モードのお話 | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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みなさん『モード』ってご存じですか。『流行』とか『様式』とか『方法』とかいう意味があるようですが、きょうのテーマは、音楽のモードのお話。といっても、音楽の流行とかの話ではなく、『旋法』のお話なのです。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  モード

 

ホームページに書いている、『吹奏楽コンクール課題曲解説』、
今年の課題曲4『フロンティア・スピリット』の解説に、『モード』が出てきます。
『E♭ドリアンとA♭ドリアン』って…
それに対して、

元々はグレゴリオ聖歌で用いられた教会旋法で、それが1950年代終わりからジャズに取り入れられて発展したもの

と書いたのですが…
はっ、なんのこと!? って感じですよねきっと…
そう思って、もう少し説明してみようかな、と思ったわけなのです。
 

 

  教会旋法

 

今、調性音楽(ほとんどの音楽)って、多くは『長調』か『短調』ですよね。
これ、『明るい』のと『暗い』のって説明したり理解したりしがちですが…
そう単純なものでもないかもしれません(このお話はまた書きます)。
さて、昔々、グレゴリオ聖歌の時代には、調って長調と短調だけではなかったのです。
7種類あって、それぞれ…
イオニアン、ドリアン、フリジアン、リディアン、ミクソリディアン、エオリアン、ロクリアン
という名前がついています。
このうち、イオニアンが、普通の長調。エオリアンが、短調(自然的短音階)です。
楽譜に書いてみると…



なんだ始まりの音が違うだけか…?
主音をCで書いてみると…



それぞれ弾いてみてくださいな。
長調でもない短調でもないちょっと不思議な音階でしょ。
 

 

  明るい暗い?

 

これ、いちおう長調と短調に分けられて…
イオニアン、リディアン、ミクソリディアンが、長調。
ドリアン、フリジアン、エオリアン、ロクリアンが、短調。
長調のなかでも明るい順に、リディアン、イオニアン、ミクソリディアン。
短調の明るい順に、ドリアン、エオリアン、フリジアン、ロクリアン。
ロクリアンは、真っ暗? そんなに暗くない…
たとえばミクソリディアンは、ちょっと短調寄りの長調、ドリアンはちょっと長調寄りの短調…
そんなふうに言ってもいいのかもしれません(違?)。
 

 

  どんな曲が…

 

ごたくばかり並べてないで、ならどんな曲があるのか教えてよ、なんて声が聞こえてきそう…
イオニアンとエオリアンを除いて、いちばん多いのはきっと…

ドリアンではないでしょうか。たとえば、これ。


 

フリジアンは、たとえばチックコリアの…

 

 

リディアンは、ジョン・ウィリアムズのこれ。

 

 

それから、ミクソリディアンも多いかもしれませんね。ディープパープル。

 


 

ロクリアンの曲は…、なにかありますかね…

 

 

  モードを用いたのは…

 

グレゴリオ聖歌の教会旋法がジャズで発展した、と書いたのですが…
ドビュッシーやラヴェルも、モードを使っていますよね。
そのあたりのお話は、この方のこのブログにとても詳しいです。

 


さて、フロンティア・スピリットですが、Bの1~4小節は、E♭ドリアン。

 

 

Bの5~8小節は、A♭ドリアン。



ということなのです。

みなさんはどんなモードの曲をご存じですか。