音が出ることよりも大切なこと | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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管楽器でまず大切なことってなんでしょう。おそらく多くの人が心の中でいちばんに思っていること、それはきっと、音がちゃんと出ることではないでしょうか。でもそれが、はたしていちばん大切なことなのでしょうか。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  ちゃんと音が

 

まずは音が並ばなかったらしょうがない。
楽譜の音がちゃんと全部きちんと並ぶこと…
ウォームアップでも、まずは音が出ること…
初心者の頃でも、とにかく音が出るようにすること…
そんなふうに心のどこかで無意識に思っている人、じつは少なくないように思うのです。
ぼくもそうだったこともあります。いや、今でも時々そうです。
でも、それがいちばん大切なことなのでしょうか。
なにかもっと大切なことを忘れているのではないでしょうか。自戒も込めて…
 

 

  鳴かぬなら

 

ある先生に教わったこと…
鳴らすのではなく、『鳴るのを待つ』のだ、と。
大切なことだと思います。でも、忘れがちなことです。
秀吉『鳴かせてみせよう』ではなく、家康『鳴くまで待とう』なのです。
(なんのことだかわからない人は自分で調べてくださいね)
管楽器は、『鳴らす』のではなく、『鳴るのを待つ』。
では、なにをして待つのでしょうか。
鳴らすのよりも大切なことって、なんだと思われますか。
 

 

  風の楽器

 

管楽器って、どんな楽器でしょうか。
『管』で出来た楽器?
違います。
管楽器は、英語では『Wind insutrument』つまり、『風の楽器』です。
日本語でも、『気鳴楽器』という言い方もありますね。
『管楽器の文字ははなはだ穏当ならず』…、諭吉先生なら、きっとそう言われたでしょうね。
とかく日本人って、本質とずれた捉え方をしがちな民族なのかもしれませんね…
とにかく、風の楽器、つまり、空気が流れて音になる楽器なのです。
空気の流れがまず、いちばんに大切なのですね。
 

 

  空気の流れ

 

その空気の流れは、人間の呼吸によって生み出されます。
自然で、ストレスなく、人間が『本来持っている』呼吸の動きを、ただ拡大したもの…
それが、管楽器の呼吸です。自戒込む…
そして、求める音により、その流れや圧力は変化します。
ふさわしくない流れで、求める音を得られることはありません。
自然で理想的な空気の流れが、共鳴する。身体にも、楽器にも。
管楽器を『拡声器』だと言う人がいますが、バカ言っちゃいけない。
管楽器は『共鳴管』です。拡声器ならチューニングなんか要らない。
共鳴するためには、自然な空気の流れが必要です。
リードやくちびるは、それをただ音の素に変換しているだけなのです。
 

 

  空気を流す

 

まずは深呼吸。
自然でストレスのない、ゆったりとした深呼吸、出来ますか。
そしたらそれを、楽器をかまえてやってみる。
おなじことが出来ますか。
初心者を手ほどきするときも、まずはここから始めることが多いです。
そしたらその空気の流れをそのまま、楽器に吹き込んでみる。
音が出るかどうかは大切ではないのです。
自然な空気の流れこそがまず、大切なのです。
そしてそれが音になるのを待つのです。
いちばん大切なことを忘れてしまっている人、忘れてしまっていること、少なくありません。
空気の流れ、大切なのです。
そしてその次、2番目に大切なことってなんでしょう。それは明日のお話…

さて、管楽器をされているみなさん、あなたは忘れてはいませんか、空気の流れを。