なにかが伝わる演奏とは | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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なにかが伝わる演奏、聴く人に響く演奏、そういう演奏ってどういうものなのでしょうか。なにが聴く人に響くのでしょうか。よく整っているだけでは、伝わる演奏にはなりませんよね。なにかが伝わるから評価もされる。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

聴いていて… 

 

「ああ上手いな」と思う演奏もある。
でも、それだけではなくて、なにかが伝わってくる演奏、心に響く演奏もある。
その違いって、なんだと思われますか。
演奏者に対する思い入れ、でしょうか。
単にそうではない、その演奏そのものが持っているなにかがある。
演奏って、そもそもなにが表れるものなのでしょうか。
なにが伝わるのでしょうか。
自分の演奏を録音して聴いてみると、「面白くもなんともない」としか思えない、
そんなこともありました。なぜか?
きっとあの頃は、ただきちんと整えることしか考えていなかったからなのでしょうね。
そういう演奏ってやっぱり、面白くもなんともないし、なんにも伝わらないのです。
では、伝わる演奏ってどういう演奏なのでしょう。
 

 

個性 

 

演奏者の個性がにじみ出た演奏、そういう演奏って、面白いし伝わりますよね。
「この人ってやっぱりこうだよね」っていう演奏。
でもそういう個性って、意図して作るものでもないし作為的に出すものでもない。
自然ににじみ出てくるのですよね。
それってでも、「きれいにきちんと整えて」としか考えていなかったら…
それでは決して出てくることがないものだと思うのです。
個性ってある意味では、整えることに邪魔だったりもしますよね。
でも、それを消してしまっていては、ほんとうの意味での『整う』もない、
そんなふうにも言えるように思うのです。
 

 

心根 

 

どんな心根で演奏に臨むのか、それって確実に、音に出ます。

  • 技術をひけらかしたい
  • とにかく整った演奏がしたい
  • 人から認められたい
  • 評価されたい
  • 自分を伝えたい
  • 曲の美しさを伝えたい
  • 曲の精神を伝えたい

いろいろありますよね。
どんな思い、どんな考え、どんな心根で演奏したのかは、そのまま演奏に表れるのです。
そして、
「コンクールにはとにかく整った演奏が必要で、そのほかの要素は要らない」というのも嘘です。
それでは評価もされません。
取り組む楽曲を、いかに深く受け止め理解するか、
そういうのが、いちばん伝わるように思います。
 

 

意思 

 

ひとつひとつの音、ひとつひとつのフレーズを、意思を持って発しているかどうか。
これ、演奏に魂がこもるかどうかの大きな分かれ目なように思います。
きれいに発音するとか、はっきり発音するとか、発音の種類が多いとか、
そういう単に技術的なことではない、もっと深いところにあるもの。
はっきり発音するのと、意思を持って発音するのとは違うのです。
言葉をしゃべる、話す時って、意思を持って言葉を発しますよね。
それって、ただ単にはっきりしゃべるのとは違いますよね。
そして、そのどちらが相手によく伝わるのかは明白です。
演奏も、それと同じだと思うのです。
 

 

色使い 

 

音の種類、色使い、音色…
そういういわゆるパレットの上の手の内が多い。
そして、それを場面に合わせて適切に繰り出してくる。
たとえば合奏であれば、そういう色の種類って言葉だけでは伝わらないもの。
単に、「こんな色で」「こんな音で」と伝えただけでは、作為的でまとまった色にはならない…
たとえば指揮者が、その持っているテクニックを適切に使って引き出してゆく。
それって、指揮者の意思と演奏者の意思が共鳴するということだと思うのです。
魂が共鳴する。
だから、聴く人の心を動かす音が生まれるのだと思うのです。
 

 

楽曲への愛 

 

楽曲を演奏する上で、欠かせないもの、それは、その楽曲への愛だと思うのです。
読み取り、理解し、共鳴し、それを伝えたいという意思を持つこと。
それなくして、演奏からなにかが伝わることはないし、
そこを忘れて独りよがりになったのでは、なんの共鳴も起こらない。
楽曲を、まるでなにかの(賞とか)道具のように扱った演奏では、
なにも伝わらないし評価もされない…
楽曲へのリスペクト、そこから始まるなにか、
それが、演奏にほんとうの生命を吹き込むのだと思います。
 

 

生きざま 

 

その演奏から最終的に伝わるもの、それって、その人の『生きざま』といってもいい、
そういうものだと思うのです。
もちろん、その人の私生活なんて演奏からは直接は見えませんよ。でも、
自分のすべてをさらすような覚悟が問われることもある。
それってある意味、とても怖いことです。
なにかを偽っていては、とてもそれは出来ない。
ということはもう、どう生きるのかということにまで関わってくるのですよね。
でもね、品行方正がいいなんてことではないのです。
そうではない名演奏家や音楽家だってたくさんいます。
なら、彼らの生きざまのなにが、その演奏にそんな魅力を醸し出すのでしょうか…

さて、なにかが伝わる演奏、聴く人の心を動かす演奏ってどういうものだと思われますか。