呆れた様な声が

曇天の灰色から振る

麻酔がかかった様に

シーツに沈む身体

胃の中で逆流する

本音と建前の言葉

細い首筋は

緩やかに嚥下する


君の声は、いらない。


いっそ触れる前に

思い出さなければいい

向けた切っ先が

そのまま胸を引き裂いて

全てを還してくれよ

要らないと叫べど

何度も繰り返される

伝う半濁した意識

また今日も落ちていく


遠くから聞こえる

複数の足音に走る

気付けば其処には

誰も残っていない

壊れた玩具の様に

ぎこちなく笑う

嗚呼、軋んでいく


逢わないよ

逢えないよ

飛び込んだのは

巡る輪の中

また繰り返す様に

笑うんだ

呆然と零れた

誰かの声に

僕の人生を預けて

涙を切らした僕の声を

あの空に放り投げて

終わらせていく


閉ざしたのは

眠りに落ちた柔らかな世界


寂しい

寒い

ただ静かに

前を見つめる


この世界は

閉じていく

花弁の中で

点滅した

光の懺悔

消えなかった

拭えないまま

返す様に

揺らめいた


大丈夫、

私は此処に居る

そう言えば

きっと信じられる

生きていける

そう思わないと

生きていけない


瞬きした瞬間

消えればいいと

そう、思ったけど。


悲しい、

辛い。

口に出しても

仕方なくて

どうしようもなくて

それならと

幸せを蹴飛ばした

夢じゃない世界は

色を失ったまま


白黒に回る

ちかちかとした視界に

私の声がない

それでいいよ

そう信じれば

叶う気がしたから

単純なほどに

柔らかく殺す

私の世界は何色?

極彩色に示した

私の心は黒く淀む

悲しさが滲み出て

褪せた様に歪んだ


此処に居るよ。

此処に居るんだよ。


前だけ向いたつもりで

俯いた世界じゃ

何も見えないけど


散らばる言葉と

思い出せない時間

何気なしに外に放る

淡白な意識が

風に晒される


傷口ばかり目立って

優しい温度は忘れた

無意味な言葉の羅列を

どれだけ愛したって

返らないし返せない

足跡だけを追いかけて

その背中はいつしか

見えなくなってた


気付かなかった

思い出せなかった

時間が止まったように

足を止めたんだ

君を見失ったから

曖昧に笑う顔も

溢れだす様に泣く顔も

あの時、あの時間

あの場所に置いてきた

僕だけ此処にいるんだ


生きる事に焦って

踏み外したこの世界の中

僕の希望は流れていく

街の中に芽吹く


苦しいよ

辛いよ

それでも幸せだと

いつか言えればいい

そうあればきっと

忘れた笑顔も

思い出せるような気がして


冷たい世界が撫ぜる

僕の頬に涙が伝った


笑ってくれよ、


僕は今日も元気だ。


置いていく

秘密を重ねて

疲れた様に息を吐いた


君が笑えないと

嘯く世界に嘘を吐いた

ただ静かに祈る様に

アネモネを手向けて


それは優しい夢だと

何も言う事なく

その温度も掌に感じていた

願いなど

届く訳もないのに


この世界に

君が映ることはない

澄みきった空の中にも

透明な水面の中にも

君の姿は映らない

静かに此処にある

その事も否定して


もし私が幸せなら

君もそうであればいい

君が夢であるなら

私も夢であればいい


門を叩いた右手の甲で

涙が溢れる前の瞳を隠して


秘密にしよう、


幸せを吐き出して

君と二人生きる様に

僕は言葉の意味を殺した

何も言う事もなく

ただ祈る様に

咲き誇るアネモネの丘で

夢に沈んだ十字を追いかけた


星の海


呼吸を失くす


吸って


吐いて


膝をつく


届けたいのは


いつかの想い


ゆっくりと


辿りつく様に


笑いかけた


頬の温度


生温くなった


風に預けた


ここにいるよ


聞こえてるのか


分からないけど


喉の奥を通る


柔らかな空気


熱くなる胸


忘れかけてた


思いの丈を


空に向かって


放物線を描く


こんなものじゃ


意味がないけど