から


最初から


私の言葉は正しいですか

一つずつの嘘

一つずつの殻

砕いて

砕いて

真っ白に戻す


無垢に白痴。


デリートされた

記憶装置に成り下がる