日本人と欧米人のリズムや拍子の捉え方の違いは | フクロウのひとりごと

フクロウのひとりごと

愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
おもに吹奏楽の活動に役立つ情報を発信中!
バンド指導をご希望の方はお気軽にご連絡ください。

先日ツイッターに書いたのですが…、日本人と欧米人、リズムや拍子の捉え方って違うと思うのです。そしてその違いは、じつはものすごく大きい、そんなふうに思うのです。さて、それってどういうことだと思いますか。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
 

 

  日本人と欧米人

 

日本人と欧米人の、リズムの捉え方の違い、それは…
たとえば符点のリズムを日本人はこうセットで捉え、欧米人はこっちをセットで捉える…



良い悪いではなく、こういう歴然とした違いがあるように思うのです。

なんだそんなことか、と思われる向きもあるかもしれませんが…

これ、ドヴォルザークのユーモレスクを聴いていて思ったことなのです。
流れのある演奏とそうでない演奏の、なにが違うのか…

この曲、欧米スタイルの方がずっと音楽的に流れると思うのです。
イツァーク・パールマンとヨーヨー・マ、 小澤征爾/ボストン交響楽団です。


 

欧米スタイルでしょ。
つまり、4があっての1なのか、1から始まって4なのか、ということ。

『ユーモレスク』か、それとも『あんたがたどこさ』か…

 

 

  いろいろある

 

これ、いろんなところにあると思うのです。
たとえばサンバのシェイカーは…



16分音符の4つ目を出すようにと教わった。
4が出れば、次の1が出る。4→1。
そうすると2と3は自然に出てくる。


ツイッターでも、いろいろと教えていただきました。たとえば…
ドラムの4ビートは、『チーチッチーチッ』というシンバルの『キ』を出す、
『キ』から始まるのです。それでバンドをドライブするんだ、と。

以前ジャズアンサンブルをやっていて、ドラムの子の叩く4ビートがなんだかイマイチで、

それがなぜなのかわからず、みんなでああでもないこうでもないと言っていたのですが…

こういうことだったのかもしれませんね。

日本人は、『裏拍は弱い』としか考えない…
馬が走る音、日本人は『パッカパッカ』と捉えるけれど、欧米人は『パカッパカッ』。

日本人が6/8や3拍子系が苦手なのも、この違いに原因があるのではないか

と言われた方もおられました。そうかもしれません。
 

 

  拍子でも…

 

さて、これは拍子にも言えることだと思うのです。
たとえば4拍子だったら、4拍目があって、次の1拍目がある。まずアウフタクトがある。
それが、欧米式。
ハーモニーがドミナントからトニックに解決するように、4拍目から次の1に解決する。
それによって拍子感が生まれる。決して、『強・弱・中強・弱』ではないのです。
(『強・弱・中強・弱』って雅楽の感覚なのだそうですね)
たとえば2022年の吹奏楽コンクール課題曲『マーチ「ブルー・スプリング」』は4拍子ですが、
4拍子の拍子感を捉えるために、4分音符の低音をこんなふうに変えて合わせてみる。



こんなことを、当時の課題曲解説に書いているのですが、つまりはそういうことなのです。
 

 

  なぜ?

 

でもなぜ、欧米人と日本人のこんな違いが出てくるのでしょうか。
ツイッターで教えていただいたのには…
まず、言語の違い。
欧米の言葉には、二重子音が多い。冠詞がつく名詞も多い。
アウフタクトの言葉なんですね。
欧米人は騎馬民族だからという意見もありました。
躍り、ダンスから来ているという方もおられましたね。
ツイッターでつぶやくと、ほんとうにいろいろと教えていただけてありがたいです。

 

ところで、ふと思って、ラフマニノフのピアノコンチェルト2番冒頭の弦を見てみたら…

 

 

こうでした。

欧米スタイルではない…?
 

 

  なにが変わるのか

 

さて、1から始まるのか4から始まるのか、その違いでいったいなにが変わるのか…
1が、ドンと下に向かうのが日本スタイル。上に行くのが欧米スタイル…
拍や拍子が1拍1小節ごとに止まるのが日本スタイル、回転し進んでいくのが欧米スタイル…
欧米スタイルの拍や拍子には、丸、円を感じるのですよね。
この拍子感なら、ダンスも出来る。流れが出来る。
日本人が『流れ』より『タイミング』にばかりこだわりたがるのにも、
もしかしたらこんなところに根があるのかもしれませんね。
でも、わかってしまえば捉え方を変換していくことは出来ると思うのです。
シーンによって、音楽のスタイルによって使い分ければいいのですから。

さて、あなたはどちらのスタイルで演奏していましたか。