カラーフィルター ・ ・ ・ 続き | 色石ルース屋トレテゾーリのブログ

カラーフィルター ・ ・ ・ 続き

ご無沙汰しております。





如何お過ごしですか?




こちらは完全に冬眠しておりました。汗





春一番とともに洞穴から出てきました。





またしばらくの間、気付いた事を書いていきたいと思います。





宜しければご覧ください。







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前回 の続きです。





前回はグリーンクォーツの話から脱線して、カラーフィルターの話になっていました。あせる





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前回の最後に、天然エメラルドがフィルターにて赤く見えたり見えなかったりするのは、天然石ならではです。





と書きましたが、今回はその続きです。






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「赤く見えたり見えなかったりする」というのは一つの石の話ではなく、





赤く見える石もあれば見えない石もあるという意味なのですが、





今回は何故その様なことが起こるのか??という話です。





それは、エメラルドに含まれる成分の違いにによって起こります。





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突然ですが、エメラルドの産地として有名な国はどこでしょう?





スイスの鑑別機関の方に聞いたところ、エメラルドはダイヤほど豊富ではないにしても、意外にそこらじゅうというか世界各地に眠っているようです。




現在でも、ブラジル、ロシア、パキスタン、ザンビア、タンザニアなどいろいろな大陸で採れています。




これらの国々は何処もいろいろな宝石が採れる事で有名な産地です。





そんな中、エメラルドの最も有名な産地はといいますと、・  ・ ・ ・ これらではなく、コロンビアです。





宝石というよりコーヒーの方が有名な国ですね。(笑)





何故産地の話になったかといいますと、コロンビア産のエメラルドは特に良質で他の産地と区別されています。





そして、今日の話題にしているフィルターは主にコロンビア産のエメラルド用に使われていたからです。




当時は小さくて軽いこのフィルターは鉱山の現場で重宝したそうです。









ここで少しコロンビア産エメラルドのご紹介です。。。。。ほんの少しです(^^ゞ






さて、コロンビア産のエメラルド。






その最大の特徴は何と言っても色!!





とても鮮やかなエメラルドグリーンです。






色石ルース屋トレテゾーリのブログ-eme







話をフィルターに戻しますと、





実は、この様な鮮やかなエメラルドでなければフィルターにて赤く見えません。





エメラルドのグリーンはクロムという元素によるもので、このクロムは赤い光も放っています。





その赤をフィルターでみるという訳です。






ところが、そのクロムの赤の光を邪魔するものがいます。





それは主に鉄が有名です。





エメラルドに鉄が多く含まれると色が濃く(暗く)なる傾向があります。





本来、エメラルドの主成分には鉄は含まれていません。






では、何故鉄が入るかというと、それは母岩によります。






エメラルドの結晶はこの地球上の大地から見れば、赤ちゃんの様なものです。





ですから、母体の特徴を受け継ぎます。





コロンビア以外の産地は鉄分を多く含んだ母岩である事が多いです。





そのため、その内部で育つエメラルド結晶にも鉄分が入り、鮮やかさが抑えられます。







それに対して、コロンビア産のエメラルドの母岩は鉄分の少ない真っ白い母岩です。






色石ルース屋トレテゾーリのブログ-eme rough  ←母岩付きエメラルド原石


写真では黒い部分が大半ですが、汗



エメラルドは白い部分で成長します。





相対的にですが、コロンビア産のエメラルドは鮮やかなものが多く、その他産地のものは少し濃いものが多い傾向にあります。





もちろん、コロンビア産でも濃いものや、他の産地のもので鮮やかなものも存在します。








このように母岩の違いによってエメラルドの色の鮮やかさも違ってきます。





そして、フィルターにて赤く見えるかどうかにもかかわってきます。






という訳で、天然石である以上結晶が成長する時にどのような成分が入るかは人間には分かりません。






そのため、石によってフィルターで赤味を帯びるものや、帯びないものが存在するという訳です。





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さて、話をその後のフィルター君に戻しますと、






コロンビア産の綺麗なエメラルドがじゃんじゃん採れて、市場の大部分を占めていた頃は、





このカラーフィルター君もテキパキと仕事をこなしていたのですが、





その後、ブラジルなどの他の地域でのエメラルドの産出が続き、コロンビア産以外のエメラルドが市場に溢れるようになると、、、、、




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フィルターに反応しない天然エメラルドが沢山出回る。。。。。。。。





フィルターを通してもガラスやトルマリンなどの他の緑の石と同じ反応(無反応)。。。。。





つまり、区別が付きません。汗





という訳で、少しずつ活躍の場がせまくなってしまいました。





世界にはまだまだいろいろなエメラルドが存在するという事を知ったのでした。(;^_^A







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このように、エメラルド用の鑑別器具としてのようとは限られてしまいましたが、





実は、このフィルター、その他の石に対してでも有効な力を発揮することが出来ます。





例えば、真っ青な石が真っ赤に見えれば合成ブルースピネルの可能性が高かったり、グリーントルマリンとクロムトルマリンを分けたり、その他、グリーンガーネットやアクアマリンなどなど、特徴を示す石があります。




ある程度の知識を持って使えば少なからず石の識別の手掛かりになります。





使う側がどのようにその能力を活かすかという事の様です。






この事は宝石鑑別の世界に限らず身近なすべてのものにいえるのかも知れません。





高機能満載のスマホだったり、パソコンだったり、





或いは、会社においては人材についても当てはなるのかも知れませんね。





いろいろ有効活用していきたいですね。






石に関してはどうだろう??有効活用できていない事はあるだろうか??





ちょっと考えてみます。(;^ω^A






因みに、先程書いた「フィルターを使う為に必要な知識」というのは、宝石について学ぶ上でのほんの初歩的な事柄です。






いつもここで書いている内容は、難しいことは何一つなく、実はちょっと宝石の勉強をされて方であれば、皆さん当たり前の様に知っている事です。





ご興味のある方は是非ちょっと宝石学とやらをかじってみてください!(^-^)/






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