先日、『日本人は縦ノリ民族なのか』という記事を書きました。多くのいろいろな反応をいただきました。なので、きょうはアンケート結果などもまじえて、もう少し書いてみたいと思います。さて、これ、民族性の問題?
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
ちなみに、前回の記事はこちらです…
身体を動かすと…
演奏するとき、自由に身体を動かすとノリやグルーブにつながる…
日本人は地蔵のように動かないからグルーブがないんだ…
そんな声も聞きました。
そこで、アンケートしてみました。
『つながる』と、『つながらない』+『むしろマイナスになる』が、ほぼ拮抗しているのですね。
身体を動かすことがグルーブにつながると考えている人がこんなにいることは意外でした。
みなさんはどう思われますか。
私見
これについて私見を書かせていただくと…
意識して作為的に身体を動かすことは、ノリやグルーブにはつながらないように思います。
多くの場合はね。それがむしろマイナスになっていることも少なくない。
最近少なくなりましたが、作為的にたくさん動きながら演奏するバンド、時々あるでしょ。
そういうバンドが流れやグルーブのある演奏をするのを聴いたことがありません。
「動くのをやめてごらん」と伝えて演奏が改善されることも少なくないです。
(どんな場合でもそうではないですが…)
もちろん、固めるわけではなく、動くのを『やめる』だけ。
欧米の奏者にも、微動だにせず演奏する人も少なくないです。
たとえばフランク・ロソリーノとかね。
では、そういう人たちの演奏にグルーブがないかというと…
逆にとってもダンサブルだったりするのです。
以前、こんな記事を書きました…
2拍4拍
さて、ジャズ、4ビートの音楽をやると、「2拍4拍で感じろ」なんてことを、よく言いますよね。
と、日本人はそればっかりになる。
なんでもかんでもとにかく2・4じゃないといけないみたいになりがちですよね。マジメだから。
もちろんそれも大切なのですけどね。
あるバンドで、テンポ200くらいの4ビートをやって苦労しているとき、ゲストのアメリカ人に…
「2ビートとか、もっと大きく取れ」と言われました。
それで、2・4や細かい拍にこだわらす、大きな流れで音楽を捉えたら、とても良くなった。
なにより演奏がラクです。いい意味で。
グルーブなんていうものは、これの向こう側にあるんじゃないかと思った経験でした。
そういう大きな流れを、欧米人は持って演奏しているように思います。
クラクフ
これは前に書いたかな…
ポーランドのクラクフというオーケストラが日本に演奏旅行に来ました。
トロンボーンが足りず、1公演トラで乗ったことがあるのですが…
トロンボーンがあるのはコンチェルトだけ。とある有名曲。
ところが、オケにとっては慣れない演目だったらしく、ゲネプロで演奏が怪しいのです。
ゲネですよ!
もし日本のオケだったら、すごくピリピリした空気になるような状況です(ありえないけど…)。
でも彼ら、リラックスしたもので、アンサンブルが少々あやしくても音楽がひっかかったりしない。
流れになんのストレスもない。
だから本番も、細部はいろいろありましたが全体はほんとうに滔々と流れていく。
演奏していてすごく安心感と心地よさがありました。
細部と全体
日本人って、細かいところにはこだわるけれど、全体とか大局を見ていない…
そんなふうには感じるところがありますね。
もちろん、稽古がめっちゃ細かい指揮者とかはいますよ。
でも、大局を見通した細部と、細部しか見ていない細部とは、似て非なるもの。
まったく対極にあるとすら言えるように思います。
なにか大事なものが、見えていない。
すると、ノリもグルーブも流れもない、ただ正確なだけの縦ノリの演奏になる…
楽譜に書いてあることを正確に音にすることと流れやグルーブとは、まったく別のもの。
西洋の音楽
クラシックにしてもジャズにしてもポップスにしても、もともとは西洋の音楽。
それを、日本人は見よう見まねで取り入れてきた。
その『黎明期』においては、さまにならない縦ノリの演奏も少なくないかもしれない…
そのことの言い訳として、農工民族だのと言い出す人がいた、のではないか…
そんな声もありました。
そうかもしれません。でも…
ほんとうに黎明期の人は、本物の演奏に触れる機会が少ないから、あれば必死に聴いた。
それこそ、レコードがすり切れるくらい聴いたことでしょう。
すると、ノリやグルーブ、ニュアンスも、自然に身になっていく。
かえって現代の方が、そういうものに対して無頓着なのかもしれません。
と、正確に演奏することにばかり意識が行きがちなのかもしれません。が、やはり…
日本人にも、グルーブや流れ、ノリのある西洋音楽は出来る。
民族や血の問題ではない。
そんなふうにも思うのです。
さて、みなさんはどう思われますか。


