自分の中にある音が… | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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昨日は、管楽器にいちばん大切なものは自然な空気の流れだということを書きました。では、その次、2番目に大切なことはなんでしょうか。なんだと思われますか。望む音が出るために、大切なこと、それは、その音が…

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  望む音が出るために

 

管楽器で、望む音が出るために必要なこと…
そもそも、望む音ってなんでしょうか。
具体的に、自分の中にありますか。
たとえば『C』の音を出したいとします。
その音、自分の中にある?
『C』という『音の名前』ではないですよ。名前なんかどうだっていい。
それよりも、その『音』です。
自分の中に鳴っていますか。
つまり、まず『ソルフェージュ』出来ていますか、ということなのです。
 

 

  自分の中にあるから

 

管楽器って、とかくビギナーの頃は、こんなふうに考えがちです。
指さえ合っていれば音は楽器が作ってくれる、と…
そう思っていたことはありませんか。でも実際には、そうではありません。
自分の中にあるから、その音が楽器から出てくるのです。
自分の中にない音は、決して出てくることはありません。
もし自分の中にないものが、あるいは自分の中にあるのとは違うものが楽器から出てきたら…
それは、ひとつの失敗ですよね。
でも、失敗から得られるものは少なくありません。とくに、後者の失敗からは。
 

 

  一緒に歌うように…

 

初心者に教えるときに…
なんだかうまく音が出ない、音が定まらない、そんなとき、その出したい音を歌ってあげて、
「いま出したい音はこの音だから、この音を、吹きながら一緒に歌っている感じで」
って伝えて、吹いてみてもらうと…
鳴りや響きが劇的によくなることがあります。
(必ずそうとは限らないですが…、だから観察が大切なのです)
でもこれは初心者に限りません。
たとえばパッセージの中の特定の音の音程がうまく合わないとき、
「この動きはもう自分の中にあるのだから、それを吹きながら一緒に歌うような感じで」
って伝えて吹いてもらうと合ってしまう、そんなこともあります。
上げたり下げたり気にするよりも、よっぽど合いますよ。
 

 

  楽譜を歌えるように

 

よく言うことなのですが、自分の吹く楽譜、まずは声で、歌えるようにしましょう。
歌った音が楽器から出てきます。そもそも、歌えないものは吹けません。
楽譜の音、リズム…
「こんなふうに」って頭で考えるよりも、歌えるようになること。
そしたらあとは、それが楽器から出てくるように純粋に技術的課題があるだけなんです。
その順番、逆になってはいませんか。
技術があるから音が出るのではなく、まずは音が自分の中にあるから出てくる。
技術は、そこで初めて必要になってくるものなのです。
 

 

  どんな音

 

自分の中にあるべきなのは、音の高さばかりではありません。
どんな音なのか、その音色、響き、強さ、アーティキュレーション、ニュアンス、イメージ…
そんなものが、自分の中にあること。
「いい音が出したい」…、なら、その『いい音』、自分の中にありますか。
自分の中にそれがあれば、いずれ出るようになるかもしれません。
でも、自分の中になかったら…、出るようになることはないでしょう。
言葉に出来ることなんかどうでもいい。その『音』が、あるかどうかです。
もしなければ、それを探すことが先です。
そのためにも、たくさん聴くことが不可欠なのです。それも、生で、ね。

さて、音、自分の中にありますか。