続・音楽って知っていた方が楽しめるのか? | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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昨日は『音楽は知っていた方が楽しめるのでしょうか?』という記事を書きましたが、きょうはこのテーマについてもう少し書いてみたいと思います。人が心を動かされるのはどういう時なのか、なぜ心を動かされるのか。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  初めて…

 

みなさんは、好きな食べものはありますか。
たとえばカレーライスが好きだったとしましょう(玉ねぎたっぷりのやつが好きです)。
では、生まれて初めてカレーライスを食べたときのこと、おぼえているでしょうか。
ぼくは正直、記憶にありません。
でも、『初めて』はあったはずですよね。
好物になるくらいだから、きっと、
「こんなに美味しいものがあるなんて!」
って感動したのかも…
好きな食べ物って、だんだんと好きになるのでしょうか。
それとも第一印象で好きになる?
 

 

  知っている味

 

では、これまでどれくらい食べてきたでしょうか、カレーライス…
数えきれないくらい、ですよね。
たとえば、CoCo壱のカレーって、食べる前からよく知っている味ではないですか。
食べ慣れた人にとってはね。
で、実際食べると、やっぱり思った通りの味で…
それを期待して食べに行くのでしょうが、でも、
なら、そこには『新鮮さ(印象のね)』や『意外性』や『感動』ってあるでしょうか。
ないですよね。
いつもの、よく知っているCoCo壱のカレーライスがそこにはあるだけです。
 

 

  物語

 

このカレーライスのお話を、そのまま音楽に置き換えてみてください。
やっぱり、知っていた方が楽しめる、って言えるでしょうか。
とはいえ、たとえばCoCo壱のカレーが出来上がるまでの物語(どんなでしたっけ)を知れば、
その味も違って感じられるかもしれません。
たとえば音楽でいったら、その曲がつくられた背景や作曲者のことなどですね。
とはいえ、ろくでもないエピソードがたくさんある有名作曲家も少なくないので…
たとえば「う○こ」ばかり言っていた某有名作曲家とか…(映画にもなりましたね)
そんなエピソード(うん○)を知ったら、聞こえ方がどう変わるのでしょうかね…
『○んこムジーク』…(笑)
 

 

  演奏

 

とはいえ、今度は聴く側ではなく演奏する側になったときに言えると思うことは…
音楽って、新鮮な感動や心動かされることで伝えられるものでもない、ということ。
どういうことなのかというと…
たとえば、すごく悲しい音楽があったとします。
その音楽って、すごく悲しい気持ちで演奏したら、その悲しさが聴く人に伝わる?
違うと思うのです。
楽しい音楽は楽しい気持ちで演奏するから楽しさが伝わる、わけではないし、

悲しい音楽は悲しい気持ちで演奏するから悲しさが伝わる、わけでもないということ。
そこには技術や知識も要れば引き出しや語法やスタイルやバックボーンも必要ですよね。
知っていた方が聴いて楽しめるかどうかはいろいろあるけれど、
知っていた方が善く演奏できるということは言えるように思うのです。
以前、心とは『込める』ものではなく、結果的に『込もる』ものだという話を書きました。
それはつまり、こういうことなのです。
 

 

  知っているということ

 

まあなにしろ、音楽って、『知っていた方が楽しめる』とは必ずしも言えないかもしれない。
けれど、聴く人に楽しんでもらうためには、演奏する側は知っていた方がいいもの。
『う○こ』を知っていた方がいいのかどうかはわからないけれど(ひつこい!)、
でも、そんなちょっと変わった人格の人でも素晴らしい音楽を書けるということを知ると、
(作曲家なんてたいていみんなどこか変わった人なのかもしれません…)
なんだか勇気が湧いてきませんか(違?)

さて、みなさんはどう思われますか。