トライアングル森 本 -2ページ目

じゃりン子チエ1



昔テレビでやっててそれを見たことはあったが、こうやって漫画で読むのは初めてだった。でも読みながらちゃんと頭の中で声優さんの声が再生されてすげえとなった。特にテツの声の西川のりお師匠は完璧なキャスティングと思う、テツ本人と言う感じがする。すごい。師匠もっと他にも声優すべきと勝手ながらそう思った。しかし今回改めて読んでみるとその当時よりも今の方が何でだろう凄く良かった。ホッコリ美味しい肉じゃがを食べている時のような、夕方陽が暮れ遊び疲れて家路に着く時のような、郷愁を誘われる、斜陽の、哀愁の、下町の、武骨な、剥き出しの、人情味溢れる、日雇いの、やさぐれの、無保険の、プロレタリアートな漫画。当時はチエちゃんのこと何にも思わなかったが今読んでみるとこんなにもかわいい子なんやと思った。今はおかあはん(ヨシ江)と同じ気持ちでチエちゃんのことを見てしまう。おれの中の母性を奥から引っ張り出し無理やりガサツな手でくすぐられた。まあ単純に歳取っただけやろけど…別にこれは差別的な意味はなく(あらゆる意味での差別心は持ち合わせていない)これからゆっくりと衰退に向かう日本にとって今こそ読むべき下層の物語。逞しさを見習ってチエちゃんのように生きる。



(写真①)看板猫ならぬ看板を持たされる猫



(写真②)後日アルバイト代を請求する猫



(写真③)顔がパンパンに腫れた(しばかれた)テツ

取締役島耕作 2



上海で暮らし始めた耕作は徐々に現地での生活にも慣れ中国の実情をおぼろげながらも掴み始めた。それは多くの日本人が10年後20年後まで気づく事が出来なかった残酷な現実である。ようやく目下2019年の現在では当たり前の認識として受け入れられつつあるが(というよりなし崩し的に受け入れざるを得なかった方が正しいが)日本はこのままゆっくりと衰退に向かって行くという現実である。この時期にそれに気づいていた耕作と弘兼先生の慧眼は流石だが、ここからどんな日本になっていくのだろうか。おそらくこのまま日本は観光立国を目指し外国人を受け入れ、徐々にその外圧に押される形で日本としての個性を変貌させつつ折衷しながら新たな精神面での、また文化面での最高峰なものを生み出すフロンティア国家を目指すのではないか。世界の行先のキャスティングボードを握る哲人国家を。だが実際は衰退の一途を辿るかも知れない。悲観的に過ぎるかも知れないがそれ以上の悲惨な現実がやって来るかも知れない。歴史上日本が中国を上回っていたのは直近の200年間だけである。あとはうまく付き合っていくしかないだろう。それはともかく本編ではなんとあのチャコがヘロインの魔の手に捕まってしまった。賢い人でも一度ハマると抜け出すのは難しいらしい。なんと恐ろしいのか。そしてまだまだ闇社会が蔓延っている中国の現実。日本を同じようなシン・シティやゴッサムシティにしてはならない。

取締役島耕作1



課長→部長ときてこれでついに3役職目に突入。「取締役島耕作」2002年当時。日本社会はいまだ不況が続き年間自殺者数が3万人を超える「失われた20年」の真っただ中に居る島耕作と日本。当然といえば当然ではあるが、このタイミングで周りにも色々な変化があった。大泉会長夫人が亡くなり、大町久美子が日本に戻ってきた。色々あった今野さん(ほんとに色々あった)が引退し、だが最後の出勤日にスポーツカーで出迎える粋なサプライズをするのはさすが島耕作。(何故スポーツカー?とは思ったが…)利害関係を行動の規範にしていたら絶対この判断にはならない。とても見習いたい人として大事なところ(それゆえなかなか難しいのだが)だ。耕作に付きまとっていた?千鶴の結婚と耕作自身の福岡から上海への転勤。かつ子との二度目にしておそらく今生で最後の別れ。滑稽な「にわか面」が余計に物悲しくさせる。



(写真①)かつ子とは来世で結ばれて欲しい。相手の辺見さんならきっと幸せにしてくれそうだが…日本料理の料理人は何故か一途に見える。チャコだけは上海について来た。これからまた新しい街と人種さえちがう社会と会社のなかで「取締役」島耕作の闘いの日々が始まる。