ドミナントいろいろ | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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みなさんはドミナントってご存じですよね。ドミナントってなんでしょう。ビジネスの世界では『ドミナント戦略』なんて言葉もありますね。きょうは音楽のドミナントのお話です。ドミナントって、いろいろあるのです。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  ドミナント

 

ドミナントとは、その調の五度の音を根音としている和音、そして、
五度の和音から一度の和音に行く(解決する)ことをドミナントモーションという…

そんな説明もありますね。
たしかに、属七の和音は、臨時記号を使わなければ、その調にはひとつしかありません。
狭義にはそうなのでしょうけど、でも、ドミナントってもっといろいろあるのですよ。
ドミナントって、『帰省意識』の強い和音、つまり、「お家に帰りたい」という和音。
それにもいろいろあるし、それに…
家はひとつとは限らないのです。別荘もあれば別宅もある。
 

 

  ドミナントいろいろ

 

ちょっと遊びでこんな楽譜をつくって音とともにツイッター(X)にアップしてみたら、
なぜかけっこう『いいね』をいただきました。
 


面白かったですか?
主和音に帰るドミナントを4つほど上げているのですが…
テンションとか増やすと、もっともっとありますよね。
ちなみにドミナントの前のコードはDm7(IIm7)ですが、これをリレイテッドIIといいます。
準備されたII(二度)。
ところで、上に出てきた4種類、どれがお好きですか。

 

 

  裏口?

 

上の楽譜(と音)、はじめの2つは『2→5→1』ですが、あとのやつは何?
とくに3つ目。D♭7→Cって…
これはどういうことなのかというと…
G7がCに帰りたいのって、G7の中にある不安定な音程、Hと、F、
(昔々はこれ『悪魔の音程』って言われていたのですよね…)
この減五度(増四度)が安定したCとE、長三度に解決する安心感を得ようとする動きなのです。
ところが、この減五度(増四度)と同じ音を持っているドミナントが、世の中にもうひとつ…
それが、D♭7。
(尤もD♭7なら第7音はほんとうはHではなくC♭でなければならないのですけどね…)
なので、D♭7がCに行くのもアリなのです。
こういうのを、『サブスティテュート・ドミナント』といいます。
通称、『裏コード』。裏口から帰ってくる感じでしょうか…
 

 

  セカンダリー

 

さて、上の楽譜で紹介したのは、調の主和音、一度の和音に行くドミナントの色々でした。
でも、ドミナントって、主和音に行くものばかりではないのです。
たとえば、属和音に行くドミナントもあります。
これ、古典和声では『ドッペル・ドミナント』なんていいますよね。
ドミナントのドミナント。
そのほかにも、二度に行くもの、三度に行くもの、四度に行くもの、六度に行くもの…
わかりにくいですよね…
楽譜で書くと、こんな感じです。ハ長調の場合…



こういうのを、『セカンダリー・ドミナント』といいます。

音も作ってみました。

 

 

そして、これらのセカンダリー・ドミナントのそれぞれにまた、裏があるのです。

あれっ、七度に行くのはないの?
ないんです。
上のドミナントを見ると、解決するコードのそれぞれ完全四度下(完全五度上)ですよね。
七度の完全四度下の音は、その調の音にはないのです。

そもそも七度の和音って、減3和音ですしね…。行っても解決、しない…

こうしてみると、ドミナントってほんとにいろいろあるでしょ。
そしてこれ、バークリーの理論でいちばん最初に教わる内容なのです。

さて、あなたはどんなドミナントがお好き?